北村匠海やジャニーズにも楽曲提供する玄人集団 メンバー同士の結婚で心境の変化も

俳優の北村匠海がボーカルを務めるバンド、DISH//や、アイドルグループ、Hey! Say! JUMPなどに楽曲を提供する熊木幸丸が率いる音楽グループ、Lucky Kilimanjaro(ラッキリ)が4作目のアルバム『Kimochy Season』を4月5日にリリースする。「世界中の毎日をおどらせる」をテーマに活動する6人組が放つ楽曲は、思わず身体を動かしたくなる気持ちよさであふれている。作詞・作曲を手掛けているボーカルの熊木に聞いた。

Lucky Kilimanjaroの熊木幸丸【写真:ENCOUNT編集部】
Lucky Kilimanjaroの熊木幸丸【写真:ENCOUNT編集部】

「世界中の毎日をおどらせる」が活動テーマ

 俳優の北村匠海がボーカルを務めるバンド、DISH//や、アイドルグループ、Hey! Say! JUMPなどに楽曲を提供する熊木幸丸が率いる音楽グループ、Lucky Kilimanjaro(ラッキリ)が4作目のアルバム『Kimochy Season』を4月5日にリリースする。「世界中の毎日をおどらせる」をテーマに活動する6人組が放つ楽曲は、思わず身体を動かしたくなる気持ちよさであふれている。作詞・作曲を手掛けているボーカルの熊木に聞いた。(取材・文=西村綾乃)

 昔から洋楽や英語圏の音楽を好んで聴いていたという熊木。体に染みついたリズム感は、日本語と英語の垣根を軽々と超えていく。

「英語圏の言葉が持つリズムがすごく好きなんです。一方で日本語は、抑揚があまりないデジタル的な言語と感じていました。自分のアイデンティティーである日本語と、自分が好きな海外のリズムや、グルーヴと融合させたいと試行錯誤しています」

 同じ大学の軽音サークルで出会った男女6人で結成したユニットには、ドラムやシンセサイザーなどを演奏するメンバーがいるが、歌だけでも踊れるようにと楽曲を組み立てている。

「昨年の夏のシングルの『ファジーサマー』という曲は、声のトーンだけで人間の不安定さや変化を表現できたんです。歌が持っているリズムを、自分が表現したいコンセプトで体現することができました。『変化』をテーマにしたアルバムを作っていくきっかけになった曲でもあります」

 アルバムのテーマを「変化」としたのは、ウクライナとロシアの抗戦など、熊木自身が心を平穏に保てないと感じたことも理由にあった。

「自分が今立っている場所って、そんなに安心できる場所じゃないんだと思ったんです。このぐらぐらとした思いとどう向き合えばいいんだろう、と。今回のアルバムは、ある種の不安がきっかけになった曲も多くて、自分の気持ちを歌詞に書きながら整理していきました」

 言葉に空気をまとわせるように軽やかに歌う熊木だが、言語表現は得意ではないと苦笑い。『ファジーサマー』の歌詞に刻んだ「いつだって言葉は間に合わない」という感覚を常に抱えているという。

「言語化できない気持ちを僕は音楽で表現しようとしていますし、メロディーに言葉が乗ることでようやく見えてくるものも絶対ある。人に伝えていくという意味で言葉は非常に重要なものですけど、表現としては全てを表すことができないとも思っています」

 思いを歌詞に乗せ、音楽に乗せて表現する熊木。言葉が万能ではないと感じるのはなぜなのだろうか。

「言葉を上手に使って歌詞を書くことは好きですけど、言葉だけでは自分の気持ちをちゃんと表現できない気がします。匂いとか言葉の中に含まれている楽しさとか。例えばLINEで『楽しい』と言われても、どれだけ楽しいかは分からなくて、でも笑顔を見たり声を聞けば楽しさが伝わるじゃないですか」

 アルバムには、散らかった脳内を整理しようという思いを込めた『掃除の機運』、制作中の苦しい思いをつづった『闇明かし』など14曲を収録。日常の中にあるできごとを描いた楽曲は聴き手の喜怒哀楽に寄り添ってくれる。

 活動のコンセプトに「世界の毎日をおどらせる」と掲げるのは、身体的に踊るということだけではなく、人生を楽しく過ごしてほしいという、心を躍らせるという思いも込めているという。

「ワクワクすること、能動的であるというのを踊ると表現しています。変化していくことは、不安もあるかもしれないけれど秘めていた可能性が開いていく一歩でもあるかもしれない」

 熊木自身にも大きな「変化」があった。

「一昨年のクリスマスイブにプロポーズして、(シンセサイザー担当の大瀧真央さんと)昨年結婚したんです。新しいアルバムで『越冬』という曲を作ったくらい、冬は寒いから苦手だったんですけど、記念日ができたおかげで、冬もちょっといいかな、と。あと何年自分が音楽を面白いと思えるかとか、どれくらい真剣でいられて生活ができてとか、そういう未来の不確定さに対して不安はありますが、変化して行くときには、別の何かが自分の中で生まれているだろうという楽観的な部分もあって。今の自分がいいと思うフィーリングを追求して、必死に生きるしかない。一番楽しめるのは、全力で挑戦しているときだから。それをずっと続けていきたいです」

 5月28日の石川・金沢EIGHT HALLを皮切りに、全国8か所でツアーを展開。7月1・2日には東京・豊洲PITでファイナルを迎える。

「気持ちいいなと踊っていたら、泣ける曲でもないのに、踊りながら泣いていたことがあったんです。僕らのライブでも何だか分からないけれど、気持ちいいという状態を当たり前にしていきたいです。みんなを巻き込んでいく熱を、ステージから出力していきたい」

□Lucky Kilimanjaro(ラッキー・キリマンジャロ) ボーカルでフロントマンの熊木幸丸、ドラムの柴田昌輝、ベースの山浦聖司、シンセサイザーの大瀧真央、ギターの松崎浩二、パーカッションのラミの6人組バンド。2018年にEP『HUG』でメジャーデビューした。

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