SUGIZO 慰霊の日に沖縄の子どもたちと交流 「日常が続くことは奇跡の連続」と気付き

太平洋戦争の沖縄戦の犠牲者を悼む「慰霊の日」の6月23日、沖縄・那覇市で恒久平和を願うファッションショー『Pray for Peace collection 2023』が開催された。ステージには、LUNA SEA、X JAPANなどのギタリスト、バイオリニストとして活躍するSUGIZOがゲストとして出演。3歳から15歳までの子どもたち26人と共にランウェーを歩き、平和の大切さを訴えた。

慰霊の日に平和を願うファッションショーで沖縄の子どもたちと共演したSUGIZO(中央)【写真:田辺佳子】
慰霊の日に平和を願うファッションショーで沖縄の子どもたちと共演したSUGIZO(中央)【写真:田辺佳子】

SUGIZOの衣装はブーゲンビリアをイメージ 内側にはサンゴの写真も

 太平洋戦争の沖縄戦の犠牲者を悼む「慰霊の日」の6月23日、沖縄・那覇市で恒久平和を願うファッションショー『Pray for Peace collection 2023』が開催された。ステージには、LUNA SEA、X JAPANなどのギタリスト、バイオリニストとして活躍するSUGIZOがゲストとして出演。3歳から15歳までの子どもたち26人と共にランウェーを歩き、平和の大切さを訴えた。

 ショーは、ファッションブランド「tenbo」(千葉・木更津市)が企画。ファッションをメーンにアートや音楽を通して平和への願いを伝えたいと、2019年の8月6日に広島で初開催され、長崎でも行われてきた。5回目のプロジェクトで初めて沖縄での開催が実現した。

 モデルは150人の応募者の中からオーディションを行い、ダウン症候群や、福山型先天性筋ジストロフィーの子どもなど26人を選出。代表でデザイナーの鶴田能史(たかふみ)は、オーディションで募ったモデルに「平和」についての思いをヒアリングし、それぞれの衣装のアイデアを練っていった。ドレスの一部や、髪飾りなどに用いた色取りの千羽鶴は、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館、長崎原爆資料館、ひめゆり平和祈念資料館に寄せられたもの。子どもらは、平和を願うさまざまな人たちの思いとともにステージをかっ歩した。三線奏者の比嘉紗里衣の演奏と『娘ジントヨー』などの歌に合わせて、ポーズをする愛らしい姿には、会場から拍手が起きていた。

 20年以上前から難民問題に関心を持ち、16年からは中東各地の難民キャンプを訪問するなど、反戦への強い思いを持つSUGIZOは、広島や長崎でも同ショーのモデルを務めてきた。今回袖を通した鮮やかなピンク色が目を引く衣装は「沖縄」についての思いを鶴田に聞かれた際、「ダイビングで何度も訪れて来た沖縄の海の色が、近年はグレーに変わっていることが悲しい」と伝えたことから、鶴田が「自然を守りたい」というSUGIZOの願いを衣装で表現したもの。ロングジャケットの外側は街中などで咲く「ブーゲンビリア」をイメージし、内側は生命力を感じる真っ赤な「サンゴ」の写真をプリント。SUGIZOは「今まで以上に、自然を守って行かなくてはという思いが強くなった」と思いを込めていた。

 糸満市にある平和祈念公園では「沖縄全戦没者追悼式」が行われるなど祈りに包まれたこの日に、人々の願いが込められたショーを開催できたことについて鶴田は「デザイナー人生の全てをかけてこの日を迎えた。このデザインができて幸せです。子どもたちの笑顔を見て、今日という日を忘れないでください」と涙声で呼びかけていた。

 ショーは、夏以降の開催も決定。8月9日は、「ガーデンテラス長崎ホテル&リゾート」で、9月17日には『毛利元就フェス2023 キッズファッションショー』の中で展開される。

デザイナーの鶴田能史(左)と、SUGIZO【写真:Photo by j.elle Harris】
デザイナーの鶴田能史(左)と、SUGIZO【写真:Photo by j.elle Harris】

世界中の人が『平和』を感じられるような未来に近づけるように

 ショーの後には、「あなたにとって平和とは何ですか?」をテーマに、子どもたちとSUGIZOらがトークショーを展開。6歳の森東(もりと)ティナちゃんが「私にとっての平和は、家族とおいしいご飯を食べること。安心して眠れること。お風呂に入れることです」など懸命に伝える様子を見つめていたSUGIZOは「普段当たり前にそこにあることは、すべて奇跡の連続なんですよね。ご飯を食べたり、お風呂に入ることも平和でないとできないこと。ティナちゃんの言葉は核心に触れていますね」と語っていた。

 イベントの様子は、那覇の目抜き通り・国際通りに設置された大型のビジョンで公開されたほか、鶴田が拠点を置く千葉・木更津市内でも生中継。YouTubeでも生配信され、世界に平和の尊さを訴えた。

 終演後にENCOUNTのインタビューに応えたSUGIZOは「スキューバダイビングが好きで、何度も沖縄を訪れてきましたが、『慰霊の日』に沖縄を訪問したのは初めて。広島では何度も原爆ドームや平和記念資料館に足を運んでいますが、糸満の平和祈念資料館や(戦没者の名が刻まれている)平和の礎などにはまだ行ったことがありませんでした。この機会にしっかり沖縄の歴史に向き合い、平和のために僕自身ができることについてさらに深く考察していきたいです。ショーでは平和について『まだ手にできていないもの』とお話しましたが、ティナちゃんの言葉を受けて、『友達と遊んだり、眠ったり。日常にある何気ないことが、ありがたくて幸せなことなんだ』と感じました。そう考えると、平和はそこら中にあるとも思うけれど、世界にはウクライナやシリア、スーダンなど平穏ではない国もたくさんある。世界中の人が『平和』を感じられるような未来に近づくことができるように」と願いを込めていた。

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