苦労人のバイオリニストがビッグネームに信頼されるまで「最後にできるのは諦めないことだけ」

浜田省吾、Dragon Ash、AI、SixTONES、なにわ男子などのレコーディングやサポートミュージシャンとして信頼されるバイオリニストがいる。岡部磨知(おかべ・まち)。2013年、「美人すぎるバイオリニスト」として注目され、第1回Yahoo!検索大賞で検索急上昇1位に選出された。モデル、タレントとしても活動。その一方で、音楽が嫌いになるほどの「暗黒時代」があったという。そんな岡部の素顔に迫った。

4月22日に3年ぶりのライブハウスでのソロライブを行う岡部磨知【写真:(C)サンミュージック】
4月22日に3年ぶりのライブハウスでのソロライブを行う岡部磨知【写真:(C)サンミュージック】

SixTONES、AI、浜田省吾らが認めるバイオリニスト・岡部磨知

浜田省吾、Dragon Ash、AI、SixTONES、なにわ男子などのレコーディングやサポートミュージシャンとして信頼されるバイオリニストがいる。岡部磨知(おかべ・まち)。2013年、「美人すぎるバイオリニスト」として注目され、第1回Yahoo!検索大賞で検索急上昇1位に選出された。モデル、タレントとしても活動。その一方で、音楽が嫌いになるほどの「暗黒時代」があったという。そんな岡部の素顔に迫った。(取材・文=福嶋剛)

岡部は兄の影響で3歳からバイオリンを始めた。進路も迷わずに演奏家につながる選択をしたが、東京・原宿でスカウトされて最初の転機が訪れた。

「高校生の頃、原宿でスカウトされてヘアモデルをやり始めました。当時は美容師ブームでカリスマ美容師の方が、全国でショーを開催していたのですが、そこで『やってみたら?』と提案をいただいて、ウォーキングしたあとにバイオリンを演奏してみたんです。これが大受けで、お客さんに喜んでもらったんです。その瞬間、『私はこっちに進みたい』と思い、オーケストラではなくミュージシャンの道を選択しました」

大学時代、歌番組のバックバンドやスタジオミュージシャンとしての活動が増え、卒業のタイミングで高嶋ちさ子がプロデュースする『12人のヴァイオリニスト』の初期メンバーに選ばれた。

「在籍期間は10か月と短かかったのですが、高いプロ意識を常に持ち続けることやお客様を感動させる大切さを高嶋さんから学びました。その経験を生かして今度はソロミュージシャンとして活動したいと思い、グループを卒業後、ゼロから曲作りを勉強して自主制作でCDを作り、代々木公園でストリートライブをやったり、ライブハウスで演奏する毎日を過ごしていました」

サポートミュージシャンとしての仕事はあったが、23歳から28歳までの5年間はソロとしては鳴かず飛ばずで、心が折れる寸前だったという。

「私の“暗黒期”です。まだSNSが主流になっていなかったので、自作のチラシを街で配って自主ライブを開催したり、それに合わせてCDを2、3枚制作しました。『新しいファンを作りたい』と思い、できることを全てやりましたが、お客さんも少ないままでした。そして、『私には無理だったのかな』と落ち込むことが増え、ほかの人のライブや演奏を見るのが辛くなりました」

すると、思わぬところから2度目の転機がやってきた。あることが切っ掛けで、「美人すぎるバイオリニスト」として注目を浴びるようになった。

「負けず嫌いの性格だったので『最後に自分ができることは諦めないことだけ』と思い、自分に懸けてみました。そして今の事務所にお世話になったとき、あるアーティストのサポートであいさつ代わりに私のCDを渡したら、知らない間に(『美人過ぎるの』評判が)広まって、そう呼ばれるようになりました。そこでYahoo!さんの『第1回Yahoo!検索大賞』で検索急上昇1位という賞をいただいたんです。私自身、全くその実感が湧かなかったんですが、それがきっかけで情報番組のコメンテーターやラジオのMCというチャンスをただきました」

演奏よりも容姿やタレント性を評価された形だが、抵抗感はなかったという。

「極論、私という存在で楽しい気持ちになっていただけたら、それが演奏だろうが容姿だろうが関係ないと気付いたんです。自分に何ができるかなんて自分では分からなくて、私がやる中でお客さまが『楽しかった』と思うものを持って帰ってもらえたら、それが1番の幸せです。暗黒期のおかげですね(笑)」

