パワハラ、うつ病を克服したグラビアアイドルが起業家として奮闘中 人を育てる大変さ実感

グラビアやSNSで話題の「フェチ天使」くりえみが、自身3冊目の写真集『革命家』を出版した。俳優・田中みな実の写真集に刺激を受け、女性が憧れるボディーラインを意識したというカットには、“美しさ”へのこだわりが見えてくる。現在、起業家の一面もあるくりえみの素顔に迫った。

写真集『革命家』を出版したくりえみ【写真:ENCOUNT編集部】
写真集『革命家』を出版したくりえみ【写真:ENCOUNT編集部】

自分で生みだした「フェチ天使」というキャラクター

 グラビアやSNSで話題の「フェチ天使」くりえみが、自身3冊目の写真集『革命家』を出版した。俳優・田中みな実の写真集に刺激を受け、女性が憧れるボディーラインを意識したというカットには、“美しさ”へのこだわりが見えてくる。現在、起業家の一面もあるくりえみの素顔に迫った。(取材・文=福嶋剛)

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 くりえみのグラビアスタートは2012年。オーディションでグランプリに輝いた。

「最初は女優になりたくて芸能界に入ったんですが、当時の事務所の社長に『グラビアができるなら入ってもいいよ』と言われて活動を始めました。でも、3歳から水泳をやっていて、家族と海外旅行に行くとビキニを着ていたので水着への抵抗はまったくなかったです」

 順調に活動を続けているように見えたが、18年にアイドルグループを卒業し、自ら事務所を退所。栗田恵美からくりえみへと改名した。

「やめた理由は当時のスタッフのパワハラです。デビューしてからこの世界しか見てこなかったので、アイドルを辞めてしまうと私の居場所がなくなると思い込み、ずっと我慢してきたんです。でも、うつ病になってしまい、これ以上は耐えられなくなってしまいました」

 心身ともに一番辛かった時期を乗り越えられたのは、親友の存在だった。

「『あなたの可能性はまだまだこれからだよ』と私を元気づけてくれた大切な恩人です。栗田恵美という芸名からくりえみに変えたのもその人の助言でした。みちょぱさん、にこるんさんといった特徴的で分かりやすい名前にした方が、みんなに覚えてもらいやすいと助言をしてくれたのも友人で、実際に名前を変えてから認知度も上がりました。今まで自分が見ていた視点をちょっと変えるだけで、自分の見せ方や自分のできることまでが変わって、『可能性って広がるんだな』って実感しました」

「フェチ天使」というニックネームは、実は彼女自身が名付けたという。

「当時、コスプレをやらせてもらっていたんですが、周りのみなさんは、オリジナルのコスプレが結構多くて、なかなか目立つことができずに私の個性を発信できませんでした。そこでいろいろと考えて、胸、お尻、くびれとか女性らしいパーツに焦点を当てて撮ってみようと思いつきました。写真1枚に必ずテーマとタイトルを付けて毎日SNSに投稿し続けたらSNSでフェチなものを発信することが私の強みになって、そこに思い付きで“天使”という名前を加えて『フェチ天使』としました(笑)」

 今回の写真集は、そんな“フェチ天使”としての目線も持ち合わせながら新たなコンセプトで作り上げた。

「私にとって3冊目になるんですが、過去2作は撮影した写真を一切加工しない“ノー・レタッチ”の写真集に挑戦しました。中学の頃から美容に関して徹底的にケアしてきたので、撮影のために頑張ることは一切なかったんです。それで今回は女の子にも見てもらいたくて、今までの中で一番きれいなボディーラインを見せることにこだわりました。参考にさせていただいたのは、田中みな実さんの写真集です。どれだけ露出してもエロにならずに上品に見せられる写真集を目指しました」

 写真集は、田中や深田恭子をはじめ、数々の女性タレントを撮ってきた写真家の中村和孝氏が担当した。

「念願の中村さんに撮影していただき大満足でした。でも、コロナ禍で制作期間も限られていて、海外で撮影する夢をかなえられなかったので、次につなげる意味でちょっと厳しめに自己採点は90点にします」

 中村氏の撮影でたおやかなカットが満載だが、タイトルは『革命家』。その3文字には、強い思いが込められていた。

「アイドルを辞めて、精神的に追い込まれたとき、周りから『大手の事務所を辞めた人はもうどこにも出られないよ』って言われてきました。だけど、自分には可能性があると信じてやってきたら“思い込みの常識”を覆すことができたんです。それで、『当たり前を当たり前だと思わないで、自分自身の力で切り開くことができるんだよ』というメッセージを込めました」

起業家としていつでも客観視できる自分でいたいと語った【写真:ENCOUNT編集部】
起業家としていつでも客観視できる自分でいたいと語った【写真:ENCOUNT編集部】

プライベートは完ぺきな“ダメ人間”

 くりえみは21年に美容系の会社を自ら立ち上げ、起業家としても多忙な毎日を送っている。

「私ってこだわりが強すぎるので、誰かにブランディングされるよりもセルフプロデュースした方が良い結果が生まれると気が付きました。それで、私がやりたかった美容に関する会社を立ち上げようと決めました」

 起業して2年。「革命」は起こせたのか。

「まだまだです。私はどれだけ儲かるシステムがあったとしても、自分の手の届く範囲内で自分が信じる『サービスと人』に愛情を注げない仕事はしたくないんです。こういう話をすると『どうせ、枕営業をして仕事をもらっているんだろ』とか、ありもしないうわさを広げる人たちもいますし、何度も仕事で裏切られたこともあります。でも、私は気にしないようにしていて、自分の子どものように心の底から愛せる事業をやっていきたいだけなんです」

 現在、社員7人。経営者としての悩みも多いという。

「私が苦手なのは、人を育てることです。今までどんなことでも1人でやってきたので、私の思いをどうやったらみんなに伝えられるのか、いつも悩みます。同時にサービスもスケールアップしていかないといけないですし、社員とのコミュニケーションも課題ですね」

 多忙な毎日が続く分、休日は思い切りレジャーなどを楽しんでいるのかと聞くと大きく首を横に振った。

「私のプライベートは完ぺきな“ダメ人間”です(笑)。ソファーに横になってゴロゴロしているだけです。お仕事の場では『しっかりしなくちゃ!』と気を張りすぎてしまい、その反動で家では何もできなくなってしまうんです。母もそれを分かっているので、私が家に帰るとご飯も洗濯も何から何まで全部やってくれて、靴下さえ履かせてもらうときもあるんです(笑)」

 だが、「これからも自分らしさを失わずに」を前提に、活躍の幅を広げることを目指している。

「最近、ようやくコメンテーターやMC、審査員といった新しいことに挑戦させていただく機会も増えてきたので、これからもいろんなことをやっていきたいです。今は自分がやりたいことができているので幸せなんですけど、第三者目線を忘れずに一歩離れたところから、いつでも自分を見られるようにしておきたいです」

□くりえみ 2012年、『日テレジェニック2012』でグランプリを獲得し、アイドルグループとして活動。18年、アイドルを卒業し、くりえみに改名。フェチ感たっぷりの写真を投稿することで話題になり、「SNSのフェチ天使」と呼ばれるようになった。SNSフォロワー総数は200万人超。21年、美容品の会社を起業し、経営者としても活動。

次のページへ (2/2) 【写真】くりえみがミニスカートで登場した写真集『革命家』出版記念イベント
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