業界の常識覆す地元映画館 37億円超大ヒット「翔んで埼玉」の上映いつまで続く?

「翔んで埼玉」 (C)  2019 映画「翔んで埼玉」製作委員会
「翔んで埼玉」 (C) 2019 映画「翔んで埼玉」製作委員会

地元映画館「行けるところまで」…ファンからは「埼玉で観たい」の声

「埼玉県人にはそこらへんの草でも食わせておけ!」というセリフに代表される、ユーモアとエンターテインメント要素たっぷりの同作。製作委員会には、フジテレビジョン、東映、テレビ埼玉が名を連ねた。埼玉をディスるものの、けっして見下すことのないように練りに練られた脚本と演出が光り、話題が話題を呼んで大ヒットとなった。同館では、公開前に隣接する商業施設にパネルを置いて、写真のSNS投稿ができるキャンペーン企画を実施。公開前から県民の反応はよかったという。公開中は、来場客が劇中に登場した「埼玉ポーズ」を同館で撮影し、写真をSNSにアップすることが流行ったという。

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 公開1か月ごろに客席で鑑賞した長谷川副支配人は、面白い場面ではみんなで笑い、上映後に拍手が起こったことが印象的に残っている。「いい雰囲気を覚えている。地元で観るからこそより笑える」と話す。さらに同館には「埼玉で観たい」という声が寄せられるという。通常は映画作品と上映館のイメージは結び付きにくいが、MOVIXさいたまは上映を続けることで、作品自体の魅力もあいまって“ブランド化”に成功。これが、映画全体のヒットの要因の一つになったと言っていいだろう。

 競争が激しさを増す映画界で、こうした地域色の濃い作品を地元映画館で継続して盛り上げることは、ヒットを生み出す一つの可能性を示したと言える。業界の常識を覆すようなロングラン上映の意義は大きい。

 それでは、上映はどこまで続くのか。9月11日にブルーレイとDVDでパッケージ化。話題は尽きず、11月14日には「埼玉県民の日」が待っている。長谷川副支配人は「当初の(埼玉以外の映画館より)『先には終われない』というところから、『行けるところまで』といった思いになっている。県民の日までやりたいな、と思っています」と力を込めた。

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