スタジオミュージシャンとしてレコーディングする様子【写真:インスタグラム(@machi_okabe)より】
スタジオミュージシャンとしてレコーディングする様子【写真:インスタグラム(@machi_okabe)より】

サポートミュージシャンとしてのやりがい

岡部は今やビッグアーティストたちが全幅の信頼を寄せるミュージシャンに成長し、多忙な日々を送っている。そして、サポートメンバーとしての喜びも感じている。

「同じアーティスト、同じ曲順のライブでも会場やお客さんの雰囲気、温度感が違うだけで、ライブは全然変わりますし、アーティストのアドリブやアクシデントさえも楽しめてしまうのが、ライブの醍醐味なんです。例えばAIさんのメンバー紹介は、リハーサルとは全く違っていて、私には冗談半分で『じゃあ、バイオリンで今の気分を弾いてみて』と言って、お客さんと一体になって楽しませてくれますし、反対にリハーサル通り忠実に進めることでお客さんに安心感を与えるベテランアーティストさんもいらっしゃいます。そんな主役のみなさんに引っ張ってもらいながら、私たちサポートミュージシャンもステージでの時間を楽しんでいます」

ジャニーズ事務所のSixTONES、King&Prince、なにわ男子からDragonAshまで幅広くサポートを担当。憧れのミュージシャンのライブに携わることもある。

「20代の頃、浜田省吾さんの全国ツアーでバイオリンを弾かせていただきました。初めは緊張しましたけど、打ち上げで『今日はありがとう!』ってメンバー1人1人に握手してくださって、とっても優しくてカッコいい方でした。Aimerさんは、個人的に大好きなアーティストでツアーメンバーに選ばれた瞬間はうれしかったですね。自分がずっと聴いていた曲をご本人と一緒に演奏できるって幸せなことですよね。

ステージ上では思いがけないアクシデントもあるが、岡部はそれさえも楽しむ姿勢が大切だと話す。

「バイオリンの弦はギターと違ってそう簡単には切れないんですが、ライブ中に一番高い弦が切れてしまって、そのまま完走したこともあります。演奏を終えてバンドメンバーが舞台袖にいったん下がる場面もよくありますが、私だけタイミングを間違えて勝手に引っ込んでしまい、『おいおい』って突っ込まれてステージに戻されたこともあります。もちろん、お客さんは大爆笑でした(笑)」

コロナ禍の3年間は苦しくもあったが、4月22日には約3年ぶりのライブハウスでのワンマンライブを都内で予定している。

「私にとって生きている喜びを思い切り味わえるのがライブです。お客さんと同じ時間を共有できるってこれ以上貴重なことはないです。ようやく声も出せるようになって3年間で忘れかけていたライブハウスの楽しさをみなさんと一緒に思い出しながら、楽しいバースデーライブにしたいと思います」

岡部にとって、バイオリンは家族でも相棒でもない。それ以上の存在だという

「世の中からバイオリンがなくなってしまったら、私は生きていけなくなるかもしれません。そのくらい大切な存在なので、『バイオリンとは体の一部分』と言った方が良いのかもしれませんね。バイオリンを弾いた瞬間に人間・岡部磨知が完成するんです。依存し過ぎすかもしれないですね(笑)」

帰宅してもメンテナンスや技術向上を考えながら、愛おしいバイオリンと一緒に過ごす。そんな毎日が今は楽しくて仕方がない。

□岡部磨知(おかべ・まち)1984年3月23日、茨城・日立市生まれ。3歳からバイオリンを始める。桐朋女子高音楽科を経て、桐朋学園大卒業、同大の大学院研究科を修了。在学中から演奏、モデルと幅広く活動し、さまざまなアーティストのライブ、レコーディングをサポート。イベントにはソリストアレンジャーとして参加し、現在はふるさと日立大使を務めている。趣味は漫画を読むこと(3000冊所有)、猫、辛いもの巡り。161センチ、血液型AB。

岡部磨知公式HP:https://www.machi0323.com/
ツイッター:https://twitter.com/machi_okabe
インスタグラム:https://www.instagram.com/machi_okabe/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCndvls3ov1LGFxgDm_dJkig

「岡部磨知 バースデーライブ2023」
日程:2023年4月22日(土曜日) 午前11時45分会場、午後12時30分開演
会場:DAIA(東京・渋谷)
ゲスト:Keiko(アレンジャー、キーボーディスト)
詳しくは公式HPへ https://www.machi0323.com/

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