一見普通のシルバー色のプリウス。よく見ると、左ハンドル!?　しかも、ルーフが開いている！　これはプリウスなのか……。仰天の1台を愛用する30歳の男性オーナーは、アメ車や外国車の愛好家でもあるという。個性が凝縮されたカーライフに迫った。

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　左ハンドルの理由は、ずばり「逆輸入」。北米仕様の2013年モデルだといい、「北米の純正です。約2年前に手に入れました。開閉式のサンルーフはオプションで、日差しの強いカリフォルニアなのにアメリカにもマニアックな人がいるんだな、と思います。しかも、前のオーナーさんは大事にガレージ内に止めていたそうなんです」。屋根にソーラーパネルが付いており、エアコンは内気循環についてソーラー発電で対応できるという。

　さらに、「不思議」なポイントがあるといい、「サイドミラーが手動なんです。どうもみんなこの仕様みたいです」。タイヤのホイールは自らおしゃれなカスタムを施しており、「ムーンディスクを付けました。宇宙船っぽくなるかなと思って」。それだけに、独特なオーラを放っている。

　個人輸入は手続きに手間がかかったといい、船で運ぶのに2か月半、購入から半年の時間を要して日本国内でナンバーを取得できた。「そもそも、アメリカの現地トヨタに、プリウスが欲しいと問い合わせたら、『あなたの国の方がたくさん売っているでしょう』と言われたぐらいなんです」と話す。

　そこまで苦労してまで、なぜ北米仕様のプリウスを求めたのか。オーナーの愛車遍歴と、実は4台持ちのコレクションをひもとく。

　高校2年の時に映画『トランスフォーマー』を見て、「カマロがかっこよくて、それでクルマのよさを知ったんです」。車好きにも人気の映画『ワイルド・スピード』をきっかけに、日産スカイラインGT-R R34型を購入。アストンマーティンに乗っていたこともある。プリウスが気になった理由の1つは「映画『ラ・ラ・ランド』 のヒロイン・ミアが乗っていたのがプリウスで、『向こうの人も乗っているんだ』と思ったことも印象に残っていました」。現在は、北米プリウスに加えて、右ハンドルのBMW X2、日産 S15シルビアのコンバーチブルを保有。そして、お気に入りの60年代アメ車。64年式のシボレー・シェビーII ノヴァSSだ。

「実は、通勤用の車を買いたいとなった時に、チャレンジャーやカマロが思い浮かんだのですが、普段ガソリンを使っている分、通勤用はエコカーでバランスが取れれば。そう考えて、プリウスにしよう、と決めたんです」。シェビーIIはリッター1、2キロで、4日に1回は給油する。一方で、プリウスは「毎日乗っても、2か月に1回ぐらい。燃費のよさを実感しています」とのことだ。快適なマイカー通勤の日々を送っている。

　日本では珍しい左ハンドルの北米仕様だからこそ、こんなこぼれ話が。「メーター類はマイル表示です。友人が乗った際に、ガソリンの残りの距離について、『メートル』だと勘違いして、友人が慌てることがありました（笑）。それに、商業施設の機械式駐車場で、係員から助手席の妻に対して、『運転手さん、そのまま乗っていてください』と言われることもあります。僕が運転中で、助手席の妻がスマホをいじっていると、『ちょっといいですか』と止められた時は、警察の方も『あっ』と気付いて。そんなこともあります」。街中でよく見かけるプリウスは日本仕様の右ハンドルが一般的。まさか左ハンドル仕様が走っていることは考えづらく、勘違いを呼び起こしてしまうのだろう。“ならでは”のエピソードだ。

　ハンドルを握ることで、仕事が忙しい時は、頭の切り替えができる。それに、ものづくりの技術の粋に触れ、「車には、人間が作り出した可能性、ロマンを感じます」と目を輝かせる。大満喫のカーライフに加わったプリウス。「長持ちする車を買うことができました。壊れにくさに信用があります。今の総走行距離は10万キロぐらいですが、場合によってはモーターを交換して、できるだけ長く乗っていきたいですね」と話している。