「生涯マニュアル車は乗れないものだと…」 交通事故で右腕に障がい、奇跡の復活「シビックタイプR一択でした」

「右手に障がいを負ってから20数年…生涯マニュアル車は乗れないものだと諦めていましたが…」。自身が経験したつらい過去を乗り越え、マニュアル車免許を取得し、待望の納車を果たしたオーナーの投稿が話題を呼んでいる。障がいを持っても夢を諦めず、懸命なリハビリによって奇跡的な復活を遂げ、テストに合格しただいちゃん(@RPDK_CZ4A)さんに聞いた。

ホンダシビックタイプR【写真:本人提供】
ホンダシビックタイプR【写真:本人提供】

事故当日は命の危険「生涯マニュアル車は乗れないものだと諦めていましたが…」

「右手に障がいを負ってから20数年…生涯マニュアル車は乗れないものだと諦めていましたが…」。自身が経験したつらい過去を乗り越え、マニュアル車免許を取得し、待望の納車を果たしたオーナーの投稿が話題を呼んでいる。障がいを持っても夢を諦めず、懸命なリハビリによって奇跡的な復活を遂げ、テストに合格しただいちゃん(@RPDK_CZ4A)さんに聞いた。

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「右手に障がいを負ってから20数年…生涯マニュアル車は乗れないものだと諦めていましたが、あるフォロワーさんをきっかけに私も限定解除に挑戦・合格し、そして本日、シビックタイプRのオーナーになれました。最高な日に最高な車に乗れて、とても最高です!」

 21日、だいちゃんさんがシビックの写真を添えて投稿すると、1300件超のいいね、7万件の閲覧数など大きな反響を呼んだ。リプライ欄には「とても幸せなお気持ちが伝わって来ます」「カッコいい車だ!」「何事も諦めてはいけないってことですね。頭が下がります」との声や、同様の障がいを持つ人からの熱いメッセージも。「私も右手に障害がありますが、FL1のMT車で運転を楽しんでいます。共にシビックライフ&子育てライフを楽しんで行きましょう」「自分も両足障害を持って27年、免許所得した時は健常者でしたので車のMTを所得しましたが、23の時に事故で両足麻痺になり諦めた事がありました。ですがMTにも乗れるようになり車生活は楽しんでます」「自分も左腕に障がいをかかえてるためAT限定で免許をとりました…左腕でもいけますかね(^^;」と反応が寄せられた。

 だいちゃんさんは「今回のツイートがすごい反響で、私自身驚いています。同じような障がいを持つ方への励みになってもらえるなら協力したいと思います」と、取材に応えてくれた。

「16歳までは健常者でした」というだいちゃんさんに突然のアクシデントが襲ったのは、高校2年生のときだった。

「昔から車やバイクなどの乗り物が大好きだったので、原付免許を取得しましたが、原付に乗っているときに交通事故に遭ってしまいました。症状は右腕骨折及び神経損傷、右足粉砕骨折で救急車で運ばれたときは命の危険もあったようです」というほどの大けがだった。

 18歳で就職するにあたり、通勤に車が必要になった。免許取得のため、免許センターへ行くと、担当者から伝えられたのはオートマ車限定の免許取得だった。

「その頃はまだ足のけがも治ってなく、車いすでの生活だったため、AT車限定で取得するように言われました」

 それから、実に四半世紀のときが流れる。「最初は車を運転することができるだけでも楽しかったので、不満や困ったことはなかったですが、歳を取るごとにやはり自分はシフトノブを操作しながら車を運転したいという思いがだんだんと大きくなっていきました」とマニュアル車への憧れは強くなる一方だった。

 そして、運命を変える転機がやってくる。

「フォロワーさんのツイートを眺めていたところ、自分と同じような障がいを持つ人がいたのですが、その人はマニュアル車を運転していたんです。しかもサーキットも走られてて。急いでその人に連絡を取り、お話をうかがって、自分も限定解除が可能なんじゃないかと希望が見えたため、限定解除をする決意をしました」

家族と待望のドライブ【写真:本人提供】
家族と待望のドライブ【写真:本人提供】

AT車限定解除へ適性試験を受験「右腕に全く力が入らない状態」からの復活

 だいちゃんさんは再び、免許センターの門をたたく。「適性試験を受けさせてもらいました。あまり事例もなかったようで、担当してくれた方も難しい顔をされていましたが、実際にシミュレーターで確認してもらい、OKをいただきました。あとは教習所で普通の人と同じ検査を受けて合格となりました」。

 道のりは険しかった。右腕を少しでも回復させようと、長い年月をかけて障がいと格闘した。「けがをした当初は神経が切れてしまっていたので右腕に全く力が入らない状態だったのですが、何回も手術を受けたりリハビリしたりして、現在はなんとかハンドルを支えるくらいにはなりました」。

 選んだのはシビックタイプR。思い入れの強い1台だった。

「実は一番最初のマイカーがホンダ・インテグラSIR-Gという希少グレード(唯一VTECエンジンでオートマの設定があるグレード)でした。そのころからタイプRへの憧れは強く、外見をタイプRみたいにまねしたりしてました。その他に今は家族3人暮らしなので4ドアがいいというのと荷室が広く使い勝手が良さそうだったから。後はガソリン車最後のタイプRと言われているみたいなので、シビックタイプR一択でした」

 待ち焦がれて20数年。シフトノブを握って愛車を走らせたときの気持ちはどうだったのだろうか。

「21日に初めてシビックタイプRを運転しましたが、最高の一言です。シフトノブを操作する感触もよく、すごく楽しくていつまでも運転したいと思える車です。また、家族を後部座席に乗せてドライブしましたが、足元も広くとても好評で、2人ともすぐに熟睡してしまいました(笑)。乗り心地もミニバンより好みみたいです」

 困難を乗り越え、障がいを持つ人も勇気づけるだいちゃんさんの挑戦。今後の目標については、「お休みの日にはシビックタイプRで家族を連れてたくさんドライブしたいですね。そして我が子にシビックタイプRとの思い出をたくさん作ってあげたいです。そして免許が取れる歳になったときに『マニュアルの免許を取る』と言ってもらえれば父親として本望です」と話している。

次のページへ (2/2) 【写真】愛車シビックタイプRの別カット
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