「褐色の肌、金髪、青い目」のモデル、シャラ ラジマは北区王子育ちの庶民派「渋谷は怖かった!」

「褐色の肌に金髪、青い目」のモデル、シャラ ラジマはバングラデシュにルーツを持ち、東京都北区王子で育った社会派ギャル。一見、無国籍クールビューティーだが、自称「居酒屋生まれクラブ育ち」。話せば、下町的な親しみやすさが炸裂。このトーク力を買われて、4月からBAYFMの冠番組を持つことになった。その素顔は?

ラジオで冠番組について語るシャララジマ【写真:山口比佐夫】
ラジオで冠番組について語るシャララジマ【写真:山口比佐夫】

4月からBAYFMの冠番組『シャララ島』がスタート

「褐色の肌に金髪、青い目」のモデル、シャラ ラジマはバングラデシュにルーツを持ち、東京都北区王子で育った社会派ギャル。一見、無国籍クールビューティーだが、自称「居酒屋生まれクラブ育ち」。話せば、下町的な親しみやすさが炸裂。このトーク力を買われて、4月からBAYFMの冠番組を持つことになった。その素顔は?(取材・文=平辻哲也)

 スープカレー屋のアルバイト店員がいきなりラジオパーソナリティーを務める『波よ聞いてくれ』が話題になっているが、シャラ ラジマがラジオで冠番組を持った経緯もちょっと変わっている。

「私の売りは“かわいさ”だって思っていたんですけど(笑)、マネジャーさん的には『喋りだから』って言われて……。前からラジオをやってみたかったので、ラジオ番組のオーディションを受けに行ったんです。オーディションはガチガチすぎて終わったんですけど、終わって雑談していたら、ディレクターさんがその雑談を気に入ってくださって、このオーディションとは別に、『シャラの冠番組やりませんか』と。『えっー、やります!』ってなったんです」

 4月スタートの冠番組の題名は『シャララ島』(金曜28時~)。番組では趣味のコミック、居酒屋探訪、トランスやロックなど音楽、日常の出来事についての飾らぬトークが好評だ。真夜中にふさわしい音楽の選曲もいい。

「『シャララ島』って、中学生の頃、男子にからかわれてきた名前で、私的にはちょっと懐かしい響きなんです。4月の放送では普段から考えていることを話したんですけど、意外とたくさんのコメントが来て、めっちゃうれしかったです」

 クールな見た目とは違って、「居酒屋生まれ、クラブ育ち」で、しゃべり好きの庶民派。

「居酒屋は個人経営の小さな店が好きで、紅葉おろしが美味しいところが好きですね。基本は梅干しサワーで、梅干しを2個入れるのが好き。飲むと、余計におしゃべりになるんです。友達は音楽の場でつながっていたので、そう言っているんです」

 私生活では20年7月にロックバンド・OKAMOTO’Sのオカモトショウと結婚し、人妻という顔もある。

「前から長く付き合っていたので、結婚してもあまり変わりません。ただ、仕事の面ではお世話になることも増え始めていますね。特にラジオのことはいろんなこと教えてくれるので、環境はちょっと変わったのかな。でも、人妻感がないって、めちゃくちゃ言われるし、私も、結婚した瞬間から意識していました。世界一人妻に見えない人妻になってやるって(笑)」

4月からBAYFMの冠番組を持つことに【写真:山口比佐夫】
4月からBAYFMの冠番組を持つことに【写真:山口比佐夫】

両親はバングラデシュ人「お母さんが何語を言っても全部日本語で返してます」

 両親はバングラデシュ人。父は研究者、母はIT系の仕事をしている。両親が来日中に誕生し、その後はバングラデシュで育ち、再び9歳の時に東京都北区王子にやってきた。

「最初は日本語1ミリもできなかったんです。公立小学校に入って、3か月経ったある日、突然わかるようになりました。こういう言語体験って、小さい頃に起きるみたいです。両親はベンガル語が母国語。バングラデシュは元イギリス領だった経緯もあって、小さい頃の学校の勉強は英語でしていました。ベンガル語も話せるんですけど、読み書きはできなくて、英語は読み書きもできて、さらに全部できるのが日本語。家では、(言葉は)チャンポン状態。お母さんが何語を言っても全部日本語で返してます」

