「彼女は借金をするつもりだった」監督が明かす主演女優の覚悟 助成金申請にやり直し10回…「もうダメかと」

俳優の水村美咲が主演を務める映画『在りのままで咲け』『在りのままで進め』(松本動監督)の完成披露特別上映イベントが28日、東京・渋谷ユーロライブで行われた。

主演の水村美咲、八木橋聡美、鄭玲美、松本動監督(左から)【写真:ENCOUNT編集部】
主演の水村美咲、八木橋聡美、鄭玲美、松本動監督(左から)【写真:ENCOUNT編集部】

観客の反応「泣きすぎてヤバかった」 スクリーンから届いた俳優の熱

 俳優の水村美咲が主演を務める映画『在りのままで咲け』『在りのままで進め』(松本動監督)の完成披露特別上映イベントが28日、東京・渋谷ユーロライブで行われた。

 映画は水村が原案&企画&プロデュースを務め、文化庁の助成金「ARTS for the future!2」(AFF)とクラウドファンディングで集めた資金で一から作り上げた。短編(29分)長編(92分)の2本立てで、ストーリーは連動。「結婚・出産を機に俳優を辞めていく知人が多かった」という水村自身の経験に着想し、それぞれの夢に向かう3人の女性たちを描いた。

 上映後は大きな拍手に包まれ、あいさつした水村は「企画を立ち上げたとき30歳だったんですけど、これからどうしていこうかなと真剣に悩んでいた時期で、周りでも女優を引退する、30歳で区切りをつけてもう辞めるという友達がちらほらいたときでした。そういう友達とか、30歳の節目で何かを変えなきゃいけない、諦めなきゃいけないと思っている人たちに、女優に限らず、背中を押せる作品を作りたいと思って作りました」と感無量の表情で話した。

 スクリーンでは子育てと女優業の両立に葛藤しながらも前に進む和泉京華役を演じた。27歳のときに大阪から上京した水村は、「本当に人脈ゼロみたいな状況で大阪から出て来たんですけど、こんな短い間に、本当に素晴らしい俳優部の皆さんに恵まれて、スタッフ、監督、クラウドファンディングで応援してくださった方もそうですし、こんな仲間と出会えて一緒に作品を作れて上映までたどり着けたのが夢のようです」と喜びをかみ締めた。

 豊富な資金のない自主映画ならではのエピソードも明かされた。松本監督は、「彼女が人生かけて作った作品。AFFで支援してもらったので、一応800万くらいはもらっているんですね。でも、それが(文化庁の審査に)通らなかった場合、彼女は借金をするつもりだったんです。そこまで人生をかけてやった作品ですので、引き続き末永く応援していただけたら」と舞台裏を語った。水村は「10回くらいやり直しが来ていて、もうダメかと思いました」と振り返った。

 映画を完成・上映するまでには想像以上の苦労がつきまとうだけに、自主映画と知らずにオーディションに参加した俳優から確認の連絡が入ったこともあった。だが、水村は俳優やスタッフの熱量は商業映画に一切負けていないと胸を張る。「自主でもいい作品はいっぱいある。愛情がこもっている。いろんなしがらみがない分、やりたいことをやっているのがスクリーン越しに伝わると思います」。その言葉通り、作品の内容は各俳優の気迫が伝わり、観客からは「泣きすぎてヤバかった」「オーディションのシーンに感動しました」との声が上がった。

 映画のパンフレットも、作品に登場する料理のハンバーグも、水村が手作りしたもの。今後は作品をどの映画館で上映してもらうかも、大きな課題だ。「まだスタートラインにやっと立ったばかり。撮って終わりじゃない。配給会社つけないで自主配給しようと思っているので、ここからが本当に勝負。また劇場公開した際にはぜひ応援していただけたらと思います」と、呼びかけた。

完成披露特別上映イベントに集まったキャストたち【写真:ENCOUNT編集部】
完成披露特別上映イベントに集まったキャストたち【写真:ENCOUNT編集部】

一体になって製作に臨んだ撮影 「すごくぜいたくというか、ありがたさを感じた」

 出演した他のキャストやスタッフも思いは同じ。この日の初回上映では14人のキャストがステージ上を埋め、思い思いの言葉で映画の魅力や印象的なシーンを語った。

 中心人物の1人で、結婚を諦めて女優を続ける中村マコ役の八木橋聡美は、「もともと水村美咲ちゃんとは役者と関係ないところでお友達で、『映画撮ろうと思っているんだ』というお話を聞いて一緒に脚本家さんに声かけたりして、その段階から頑張っている姿を応援してきました。作品は子育てと夢の両立と謳われているんですけど、何か一つでも心に残ればいいなと思っています」とコメント。

 同じく、助監督の浅井美奈役を演じた鄭玲美(ちょん・れみ)は、撮影現場の雰囲気について「監督だけじゃなくて、各部署の方がみんなで作っているというのが伝わってきて、その中で自分も俳優部としていられるというのはすごくぜいたくというか、ありがたさを感じた撮影でした。大好きでしたね」と、実感を込めた。

 八木橋は「もし気に入っていただいたら、ぜひSNSでつぶやいていただいたり、拡散していただけると励みになります」と笑顔。同様の言葉は、主役級や脇役に関係なく、口々に上がった。

 映画は年内公開予定。主要国際映画祭への出品を予定しているため、公開日は未定となっている。

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