山田孝之がマルチに活動する理由 俳優、監督、DJ、農業…「必要性」と「ワクワク」
俳優の山田孝之が発起人の1人としてスタートさせた短編映画制作プロジェクト・MIRRORLIAR FILMSがABEMAと初めてのタッグを組み、短編映画『恋と知った日』(ABEMAで独占配信中)を完成させた。4月22日からは東京・渋谷を中心に第1回「ミラーライアーフィルムズ・フェスティバル」を開催するなど、映画の裾野を広げるべく活動を続けている。山田はどのような思いでこのプロジェクトに挑んでいるのだろうか。その先に見据えるビジョンとは――。
自らの背中で挑戦することの面白さを体現
俳優の山田孝之が発起人の1人としてスタートさせた短編映画制作プロジェクト・MIRRORLIAR FILMSがABEMAと初めてのタッグを組み、短編映画『恋と知った日』(ABEMAで独占配信中)を完成させた。4月22日からは東京・渋谷を中心に第1回「ミラーライアーフィルムズ・フェスティバル」を開催するなど、映画の裾野を広げるべく活動を続けている。山田はどのような思いでこのプロジェクトに挑んでいるのだろうか。その先に見据えるビジョンとは――。(取材・文=中村彰洋)
――MIRRORLIAR FILMSはSeason4までを終えて、一段落しましたが、振り返ってみていかがですか。
山田「Season5~8のこともすでに動いています。短編にした理由はいろんなところで見られるようにしたい、映画との距離を作る側も見る側もみんなで縮めたいという思いがありました。映画祭(ミラーライアーフィルムズ・フェスティバル)もそうですが、全国のJOYSOUNDの『みるハコ』で鑑賞できるようになったことは、本当に良かったです。“非劇場上映”という形で、劇場がない地域でも見られるということはとても大きな一歩だと思っています。
僕が育ったのは鹿児島県の田舎だったので、映画館がなかったんです。今でもそういうところはあるし、今でも僕の育った地域には映画館がありません。それに、映画館があっても、そこで何を上映するかは映画館の人が判断することで、上映されるとは限らない。だけど、JOYSOUNDは全国にある。そういった部分で、映画というものがもっと身近になるのかなと思います」
――映画館以外で映画を見ることへの抵抗などはないのでしょうか。
山田「今はスマホやパソコンで見たりもできるので、形はそれぞれでいいと思うんです。それが合ってる人がいると思うので。自分が中学生のとき、映画館に行くのって緊張したんです。それでいいと思うんです。自分で時間を割いて、劇場まで足を運んでお金を払って、暗い空間で人と一緒に集中して見るというのはすごい良いとこだと思うんですよ。一方で、いろんな場所で見られるってことも重要。昔からどの俳優さんも言っているのは、『1人でも多くの人に見てもらいたい』ってこと。そのためには、見られる場所を増やしていくことは、とても重要だと思います」
――俳優、監督、バンドにDJ、農業など、山田さんのご活動は多岐に渡っています。最終的な目標などはあるのでしょうか。
山田「必要なこと、必要だと思うことをやっているだけですね。あとは好きなことかどうかです。頂いたお仕事のオファーも、自分がワクワクするかどうかで判断します。最終的なものなんか全くないですし、必要ないと思ってます」
――自分が本当にやりたいからやるということですね。
山田「やりたいのと、やる必要があるからです。新しいことって、0から始まるわけで、1になるのが早いんですよね。1から100に持っていくのは大変ですけど。そういうのが、毎回気付きがあって楽しいんです。初めてやるから、基本的にはできないし、できなくていいんです。みんなで意見を出しあって、『どうやったらこれを解決できるか』。そこに、面白いアイデアを用いて、どう乗り越えていくか。そういうことをやっている時間はすごい楽しいです。
やりたいと思ったことがあっても、人の目を気にしたりして、なかなか踏み出せない人も多いと思うんです。だけど、自分の人生は1度しかないわけで、いつ死ぬかも分からない。だったら、“思ったことをやった方がいい”と伝えていきたいんです。『こんなにいろいろやってるよ。見てごらん?』って。『ちょっとぐらい自分もやってみようかな』って思ってもらえたらいいなと思って、背中を見せているつもりです」
――間違いなく体現されていますね。今後のビジョンなどございましたらお教え下さい。
山田「ゆっくり釣りして生活したいですね。本当は海と畑の往復がいいですよ。でも、芝居や音を作るといった表現すること自体はすごい好きなんですよ。だから、何かしらはやり続けるんでしょうけどね。
僕はこれまでにいっぱい楽しませてもらったので、これからはまだ挑戦してない人、興味があるけど芝居をやったことがないような人たちにとって、スタートラインを見せてあげたいんです。もうちょっと近くに見えたら、1歩が踏み出しやすいんじゃないかと考えています。だから、こういうプロジェクトもやっているんです。『みんなスマホ持ってるんだから、映画を撮っちゃおうよ!』みたいな。別に良いとか悪いとかじゃないんです。やることがすごい重要。もっとみんなが生きやすい空間を作っていきたいです」