 王子の小中学校では、のびのびと育った。「本当に楽しく過ごさせていただきました。ホント、おしゃべりが好きで、理科の授業は教科書を使わず、先生が多元宇宙論とかを教えてくれたんです。それがすごく面白くて、私が質問しすぎたことで、授業が遅れているなんてウワサもあったんです。両親は優秀だったと思いますが、私はちょっと勉強できなかったです。大学はギリ卒業。今でも、単位が足りないという夢を見るくらいです」と笑い。

 夢は映画監督、宇宙飛行士と壮大だったが、大学生までは、北区王子が日本であり、シャラ ラジマの全世界だった。

「王子からほぼ出てなかったですね。出かけるのは池袋まで。渋谷も怖かったし、行かないですよ。大学に上がって、こんなおしゃれな世界で仕事すると、実家が表参道という人がいるんで、『どういうこと?』っていう感じですよ。今は北区を出ちゃったんですけども、私のソウルは今も北区にあります。観光大使になれないかな」

 モデルになったのは大学3年の終わり。知り合いの知り合いからスカウトされた。

「就活には自信がなかったんです。これで、就活しなくていいやと思いましたね。モデル活動は、金髪に染めて、カラコンを入れてやっていますが、人種のボーダレスがコンセプト。でも、会社説明会には黒髪にしないといけないじゃないですか。金髪を黒染めすると、簡単には金髪に戻らないんですよ。モデルをすれば、就活しなくていいと思ったけど、今考えたら、毎日が就活みたいなものですよ。オーディションはめっちゃ落とされるんで」と笑う。

 モデル活動など表舞台に立つことで、自身の価値や立ち位置を強く認識することになったという。

「同世代はデジタルネイティブだし、外国人は見慣れているけど、社会として見た時は異物なんです。今の若い子は気を使って生きている気がするんです。SNSでは全部晒されているから、絶対に失敗できないし、でも、情報リテラシーがめっちゃ高いので、失敗しない方法も知ってる。私も、10代の頃は気を使うことばかりを考えちゃっていたんですけど、私は社会の道から外れることで、すごく自由になっています」

 そんなシャラ ラジマの最大の失敗は、つい最近のこと。バングラデシュから戻る途中、タイ発成田着の航空機を逃したのだ。

「私、ギリギリで生きてきたけど、飛行機を逃したのはマジで初めて。凡ミスです。書類を読み間違えて、ワクチン接種証明書を手配しなかったので、(経由地の)バンコクから乗せてもらえませんでした。安い航空券だから変更できず12万円払って買い直したんです。タイ航空の機内食は、12万円のメシだと思って食べました(笑)。やばい、カードが払えなくなるという感じなので、お仕事ください!」。そんなことを飾らず話すのが、シャラ ラジマの魅力。チャーミングな彼女に、12万円以上のお仕事をあげてください!

□シャラ ラジマ(Sharar Lazima)バングラデシュをルーツに持ち、東京都北区王子育ち。「褐色の肌に金髪、青い目」で“人種のボーダーレス”をコンセプトにモデル活動をしている。不定期で連載している「GINZA magazine」や「現代ビジネス」では、彼女の価値観や美意識について自身の言葉で発信。最近では、独自の目線と唯一無二のキャラクターを活かしてバラエティー番組や報道番組にも出演。アートやカルチャーに関心があり、前衛的なアーティストとコラボする活動もしている。趣味:居酒屋(赤羽・神保町・新橋・中野)めぐり。勉強中:アート・哲学・スパイス(カレー)。

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