俳優で歌手の福山雅治が主演を務め、俳優の大泉洋が共演するTBS系連続ドラマ『ラストマン－全盲の捜査官－』（日曜午後9時）の第8話が、11日に放送された。今回は高速バスでバスジャックが発生。SNSやネットの使い方について視聴者から反応が見られた。

　同作は、脚本家・黒岩勉が描く1話完結の完全オリジナルドラマ。福山演じる全盲のFBI（アメリカ連邦捜査局）特別捜査官・皆実広見（みなみ・ひろみ）と、大泉演じる警察庁人材交流企画室の室長・護道心太朗（ごどう・しんたろう）がバディを組み、事件を解決していく。

（※以下、ドラマの内容に関する記述があります）

　皆実は、41年前に起きた強盗放火殺人事件の第一発見者だった人物に会うため、技術支援捜査官の吾妻ゆうき（今田美桜）と御殿場へ向かう。しかし、バス乗り場でぶつかって来た男（京本大我）の感触から銃を所持していることを察し、男が乗った新潟行きのバスへ乗り込む。

　皆実と吾妻がバスに乗り込んで早々、男は銃を取り出しバスジャックする。男は「清水拓海」と名乗り、なぜか自分の顔写真を撮って事件と名前をSNSで拡散するよう要求。人質となった乗客は言われるがまま、清水の名前と顔写真を拡散した。SNSを見たネット民は、清水が2年前に幼稚園バスで起きた園児置き去り死亡事故で逮捕された犯人だと特定する。

　バスの中からライブ配信を始めた清水は、「2年前、江戸川区の朝日ことり幼稚園で西松瑠璃ちゃんが亡くなった。その真犯人がこのバスに乗ってる」と語る。さらに「これを見てる奴らは、真犯人を見極めてネットにさらしてくれ」と指示。真犯人が正しければ人質を解放し、間違っていれば殺害するという。視聴者が10万人に達したら答え合わせをすると告げた。

　捜査を続けるうち、置き去り事故で逮捕された犯人が清水と同姓同名であることがわかった。逮捕された「清水拓海」は不起訴になったが、全く関係のない清水は“犯人”として名前や写真をネットにさらされ、誹謗（ひぼう）中傷を受けていた。実家の印刷所も廃業し、母親も亡くなった。

　視聴者が10万人を超え、清水は答え合わせを始める。コメント欄では、瑠璃ちゃんの父親を真犯人と特定する声が多く挙がっていた。清水は自分自身が根拠もなく犯人に仕立てあげられた過去から、「どいつもこいつも不正解で大間違いだよっ！！」といら立ちをぶつける。真犯人の「清水拓海」はバスの運転手だった。

　しかし清水の憎しみは、真犯人よりもネット民に向けられていた。「俺が一番ムカついてんのは、今これを見て楽しそうにつぶやいているお前だよ！　特定班きどって、犯人見つけて得意がってた奴！　『女の子を殺すなんて許せない』って正義感ぶってた奴！　俺をさらしてあおったその一言、ひとつの拡散で俺や母さんは殺されたんだよ！」怒りをぶつけた。

　交渉にあたった心太朗は、清水に思ってもなかった事実を突きつける。実は事故は置き去りによるものではなかった。心臓疾患があった瑠璃ちゃんは、かくれんぼ中にバスの中で病死。幼稚園は家族のプライバシーを守るため、病死の公表を控えていたのだ。心太朗は「お前は噂と書き込みに踊らされて、何ひとつ自分で確かめることなく、こんなバカけたことをしでかした。お前も、想像力のかけらもないバカなネット民とまったく同じじゃねーか！」と現実を突きつけた。

　制圧された清水はネット民に向かい、「俺がバスジャックの犯人だ。くれぐれも間違わないように」と告げて連行されたのだった。

　清水自身がネット被害者だったことから、「SNS等の使い方を考えさせられるバスジャック事件でしたね」「『想像力の欠片もないバカネット民』ってセリフに、SNSとの向き合い方もう少し考えようと思った」といった声が。また、「自分のような被害者を出さないようにちゃんと自分の顔と名前をSNSで拡散させたり、置き去り事件の被害者女児をちゃん付けで呼んであげてたり、『本当は良い人』な部分が透けて見えて余計辛い」と、清水に同情する視聴者も。

　また最後の清水のセリフに、「犯人に間違われて誹謗中傷を受けた側の人間のだからこその哀しみが現れてて切なかったな……」「胸に刺さって抜けない」といった反応も見られた。