釣りをしていたら突然、子猫の鳴き声 走り去った1台の車 「どうしたものか」釣り人の行動に喝采

海釣りを楽しんでいたところ、思わぬ事態に巻き込まれたのが、mizさんだ。1台の自動車が停車し、走り去った後に聞こえてきた「にゃーにゃー」の鳴き声。振り返ると、1匹の黒猫の赤ちゃんがよちよちと動いていた。猫は飼い主を探すように、釣りをしていたmizさんの元へとやってきた。「どうしたものか」。悩んだ末、mizさんが起こした行動とは。

釣り竿の横に座る子猫【写真:投稿者提供】
釣り竿の横に座る子猫【写真:投稿者提供】

「にゃーにゃー鳴く声がしたなぁと思ったら急に立ち去った」

 海釣りを楽しんでいたところ、思わぬ事態に巻き込まれたのが、mizさんだ。1台の自動車が停車し、走り去った後に聞こえてきた「にゃーにゃー」の鳴き声。振り返ると、1匹の黒猫の赤ちゃんがよちよちと動いていた。猫は飼い主を探すように、釣りをしていたmizさんの元へとやってきた。「どうしたものか」。悩んだ末、mizさんが起こした行動とは。

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「釣りしてたら猫捨ててった なぜ捨てたと言えるかというと猫いたところに釣りもしない車があってしばらくしたらにゃーにゃー鳴く声がしたなぁと思ったら急に立ち去った 広くて何もないところでよちよち歩きの子猫 どうしたものか」

 11日午前7時15分ごろ、mizさんがまさに今、出会ったばかりの猫の写真と現場の様子を投稿すると、8281件のいいね、164万件の閲覧回数を記録するなど大きな話題になった。

 mizさんはその後もリアルタイムで状況を伝える。場所は宮城県宮城郡七ヶ浜町の漁港だった。

「だだっ広いところにぽつんといたのでとりあえず、釣りしてる間だけでもそばに置いてみたんですが、どうしたものかと 目の前で鳥に食べられるのもみたくなくて」

 子猫は迫りくる危険も含めて、置かれた状況を何一つ理解できない様子。

 mizさんは「うちはペット不可だからどうしたものか」と困惑し、どうにかして猫を保護できないかと悩んだ。

「釣り終わったらこの子どうしよう 10時頃から雨予報なんだけど」

「保護団体電話したら保護できないって言われた 宮城県内では野良猫保護はしてる団体ないから個人で里親探してだって まじかぁー」

 連れてはいけないと分かっていても、その場に放置はできなかった。「震え始めたからカゴに入れてしまった」と子猫を気遣ったmizさんは、「#子猫保護」「#里親募集 したい」と、ハッシュタグをつけた。

 すると、数時間後に、「無事!お迎え先が見つかりました」とツイート。引き渡しまでの間、自宅で子猫を洗ってあげると、安心したのか、タオルの中で熟睡……。「万歳して無防備」「肉球ちっさ」と、愛らしい姿を披露してくれた。

「無事、子猫ちゃんを引き渡せました 遠方から急遽お迎えに来てくれて感謝感謝です」

 一連の投稿には、「優しい釣り人の方でよかたぁ」「ありがとうございます、泣ける」「貴方のおかげで1匹の尊い命が救われました」「黒猫は人懐こくって、商売やってる人には縁起の良い猫ですからね」などの反応が次々と寄せられた。

mizさんが作成した漁港の状況。黄色はmizさんが釣りをしていた場所、赤は走り去った車の停車位置、青は他の釣り人の車【画像:投稿者提供】
mizさんが作成した漁港の状況。黄色はmizさんが釣りをしていた場所、赤は走り去った車の停車位置、青は他の釣り人の車【画像:投稿者提供】

住居はペット禁止、子どもは軽度の犬猫アレルギー

 改めてmizさんに状況を聞くと、地図で車の場所を記した。

「釣りをしに7時頃に漁港に着いたところ、赤い四角のところに白いSUVがすぐに入ってきました。釣りをするには不思議な位置に停めてるなぁと思っていたものの、私はそのまま釣りの準備をしていました。7時10分ごろ、グレーの四角で示した車が釣りをやめて帰ると、SUVから男性が降りてきて、私から見えない側に行きました。すぐに猫の鳴き声が漁港に響き渡り始めました。響いているのでどこからの方角か分からずにいたら、男性が車に乗るのが見えて、立ち去りました」

 SUVが去った後、黒い物体があり、最初はゴミ箱が置かれたと思ったという。鳴き声はやまず、「おかしいと思って見渡していたら、黒い物の形が変わったので近づいたらヨタヨタ動いて威かくする子猫でした」。母猫を探しても見つからなかったため、「置き去りにされた(捨てられた)と思ってツイートをしました」と、続けた。

 保護したい気持ちはあったが、できない理由があった。「うちはペット禁止の賃貸住居で、息子は軽度の犬猫アレルギーがあるので保護には悩んでいました」。里親募集のツイートをしたのは、やむを得ない判断だった。

「子猫が足の周りをうろうろしたり、よじ登ってきたりと懐いてきて、なんとかしたいと思って里親の探し方を検索しました。トラブルが多いという結果を多く目にしました。1時間ほどたつと子猫が震え始め、思わずブランケットを出してカゴに入れてしまいました。9時頃になると小雨も降り始め、津波避難訓練の警報が響き渡り、うとうとしていた子猫の表情がおびえ始めたので車内に入れてしまいました。まだ保護するかは悩んでいました」

 決断できないでいると、自宅への帰路の途中、「迎え入れを相談したい」と連絡を受けた。

「フォロワーさんではなかったので、その方のツイートを拝見してからDMを送りました。丁寧に迎え入れたい旨、受け入れ態勢等を送ってくださり、私の気になっていることも聞いてくださったので、この方ならと思い引き渡すお話をしました」。mizさんの趣味だったモトコンポ(ミニバイク)が縁をつなぎ、子猫は無事に保護された。

 投稿が大きな反響を呼んだことについて、「子猫の里親がすぐに見つかり、ツイッターを通じて近況も知れてうれしい限りです。里親が見つかるまで見守ってくれた方、里親が見つかって喜んでくれた方がたくさんいて、物騒なニュースが増えている中で世の中捨てたもんじゃないんだなと思いました」と、受け止めた。一方で、ツイッターにはさまざまな意見も。「猫好きではあるのですぐに保護したい気持ちがある一方で、保護ができない状況を抱えていたので、『すぐ保護してください』や『飼えないからと里親を探すのは無責任』というコメントがあり、反論しようかも悩みました」と、複雑な気持ちもこみ上げたという。

 情報を拡散し、協力してくれた人には、感謝の思いがこみ上げる。「幸いだったのが、見守ってくれる人の多さでした。ご尽力いただいた方々、ありがとうございました。迎え入れてくれた方、ツイートを見つけてくれてありがとうございました」。車を運転した男性が、意図的に子猫を置いていったかどうかは分からない。「本当に捨てていったのかは状況判断でしかありません」。ただ、車が去った後に子猫がいたというのは事実。「色々な事情はあると思います。どこかに置き去りにする前に、引き取り先を探すことを考えてほしいと思います」と、mizさんは願った。

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