武尊、那須川天心へ「簡単に負けてほしくない」 ボクシング転向したかつてのライバルへ贈る言葉

元K-1・3階級王者の武尊(team VASILEUS)は6月24日(日本時間)にフランスでベイリー・サグデン(イギリス)との復帰戦が決まった。ABEMAと専属ペイ・パー・ビュー(PPV)ファイター契約を締結し、1試合の最低報酬は1億円という破格の契約で、さらにPPV収益の売り上げに応じた追加報酬も支払われることも決まった。昨年6月19日の「THE MATCH 2022」での那須川天心戦以来、リング帰還を果たす武尊がENCOUNTの独占インタビューに応じ、今の格闘技界へ思うことを明かした。

武尊が今の格闘技界に思うこととは【写真:石渡史暁】
武尊が今の格闘技界に思うこととは【写真:石渡史暁】

独占インタビュー第2弾、戦いたい相手はロッタン「絶対に噛み合う」

 元K-1・3階級王者の武尊(team VASILEUS)は6月24日(日本時間)にフランスでベイリー・サグデン(イギリス)との復帰戦が決まった。ABEMAと専属ペイ・パー・ビュー(PPV)ファイター契約を締結し、1試合の最低報酬は1億円という破格の契約で、さらにPPV収益の売り上げに応じた追加報酬も支払われることも決まった。昨年6月19日の「THE MATCH 2022」での那須川天心戦以来、リング帰還を果たす武尊がENCOUNTの独占インタビューに応じ、今の格闘技界へ思うことを明かした。(取材・文=角野敬介)

 ◇ ◇ ◇

――世界に打って出て格闘技界を盛り上げたいという思いが強い武尊選手ですが、対戦したい選手を教えてください。

「これ、名前言っちゃっていいのかな? やっぱりロッタン(※)とやりたいなっていうのがある。ONEでもベルトを持っていて、僕の階級だと現在の世界最強かなと。そこに勝てば……というのは大きな目標としてあります。天心選手とも戦っているというのもあって、ある意味そこに勝つことで、リベンジにもなるかなっていうのもあります」

(※ロッタン・ジットムアンノン=タイ出身の25歳で現在はONE世界ムエタイフライ級王者、天心とは2018年に対戦し延長の末、惜敗)

――ロッタンも武尊選手の名前を上げて対戦したいという意思を表明しています。実現すれば文字通り世界最強を決める一戦になります。

「僕もやっぱり試合をやる時に、この選手とやったら僕自身が楽しめるんだろうなっていうのも考えますし、そういう意味でもロッタン選手ってすごく噛み合うし、絶対戦ったら面白い試合になるなって」

――実現すればもちろん勝つ自信がある。

「そうですね。そのために今練習をやっています」

――K-1で頂点を極めて、天心選手との東京ドーム決戦もありました。そこから再起するのは並大抵のエネルギーではないと思います。再びリングへ向かう最大のモチベーションは何でしょうか。

「やっぱり1番は勝ちたいっていう気持ちです。勝つところを応援してくれている人に見せたいし、自分自身も負けたまんまで終わるのが嫌だった。こんなに勝ちに飢えたことはないっていうくらい、今は勝ちに飢えています。勝つのが当たり前って言われ続けて、10年間負けなかったんですけど、この前1回負けたことで、もうどんな形でもいいから、勝ちが早く欲しいなという気持ちです」

「格闘技界が夢のある業界に」と思いを語る武尊【写真:石渡史暁】
「格闘技界が夢のある業界に」と思いを語る武尊【写真:石渡史暁】

――武尊選手の復帰に先駆けて、4月8日に天心選手がボクシングデビューします。気にはなりますか。

「気になるっていうよりも、応援する気持ちが大きいです。武居(由樹)くんもそうですけど、キックからボクシングに挑戦している選手はみんな応援したいなと思うし、簡単には負けてほしくないなと思います。世界を目指してほしいですね」

――昨年の「THE MATCH」を始めここ1、2年で格闘技の盛り上がりを感じます。同時に「BreakingDown」を筆頭にいわゆる“喧嘩自慢”コンテンツも流行しています。武尊選手は率直にどう見ていますか。

「あれは別物かなって。やっぱり一緒にされたくはないなっていうのはあります。まぁ格闘技界が盛り上がっているんだったら、いいとは思うんですけど、僕は違うやり方で盛り上げたいなと思っています。僕だけじゃなくて、一生懸命毎日練習して節制して命がけでやっている選手たちが注目されてほしいなと。中途半端にやっているとは思わないですけど、やっぱり格闘技に人生をかけている選手たちが注目されるような大会をやりたいです」

――まだまだ格闘技に本気で打ち込んでいる選手が報われない現状があります。格闘技界のトップにいる武尊選手としては、そうした環境を変えたいという思いも強いのではないでしょうか。

「そうですね。そういうのを変えたくて、THE MATCHもそうですけど、格闘技界が昔みたいに、夢のある業界になっていってほしい。お金だけじゃなくて、注目度もそう。ワールドカップって、国民全員で応援するじゃないですか、ああいう感じで国民に応援されるような競技にしたいと思っています。

 そうするには世界規模で国の代表同士で戦うような大会ができたらいいなっていうのは描いているんで、そういう形でこれから盛り上げていけたらいいなと思います。ただそれは、僕だけの力では無理なんで、格闘家がこの業界を変えたいっていう強い思いを持ってほしい。トップの選手だけじゃなくて、デビュー前の若い選手でもそういう意識持っている選手はいると思うし、どんどん引っ張っていってほしい。格闘技界全体で盛り上げていけたらいいなと思いますね」

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