“第2の『カメ止め』”登場か 30億円大ヒットが変えたインディーズ映画界の今
インディーズ発の映画『岬の兄妹』(片山慎三監督)の勢いが止まらない。3月1日に劇場公開され、1か月以上経た今も劇場数を増やし、その数は全国60以上に及ぶ。これまでは一部の映画ファンに支持されてきたインディーズ映画界だが、『カメラを止めるな!』(上田慎一郎監督)の興収30億円の大ヒットで、その環境は徐々に変わり始めている。
『カメ止め』に続く『岬の兄妹』の快進撃…インディーズ映画に何が起きている?
インディーズ発の映画『岬の兄妹』(片山慎三監督)の勢いが止まらない。3月1日に劇場公開され、1か月以上経た今も劇場数を増やし、その数は全国60以上に及ぶ。これまでは一部の映画ファンに支持されてきたインディーズ映画界だが、『カメラを止めるな!』(上田慎一郎監督)の興収30億円の大ヒットで、その環境は徐々に変わり始めている。
芸能界屈指の肉体派が絶賛する驚きのトレーニングアイテムとは?
『岬の兄妹』はポン・ジュノ監督の『TOKYO!』(08年)や『母なる証明』(09年)、山下敦弘監督の『苦役列車』(12年)などで15年間、助監督を務めた片山監督の初の長編デビュー作だ。ある港町で自閉症の妹・真理子(和田光沙)とふたり暮らしをしている足に障害を持つ良夫(松浦祐也)。仕事を解雇されて困窮する良夫は真理子に売春をさせて生計を立てようとする。良夫は罪悪感を持ちながらも、これまで知ることがなかった妹の喜びや悲しみに触れていく中、妹の心と体には少しずつ変化が起きて……というストーリーだ。
『カメ止め』のように両手を叩いて、「面白かったね」と喜ぶような作品ではない。むしろ逆だ。貧困、自閉症、障害、そして売春……と描いているのはタブー。過酷な現実に直面しながらも、たくましく生きる兄妹の姿を力強く描き、観客の共感を集めた。片山監督は現在の商業映画作りに疑問を感じ、真逆のやり方に挑戦した。無名ながらも実力のある俳優陣を集め、1年間季節を追って丁寧に撮影。画の1コマ1コマには、監督の情熱と役者の息遣いが焼き付いている。
早くから評価はされていた。2018年6月開催の「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018」の国内コンペティション長編部門で優秀作品賞と観客賞をダブル受賞。その後、埼玉県の施設「SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ」が立ち上げた「“最速・最短”全国劇場公開プロジェクト」作品に決まり、劇場公開が決定。同年の東京国際映画祭でも好評を得た。「処女作としては百点満点を付与する」(香川照之)、「久し振りに『映画』の力を確認した!」(本広克行監督)など有名人からも多数のコメントが寄せられていて、公開直前には、若者に絶大的な人気を誇るシンガーソングライター、あいみょんもツイッターで激賞し、その存在が知られた。