朝ドラと大河で主人公の少年期 11歳・小林優仁が吉沢亮と神木隆之介にもらった大切な言葉

2021年放送のNHKの大河ドラマ『青天を衝け』で、主人公・渋沢栄一の少年時代を演じた俳優・小林優仁が、今度は連続テレビ小説『らんまん』で主人公・槙野万太郎の少年時代を演じた。大河と朝ドラ両方で主人公の子ども時代を演じたケースは過去に鈴木梨央、新井美羽と女性はいたが男性は小林が“史上初”。どこを調べても前例は見当たらない。小林は大河、朝ドラ以外でも『真犯人フラグ』をはじめ民放の人気作にも多数出演。陰も陽も巧みに演じる抜群の演技力を持つ。素顔はどんな少年なのか。取材すると驚くようなもう一つの顔もあった。まずは、なぜ芝居の世界に入ったのか。

大河と朝ドラの両方で主人公の少年期を演じた小林優仁
大河と朝ドラの両方で主人公の少年期を演じた小林優仁

『らんまん』で万太郎、大河ドラマ『青天を衝け』では渋沢栄一の子ども時代

 2021年放送のNHKの大河ドラマ『青天を衝け』で、主人公・渋沢栄一の少年時代を演じた俳優・小林優仁が、今度は連続テレビ小説『らんまん』で主人公・槙野万太郎の少年時代を演じた。大河と朝ドラ両方で主人公の子ども時代を演じたケースは過去に鈴木梨央、新井美羽と女性はいたが男性は小林が〝史上初〟。どこを調べても前例は見当たらない。小林は大河、朝ドラ以外でも『真犯人フラグ』をはじめ民放の人気作にも多数出演。陰も陽も巧みに演じる抜群の演技力を持つ。素顔はどんな少年なのか。取材すると驚くようなもう一つの顔もあった。まずは、なぜ芝居の世界に入ったのか。(取材・文=中野由喜)

「両親の勧めで4歳の時から『こども歌舞伎スクール 寺子屋』に通いはじめ、6歳のとき歌舞伎座で初舞台を経験しました。その時にお芝居が好きになり、もっと大勢の人に見てほしいと、テレビや映画など映像の仕事に興味をもつようになったんです。初めて見た映画はクリント・イーストウッド監督の『ジャージー・ボーイズ』です。ニューヨークのブロードウェイでも観劇しました。日本の作品だと1939年の『鴛鴦(おしどり)歌合戦』は80年以上も前の作品なのにおしゃれで好きです」

 小6にしては相当マニアック。芝居の魅力、演じる楽しさをどこに感じるのか。

「俳優さんとのかけひきとか、自分とは別の人間になれることでしょうか」

 大変だと思うことはないのだろうか。

「ずっと走り続けたり、木登りとか体力的に大変なこともありますが、嫌だと思ったことはありません。お芝居をしていると楽しいし、面白いです。普通は体験できないことができますから。役になりきるということは自分とは別の人間になれて、普段はできない体験ができます。そこは、やっていて良かったなと思います」

 ドラマデビューでいきなり大河の主人公の子ども時代の役。あらためて当時の感想を聞いてみた。

「初めての映像作品でドキドキ、ワクワクでした。最初は緊張しましたが、舞台と違って撮り直すことも可能なので『よりいいものを、もっともっと』と思ってやっていました」

 大人顔負けの姿勢。芝居にかける熱い思いを感じる。大河と朝ドラの両方で主人公の子ども時代を演じた男性は“史上初”とされるが、そんな姿勢が役と巡りあわせたのかもしれない。

「朝ドラのお話を聞いたときは純粋にうれしいと思いましたし、あらためて、いいものを作ろうという思いがわいてきました」

『青天を衝け』の主演・吉沢亮や『らんまん』の主演・神木隆之介とはどんな話をしたのか。

「神木さんのテレビ電話で、吉沢亮さんと3人でお話しました。吉沢さんから『お互いに撮影、頑張ろうね』と言ってくださり、すごくうれしくなりました。神木さんは『俺たちファミリーだから』と言ってくださいました。心の支えです」

