予約したはずの飛行機が空港で“消失”!? 海外旅行の大ピンチ、世界を巡ってきた撮り鉄に何が起きた

ゴールデンウイークに充実の海外の旅を終え、いよいよ帰国の途に就こうとしたら、予約していたはずの飛行機がない!? そんな大ピンチに見舞われた旅行者のツイートが、GW最終日に反響を呼んでいた。日本とモンゴルを巻き込んだ騒動の渦中のツイッターユーザー、エルトレンドさん(@el_tren_de)に事のてん末を語ってもらった。

ウランバートル空港で寝耳の水の事態に直面したエルトレンドさんのツイート【写真:ツイッター(@el_tren_de)より】
ウランバートル空港で寝耳の水の事態に直面したエルトレンドさんのツイート【写真:ツイッター(@el_tren_de)より】

日本とモンゴルを巻き込む大騒動に発展

 ゴールデンウイークに充実の海外の旅を終え、いよいよ帰国の途に就こうとしたら、予約していたはずの飛行機がない!? そんな大ピンチに見舞われた旅行者のツイートが、GW最終日に反響を呼んでいた。日本とモンゴルを巻き込んだ騒動の渦中のツイッターユーザー、エルトレンドさん(@el_tren_de)に事のてん末を語ってもらった。(取材・文=大宮高史)

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「【悲報】アエロモンゴリア ウランバートル→成田便が消滅」

 5月7日、エルトレンドさんのこの投稿が日本のツイッターでトレンドに上がった。3月には予約し、eチケットまで発券していたはずのアエロモンゴリア901便(ウランバートル8時発、成田着13時30分予定)が、いざウランバートル・チンギスハーン国際空港に着いてみると搭乗案内にない。空港職員に聞いても「I don’t know that flight(そのフライトのことは知らない)」と答えるばかりで、フライト自体が幽霊のように“消滅”。何の前触れもなく欠航になっていた。

「私もアエロモンゴリア職員も『なぜフライトが存在しないのに、予約できているんだ?』と、一緒に困惑してしまいました」とエルトレンドさんは振り返る。

 海外の鉄道撮影を趣味にしており、これまでも何度も旅をして自前のサイトにも写真を載せてきたエルトレンドさんは、このGWに趣味仲間の友人と共に、モンゴルの鉄道撮影のために渡航した。

「主に、南部のゴビ砂漠と北部の炭鉱で走る、世界的に貴重なソ連製のディーゼル機関車を狙いに行きました。一眼レフカメラだけではなくドローンも持ち込み、ユーラシア大陸を横断する長大編成の列車を、モンゴルの雄大な風景と共に撮影しました」

 モンゴルの大地を走る列車をたくさんカメラに収め、意気揚々と帰路についたところで直面した大ピンチだった。

 その日は急きょ空港で別会社の便を探し、韓国・仁川空港経由で帰国することができた。

 一方、アエロモンゴリアは8日にフェイスブックを更新、5月3日から12日の間、機材メンテナンスのために国際線の一部を運休すると“後出し”ながら発表した。「今回のフライト消滅は、3月に欠航が決定されていたにもかかわらず、アエロモンゴリアと旅行代理店の連携が取れておらず、存在しないフライトを旅行代理店が販売してしまったことで起こりました」とエルトレンドさんは話す。現在でもアエロモンゴリアの公式サイト上には運休に関する告知は載っていない。

 東京(成田)~ウランバートル間の直行便はMIATモンゴル航空とアエロモンゴリアの2社が就航しているが、フラッグキャリアのMIATに対しアエロモンゴリアは2001年設立の新興エアライン。機材繰りやシステムに危うい面はあったようである。

「会社勤めの身にとって、日曜日AM発の東京への直行便ほどありがたいものはありませんので飛びついてしまいました。MIAT(ウランバートル7時45分発)は旅程を練っている時点で満席でしたし……。アエロモンゴリアについては、旅行かいわいにおいて『正規予約は担当者フェイスブックに直接メッセージを送る』『搭乗券が手書き』『1機のみで全ての国際線を運用している』といったうわさで、以前から何かと有名だったようです」

 一緒にモンゴルを訪れた友人たちは別のエアラインを予約しており、1人空港に取り残されかけた。学生時代、渡航先で乗るはずの航空会社の破綻を経験するほど旅慣れているエルトレンドさんにも初めての経験。しかも、学生時代よりタイトな社会人生活で見舞われたトラブルだったが、何とか予定日のうちに単身帰国できた。

モンゴルでも大反響、当のエアラインから直接メッセージが

 帰国後、航空券の返金交渉を考えていたエルトレンドさんのところに、ツイッター経由でアエロモンゴリアのCCO(最高顧客責任者)から直接コンタクトがあった。ツイートはモンゴルでも反響を呼び、モンゴルメディアにも取り上げられてニュースが広がっていた。また、エルトレンドさんがモンゴルで鉄道撮影の合間にリコーダーを吹いていた動画の投稿までモンゴルのツイッターユーザーに拡散された。

「ツイートした際は『ネタとして面白がってくれればいい』くらいの感覚でした」というエルトレンドさんは、一連の反響に驚きを隠せない。

「私の予想ですが、モンゴル国民からアエロモンゴリアにクレームが入ったのではないでしょうか。この旅行でモンゴルの人々は人同士のつながりを非常に大切にする民族だと感じました。彼らは遊牧民族ゆえに、生き抜くための助け合いの精神が強く育まれているのだと思います。そんな彼らからしたら、空港に一人取り残された旅行者を放っておくことなどできなかったのでしょう。モンゴルの人々が憤ったのは、人々の気質とアエロモンゴリアの対応が相反していたからだと思います。結果として、フライトが消滅したことで、モンゴルの人々の温かさに触れることができてよかったかもしれません」と、モンゴルの人々にも感謝している。

 アエロモンゴリアからはキャンセルになったおわびにフライトの返金か、モンゴルへの無料フライトというオファーをもらっているそうだ。旅行好きのエルトレンドさんには一転、うれしくも悩ましい選択に。

「この事件はあくまでアエロモンゴリアの問題であり、他の航空会社やモンゴルへの渡航そのものが危険、ということは一切ありません。『ゲルに泊まりたい!』『草原で馬に乗りたい!』『ソ連製の機関車が見たい!』という方、ぜひ気軽にモンゴルへ!!」と、トラブルにもめげずにモンゴルの良さもアピールしてくれた。

次のページへ (2/2) 【写真】モンゴルの雄大な大地を走る鉄道を満喫
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