Netflixでタイ映画が1位に 料理バトルを描いた『HUNGER』 中華鍋で和牛を料理の豪快さに仰天

Netflixは19日、グローバルTOP10(10~16日集計)を発表し映画部門(非英語)でタイ映画『HUNGER(ハンガー)』が1位を獲得した。総視聴時間は英語部門で1位の『The Last Kingdom: Seven Kings Must Die』を上回っているため総合でも1位となった。

Netflix映画部門のグローバルTOP10でタイ映画『HUNGER』が1位を獲得【写真:(C)Netflix】
Netflix映画部門のグローバルTOP10でタイ映画『HUNGER』が1位を獲得【写真:(C)Netflix】

タイ社会の格差問題やドラッグ、違法な狩猟も描いた骨太作品

 Netflixは19日、グローバルTOP10(10~16日集計)を発表し映画部門(非英語)でタイ映画『HUNGER(ハンガー)』が1位を獲得した。総視聴時間は英語部門で1位の『The Last Kingdom: Seven Kings Must Die』を上回っているため総合でも1位となった。

(※以下、映画の内容に関わる記述があります)

 路地にある庶民食堂で働く料理人の華麗な転身と挫折、そして自分にとっての幸せを見つけていくフードバトル映画。中華鍋を勢いよく振るう若い女性オイは退屈な毎日に疲れ“特別”な人になることを夢見ていた。ある日、有名シェフの部下がやってきてオイをスカウト。連れていかれたのは冷酷なシェフ・ポールのキッチン。狂気をはらんだポールはオイに厳しく調理指導を行い、最高級和牛を中華鍋で焼くよう命じる。やがて認められたオイはポールとともにキッチンに立つが、違法な料理にも手を出すポールに反発し辞職。その後、フードプロデューサーの支援を受けて高級レストランのチーフシェフを任された。“特別”な人になったオイは、奇しくも大富豪のパーティーで師弟料理対決を繰り広げることに。最後に勝利したのは…。

 貧困に苦しむストリートフードの料理人を演じたのはモデルから俳優に転身したチュティモン・チュンチャロエンスキイン。屈折した心理の持ち主だが、正義感が強く家族思いの主人公を初々しく演じている。Netflixの大ヒット韓国ドラマ『イカゲーム』にカン・セビョク役で出演したチョン・ホヨンに顔立ちがよく似ており、元モデルというところも共通点だ。香港で発刊されている英字紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』はチュティモンについて「主役として輝かしい活躍を見せアジアで最も優れた若手女優の1人であることを証明し続けている」(4日付電子版)と称賛している。

 基本は料理バトルだが、ストーリー展開はゆっくりと落ち着いており、せりふとせりふの“間”もたっぷりと取られている。それでいて画面は鮮烈な色彩にあふれ、確かな照明技術でくっきりとした陰影が彫り込まれている。貧富の格差と富裕層の乱痴気ぶりが批判的に描かれているが、それだけではなく富裕層の豪華な食事のおかげで貧困層にマネーが流れるといった現実も入れ込んだ。あくなき食材への執着、料理への執念、社会的名誉とその価値など料理を取り巻く世界観も多面的に見せる骨太映画だ。

 SNSには「料理とキャスティングがバラバラ。キャラクターの魅力を引き出すニュアンスが欠けている」などといった評価もあるが、先週の初登場2位から今週はトップに躍り出ており世界中の視聴者を魅了しているのは確かだ。

『バンコクポスト』(12日付英字電子版)によると、同作のシティシリ・モンコルシリ監督が韓国・ソウルのNetflixオフィスで開催されたAPACフィルムショーケースに招かれ「私たちは食べ物を使って物語を進めますが、物語は食べ物への渇望(Hunger)だけではなく、私たち全員の中にある渇望についても描いています。重要なものを手に入れるためにどこまで進んでいくべきか、についてです。そしてこの映画はこれらのさまざまな問題のいくつかを浮き彫りにしています」と語った。タイのローカルフードと高級料理、どちらがおいしいのか……。そんなところも噛みしめながら見てみたい作品だ。

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