 どちらの作品も役になりきることを心掛けたというが、『らんまん』では具体的にどんな少年・万太郎を心掛けたのか。

「万太郎はすごく知りたがり屋。好奇心旺盛な少年を意識しました。あとは筆で植物の細い線の絵を描くことも練習しました。万太郎らしく、すごく上手になったと思います」

 大人顔負けのしっかりした返答が続く。普段の素顔が気になる。すると俳優以外のもう一つの顔があった。

「5歳年下の弟・篤弘と2人でSpace Brothersというユニット名でミュージシャンもやっています。誕生日のプレゼントにiPadを買ってもらったのをきっかけに、無料の講習会に参加し、ネットで調べて作曲をやってみたら楽しくて。それが進化した感じです。パソコンでEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)を中心に作曲をしています。意識しているのは、みんなが楽しい気持ちになって踊れるような曲。夏にはYouTubeで自分が出演するミュージックビデオを自分で撮って自作の曲を配信する予定です。将来はコンサートもやってみたいです」

 楽曲を聴くとプロかと思うほどの完成度。小6とは思えない世界観。俳優だけでなく音楽の世界でも計り知れない才能を感じる。NHKの音楽番組で特集されたこともあるという。

「お芝居も音楽も、やっていてすごく楽しいから、つらいとか大変だと感じたことはありません」

 学校生活など日常の顔も気になる。

「好きな科目は算数と体育で、スポーツは何でも好きです。家庭科の成績もいいです」

 テレビの国民的番組で活躍し、スポーツも得意。学校では女子にモテモテか。

「いえ、そんなことはないです」

 顔を赤らめた姿がかわいらしい。これまでの受け答えから、小6とは思えないほどしっかりしていて、素直でまじめな性格をうかがえる。学校では友達がたくさんいるという。

「家では洗濯物を干す手伝いをしたりします。一番楽しいのは弟とギューとハグしあったり、じゃれあって遊ぶときです」

 才能豊かな少年。将来はどんな大人になりたいのか。夢や目標を聞いてみた。

「当面の目標は主演としてドラマに出演すること。もちろん大人になっても、大河と朝ドラの両方で主演をやりたいです。あとはアクションもやってみたいし、ハリウッド映画出演も目指したいと思います。音楽は世界の人に届くような作品を作りたいです。世界中の人に踊りたくなるような楽しい気分になってほしい」

 母は海外の舞台で活躍した元バレリーナ。世界という言葉が自然に出てくることに納得だ。4歳のときにはロサンゼルスでダンスのレッスンも受けた。あふれ出るような才能としっかりした態度に驚くばかりだが、取材時に幼い弟に抱きつかれた際に見せた表情は優しいお兄ちゃん。弟とじゃれ合うときの笑顔には子どもらしさもしっかり見えた。

□小林優仁(こばやし・まさひと)2011年4月25日、東京生まれ。21年のNHKの大河ドラマ『青天を衝け』で渋沢栄一(吉沢亮)の幼少期、テレビ朝日系『桜の塔』の主人公・上條蓮(玉木宏)の幼少期、日本テレビ系『真犯人フラグ』では西島秀俊と宮沢りえが演じた夫妻の息子・相良篤斗を2クール連続で演じた。22年はテレビ朝日系『六本木クラス』で綾瀬りく(さとうほなみ)の幼少期役、TBS『石子と羽男-そんなコトで訴えます-』ゲスト出演。フジテレビ『ナンバMG5』には兄弟で出演。2023年NHK朝ドラ『らんまん』で槙野万太郎(神木隆之介)の少年期。Eテレ『ワルイコあつまれ』にもレギュラー出演中。得意なスポーツはサッカー、バスケットボール、剣道。特技はストレッチ、ダンス、作曲。趣味は登山、ドラマ、映画鑑賞、ライブ通い。

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