自動車レース会場を彩り、選手やファンを元気付ける存在のレースクイーン。日本最大級のカーレース「SUPER GT」で今季、GT500クラスに参戦する名門レースチーム「ARTA（読み方：エーアールティーエー）」をサポートするのが、「ARTA GALS」（エーアールティーエー・ギャルズ）だ。2023年は選ばれし6人が活動する中で、ENCOUNT編集部は、美しさや強さ、おもてなし精神を兼ね備えた彼女たちに“直撃”。新加入となる28歳、藤井マリーの魅力に迫った。全6回の6回目。

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　2023年シーズンのARTA GALSは、真木しおり、はらことは、沢すみれの3人が引き続き参加。新たに、藤井、今井みどり、木村理恵の3人が加わり、6人体制で活動を展開する。

　藤井はパキスタン人の父、日本人の母を持つ。もともとはタレント志望だったのに、なぜレースクイーンの道に入ったのか。

「さまざまな活動ができるタレントを目指して芸能事務所に所属していたので、レースクイーンにまさか自分がなるとは全く思っていませんでした。シーズン途中でけがをしてしまったレースクイーンさんの代理オーディションがあり、事務所の勧めでオーディションに行きました！　オーディションの数日後にはサーキットに立っていたので劇的デビューでしたね」。2017年のことだ。そこからモータースポーツの知識を勉強し、レースの魅力にどっぷり漬かり、今に至る。

　そもそも、芸能界に入る前は化粧品会社に勤めていた。向上心にあふれる性格が、新たな扉を開けることになった。「その時の目標は店長になることだったのですが、22歳の時にはもう店長になっていて毎日を過ごす中で、新しい目標がなかなか見つからなかったんです。このままじゃ人間力が上がらない、普通に転職してもきっとまた同じ環境になってしまうかもしれない……。そう思った時に自分の気持ちによって目標をどんどん高くできるお仕事は芸能界だなと考えて、思い切って会社を退職して飛び込んできました」。チャレンジを続ける人生だ。

　その化粧品会社時代に培った特技は「メイク」。現在のレースクイーン活動に生かしており、「季節や服に合わせたカラーメイクが得意なので、ARTA GALSのコスチュームのブラックに合わせたメイクも研究していきます！　自分の気分も上げられるのがメイクの魅力です！」とのことだ。

　グラビアやバラエティー番組、アイドル活動など幅広く活動してきた。これらの多様な経験は、レースクイーンの魅力発信のための原動力でもある。

「レースファンの方に伝えたい情報や情熱も届けながらも、私のフォロワーさんの中にはモータースポーツを全く知らない方もいるので、誰の目にも留まりやすいようなSNS投稿もするように意識しています！　初めてサーキットに来てくれる人を増やしたい。だからこそいろいろな仕事に挑戦しています」。何年も何年も試行錯誤を続けているといい、「その思いが通じて実際に私をきっかけにサーキットに足を運んでくださったり、モータースポーツにハマってくださった方もいるので、もっとたくさんの方にモータースポーツを好きになっていただけるように全力で活動し続けたいです！」。

　チャームポイントは「砂時計ボディーです！　肩から55センチのくびれ、くびれから1メートルのヒップを線で結ぶと砂時計になります！　メリハリある体のラインを意識しています！」。その体型維持の秘訣（ひけつ）は、3年前から週3で通うボクシングジム、トレーニングジムでの体作りだという。

　過去に、アイドルグループの恵比寿マスカッツに所属。「バラエティー番組が毎週あったのですが、挑戦することへの恐怖を捨てることが今に生きています！　不思議な企画もたくさんあって（笑）。バラエティーは正解がない、だからこそ無限大。それを勉強させていただいて、振り切る力は身に付いたと思います」という。また、このほど、栄えある「日本レースクイーン大賞2022」を受賞した。「こんなにたくさんの方に応援してもらえて支えてもらっているのだと実感したと同時に、みんなが大切にしているこのレースクイーン文化を守りたいという気持ちです。レースやモータースポーツを盛り上げるだけでなく、世間にレースクイーンの存在をもっと知ってもらって、アイドルや女優のように『レースクイーンになりたい！』と思ってもらえるような輝きを放つ“職業”にできるように、みんなで頑張りたいと思います」。あふれる思いを示した。

　レースクイーンとして最も輝く瞬間とは。「自分が輝いているかは分からないですけど、感性豊かだね、表情がコロコロ変わってすてきだね、と言われることが多いです。レースは喜びもあれば悔しい時もあって、結果や内容によって湧き上がる感情をかみしめたり、表に出している時に、『幸せだな』と感じます。たとえどんな状況だとしても、喜怒哀楽を表している人間は誰もが輝いていると思います。自分が走っているわけでも、車を作っているわけでもないけれど、他のスポーツチームを見ても、こんなに近くでチームの応援ができる広告塔はレースクイーンだけだと思っています。共有できる気持ちが強い分、感情を大切にしている私にはやめられないポイントの1つですね。それに、応援してくださる皆さんとチームの心の懸け橋になることがレースクイーンの意義です」と教えてくれた。

　自身の表現者としての理想像についても、「とにかく、人にたくさんの感情を与えられる人になりたいです」との思いを明かす。レースクイーンの表舞台でも、目いっぱいに感情を表現していくつもりだ。

　今季、新たに仲間入りのARTA GALSとしての目標。「今季は名門ARTAと無限のタッグ！　今までにないパワーにSUPER GTファンの皆さんも注目しているチームだと思います！　名門チームだからこその歴史や威厳を感じるとともに、そこに新たなパワーが加わることでより、今シーズンはさらに進化していく姿を魅せていただけるのだと思うのですが、それと同じようにレースクイーンも伝統を守りながらも時代や流れに対応していき進化し続けることが目標です！」と力を込めた。