「有村架純は『えー、これで終わり?』と言った」リモート映画の撮影秘話

ショートムービー「きょうのできごと a day in the home」
ショートムービー「きょうのできごと a day in the home」

役者には「今こそ力試しだよ」と言った

――監督の一番伝えたかったことはなんでしょうか。

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「テレビを見ると、ニュースに踊らされる毎日ですよね。悲しいニュースも流れてくるじゃないですか。志村けんさん、岡江久美子さんの訃報……。直接は知らないにしても、みんなが知っている方が亡くなると、痛みが急に分かってくる。感染者数など数字だけでは分からないこともあって、そこに対しては苛立ちや憤りもあるんですが、劇中のような、くだらないけんかをしたり、こんなくだらない会話ができる仲間がコロナでいなくなってしまうことが一番よくないことだと思います。そういうことを顧みるいい機会なんじゃないか、と思っています。僕も俳優たちの芝居を観ていて、僕が言いたかったのはこれだったんだな、と改めて思いました」

――反響はいかがですか。

「配信から24時間経っていない段階で、5万人以上(5月7日現在、18万回視聴)に観ていただいたので、観ていただけているんだと実感しています。役者たちのためにも広く観ていただけば、と思っています」

――役者たちもコロナ禍で大変ですよね。もちろん、今回出演した俳優たちは困窮するということはないでしょうけども、エンタメ全体では映画、ドラマ、演劇が止まって、大変なことになっています。

「彼らはやっぱり若い頃から一緒に歩んできて、ブレークした方の人ですが、友人の中には、そうじゃない人もいます。彼らも、そういう人たちのことも考えているだろうと思います。彼ら自身も、精神的に参っていたところもありますよね。今、何をやっていいか、わからなくなってしまっている。ずっと仕事ばかりしてきた人が突然止められて、1か月以上も暇をしていると、悶々としてしまう。だから、役者には『今こそ力試しだよ』と言ったんです。今、何ができるのか、ただ、僕たちは好きなことだけをやっているのか。それだけではないはず。映画というのは社会の隙間から生まれてくる産物。コロナの時代をそういう目で見て、次の時代につなげていく。僕の場合も、今できるのは何かを考えて、昔、自分が撮った柴崎友香さんの原作映画を見つめて、今回のショートムービーができたんです」

――過去作の「きょうのできごと」も観直したいと思いました。ただ、オンライン配信はしていないんですね。

「『きょうのできごと』は今で言うと、ミニシアターでしかかからないような取り組みでした。こういう映画だからこそ、たくさん繋いで、その映画の命をつないでいってあげたいなっていう気持ちもあるんです。これを機に観直してもらったり、観ていない方には観てほしいと思います。オンライン配信もできたらいいなと思います」

(終わり)

□行定勲(ゆきさだ・いさお)1968年生まれ、熊本県出身。2000年、「ひまわり」で長編監督デビュー。01年、「GO」で第25回日本アカデミー賞最優秀監督賞をはじめ数々の賞に輝き、一躍脚光を浴びる。04年、「世界の中心で、愛をさけぶ」は興行収入85億円の大ヒットを記録し社会現象に。舞台「趣味の部屋」などの演出も手掛け、16年、毎日芸術賞演劇部門寄託賞の第18回千田是也賞を受賞。映画「劇場」「窮鼠はチーズの夢を見る」の公開を控える。

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