阪本順治監督が早大で講義 学生の「オーディションで落とされた」報告に“爆笑対応”
映画『どついたるねん』『亡国のイージス』『北のカナリアたち』『半世界』などで知られる阪本順治監督が22日、東京・新宿区の早稲田大で行われた全学共通講義『マスターズ・オブ・シネマ』にゲスト講師として登壇し約300人の学生を前に新作『せかいのおきく』(28日公開)や過去作の秘話について語った。
最新作『せかいのおきく』が28日公開、幕末が舞台の青春ストーリー
映画『どついたるねん』『亡国のイージス』『北のカナリアたち』『半世界』などで知られる阪本順治監督が22日、東京・新宿区の早稲田大で行われた全学共通講義『マスターズ・オブ・シネマ』にゲスト講師として登壇し約300人の学生を前に新作『せかいのおきく』(28日公開)や過去作の秘話について語った。
講義は同大文学学術院の藤井仁子(じんし)教授との対談で進行。阪本監督は2019年公開の監督作『半世界』の撮影について触れ、晴天下での雨のシーンについて「俳優は演技第一なので、雨はそれをさらに盛り立ててくれます。雨にも映像美があり、俳優が何も語らずとも代弁するような景色になる。また、『雨いくぞ!』と言うとスタッフが一丸になります。雨だとNGが出せないので現場の緊迫感も高まりました」と振り返った。
また、主演の稲垣吾郎については「スーパーアイドルは太陽の部分を見せているが、長年生きているといやな大人も見たはず。日差しが強ければ強いほど影も強い。万人に愛されるイメージではなく、ナーバスな部分を役の中で見せてほしかった。影の部分を持っていた方が映画の主人公としては際立つ」と話した。
一方、質疑応答のコーナーでは手を挙げた男子学生が「『半世界』の子役オーディションを受けたことがありますが、落とされました」と衝撃告白すると、阪本監督はビックリしながら「大人はオーディションをめったにしませんが、子役はやります。『何とか劇団の何々です』と決まったことを言う子や故意に自分を大きく見せようとする人は通しません」と方針を示しながらも「今度オーディションがあったら受けてください」とフォローし大教室が爆笑に包まれた。
また、オーディションの信念を問われると「『この役はイメージに合いません』と言う事務所や俳優さんは採用しません。他の映画を見て『演技うまいな』と思うことはありますが、その俳優が普段どうしているのかなと勘繰ります。俳優は自分ではないだれかのことを考え続けなければいけない。日常的にだれかのことを考えているな、という俳優さんを探します」と語った。
『せかいのおきく』は、声を失った武家の娘おきくと雨宿りで出会った若者ふたりが過酷な青春を共に駆け抜けるストーリー。幕末を舞台に厳しい現実にくじけそうになりながらも心を通わせることを諦めない若者たちの姿を描き出している。阪本監督は18年の講義に続いて2回目の登壇となった。