ライブハウスの窮地を救うか!? チャンスに変える「無観客配信」ポイントはネット環境の整備と僅かな工夫
ライブチャンネルと会議用アプリとの組み合わせで臨場感を演出
しかし、ある程度の規模のアーティストに限定されたり、クオリティを保つための機材や人員について「密」にはならないのかという疑問もある。これについては、「現地には必要最低限のカメラとスタッフがライブを撮影、録音して、インターネットを介してスタジオやスタッフの自宅などの『中継地点』に飛ばします。そこで映像と音を調整して配信するので、ライブハウスの中でスタッフが密集する事はありません。お客さんがいない分、今までに出来なかった映像演出で、これまでにないライブ映像と音が楽しめるチャンスだと思います。スタッフ間のインカムや返し映像確認用に各スタッフ所有のスマホを使ったりもできますね。これは大小様々な規模で予算に合わせて対応可能です」と説明した。
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「ただし、お客さんのいないライブなのでリアクションがないのが、やっぱり寂しいですよね。ここは色んなアイデアを出していかないといけないかなと。例えば演奏の合間のMCで会議用アプリにお客さんを招待して、リアルにやり取りをするとか、また1つのアイデアですが、大きな画面やプロジェクターにライブを見ている何十人というお客さんをアプリで映して、そのお客さんも一緒にライブを盛り上げるなど、面白いかもしれないですね。例えばその権利をゲットするためにVIPチケットみたいなものを売ってみるとか、リクエストや感想もリアルタイムでもらえますよね。音楽に限らずお笑いや舞台や、その融合など、考えるとまだまだ色んなアイデアが出せそうですよね」と配信する上でのストーリー作りの大切さを説いた。
最も大きな問題はネット環境だ。「いまテレワークや自宅にいる時間が多いのでネット回線が軒並み遅いですよね。ライブを配信する時間帯はまさにその中でもコアな時間帯なので、会場のネット状況によっては、配信が出来ない、配信画質クオリティ確保できないとなると、ライブでは致命的です。この対策として、すべてに当てはまる訳ではありませんが、ライブをやる時だけ、配信専用回線をレンタルして使うという手もあります。これまでネット環境がなかったり、ネットスピードが不安定、遅い会場から配信する事もよくあったので、ネット環境が良くない会場でも、お客さんが入っていない分、調整次第で対応はできるかもしれません。ただ今後のためにライブハウスも、しっかりしたネット環境を整えた方が良いと思います」と推奨した。
同じく今後の課題として演劇とオーケストラを挙げた。「少人数ならいけますが、大人数の場合は密になってしまいますからね。大きな会場で間隔を保てば可能性もありますが、これからの課題です」と話した。
最後に「これまでの状態には戻れない。我慢と不満を口してるだけでは状況は好転しないと思って、今までとは違う、新しい形探しというか、そういった一歩を踏み出す前向きな決断と行動力が必要になってくると思います。やっぱりエンタメって『面白さ』とか『ワクワク感』みたいなものも根っこにあると思います。ライブスペースも伝統のある建物は次々と壊され、機材や音響も古き良きヴィンテージものからデジタルに変わり、会計だってキャッシュレスになり、喫煙だってできなくなってきた。きっとコロナがなかったとしても、いずれ変化を求められる時代がくる。そう考えるとちょっと早めにそのタイミングが来たと思って、好奇心を忘れずにお互いに知恵を絞りながらピンチをチャンスに変えていきたいですね」と語った。