【映画とプロレス #14】映画「ファイティング・ファミリー」兄妹の明暗を分けたザック・ナイトの真実を探る

映画「ファイティング・ファミリー」(C)NBCユニバーサル・エンターテイメント
映画「ファイティング・ファミリー」(C)NBCユニバーサル・エンターテイメント

「ザックアタック」ペイジが王座を奪取したフィニッシュ技の真実

 ザックからの期待とジェラシーを抱え11年9月にWWEと契約したペイジは、12年1月に当時の傘下団体FCWでWWEデビューを果たした。13年5月に初代NXT女子王者となり、14年4月7日(「レッスルマニア30」翌日)のロウでAJリーを破り、1軍昇格初戦でディーバズ王座を奪取する快挙。映画ではこのときの模様がクライマックスとして描かれており、ペイジはザック伝授の「ザックアタック」で勝利を奪う。しかしこのフィニッシュは脚色で、実際の名称はペイジターナー。変型のスイングネックブリーカードロップだ。ザックアタックは同年8月17日の「サマースラム」でペイジがAJリーに明け渡した王座を奪回したときに使われた。技名はランペイジに変更されたものの、このときのフィニッシュが兄から妹に伝えられたザックアタック。相手の片足をホールドし、ベアハッグ気味に抱え上げDDTで頭部をマットに突き刺すのだ。ディーバズ王座を取り戻したこの日は、くしくもペイジ22歳のバースデー。しかも会場はロサンゼルスのステイプルズセンターで、のちに映画のクライマックス撮影場所となるのである。

「ザックアタック(ランペイジ)で妹がベルトを取った瞬間は、いまでも昨日のことのようにおぼえているよ」とザック。WWE入りを果たせず自暴自棄に陥り、一時は自殺も考えていた。が、映画でも描かれていたように家族と教え子たちに希望を見いだした。もちろん、妹の活躍、成功も励みになった。現在も兄とのタッグチーム、UKフーリガンズで活動。地元ノリッジのチャリティー活動にも参加し、週に3回は道場で子どもたちにプロレスを教えている。実際に会ってみたザックは、28歳にして達観したかのような雰囲気まで醸し出していた。「映画を観るまでは落ち込んだときもあったんだ。でも完成した本編を観たら悲しむことなんてないと思ったね。ボクたちの物語を世界中で多くの人たちが観て、理解してくれる。ボク自身もこの作品から元気をもらったひとりだよ(笑)」

次のページへ (3/4) 【ギャラリー】「ピンクレディー」に扮したザック・ナイトほか
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