有村架純も自宅で撮影? 行定勲監督が明かすリモート映画のウラ話
俳優陣は「Zoom」で参加「『リアリティーを求めたい』と言いました」
――俳優たちはどこから撮影に参加しているんですか。自宅ですか。
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「Web会議ツールの『Zoom』をつかっていますので、各々、自分たちの生活圏の範囲の中です。だから、ライティングも自分たちでやってもらっている。みなさんがWeb会議をやっているのと同じ状態です」
――演出はどのようにしたのでしょうか。
「これも全部リモートです。撮影前にZoom上で顔を合わせた時には、『リアリティーを求めたい』と言いました、アドリブもあっていいと、それがリアリティーにつながるのだ、と。観ている人たちが、そこに参加しているような気分になるものを作りたいと言いました。そんなに多くを語ったわけじゃなくて、僕の思いだけ。映画好きという設定の役を演じてもらった高良には映画への僕の思いを託しました。『そのうち、映画が見られるようになりますよ。だから、頑張ってんじゃないですか』というセリフですね。この時は、画面に顔を寄せて、みんなに伝えてくれ、とか。そういうことをお願いしました」
――劇中には「2001年宇宙の旅」「パターソン」「ラブソング」「はなればなれに」「海の上のピアニスト」「ニュー・シネマ・パラダイス」などいろんな映画のタイトルが出てきます。これらは監督が好きなタイトルなんですか。
「決め事に使った映画のタイトル以外は役者のアドリブです。例えば、ジム・ジャームッシュ監督のゾンビ映画(『デッド・ドント・ダイ』)が観たいけど、タイトルが思い出せない、というシーンは僕自身がジャームッシュを好きなのに、観られないという気持ちです。佑君が(ジャン・リュック・ゴダール監督の)『はなればなれに』を観て、『よく分からなかった』という場面がありますが、本当は好きんじゃないかな。みんなに観て欲しいから、あえてそう言っているんだと思います。今の状況がタイトルに現れているのが洒落ている『はなればなれに』は僕も好きな作品です。人が観ると、僕が好きそうなタイトルが並んでいるわけだけども、こうやって、なんだか繋がっていくんだな、と不思議な気持ちになりますね。」
(後編に続く)
□行定勲(ゆきさだ・いさお)1968年生まれ、熊本県出身。2000年、「ひまわり」で長編監督デビュー。01年、「GO」で第25回日本アカデミー賞最優秀監督賞をはじめ数々の賞に輝き、一躍脚光を浴びる。04年、「世界の中心で、愛をさけぶ」は興行収入85億円の大ヒットを記録し社会現象に。舞台「趣味の部屋」などの演出も手掛け、16年、毎日芸術賞演劇部門寄託賞の第18回千田是也賞を受賞。映画「劇場」「窮鼠はチーズの夢を見る」の公開を控える。