優先エレベーター混雑問題、阪急うめだ本店の姿勢にネット称賛 他のデパートとの違いは? 方針を聞いた

「20分待っても…」「9回見送りました」。ベビーカーや車いす利用者が優先エレベーターに乗れない事例がSNS上に相次いで投稿され、議論になっている。そんな中、対応が素晴らしいと称賛を浴びている百貨店がある。大阪・梅田の阪急百貨店だ。必要に応じて健常者に協力・理解を求める丁寧なアナウンスを行っており、「あれは他で見たことなかったのですごいと思った」と驚きの声も。阪急うめだ本店に優先エレベーターを巡る方針について聞いた。

優先エレベーターに優先対象者が乗れない事例が相次いでいる(写真はイメージ)【写真:写真AC】
優先エレベーターに優先対象者が乗れない事例が相次いでいる(写真はイメージ)【写真:写真AC】

的確な誘導を利用客が称賛 「あれは他で見たことなかったのですごいと思った」

「20分待っても…」「9回見送りました」。ベビーカーや車いす利用者が優先エレベーターに乗れない事例がSNS上に相次いで投稿され、議論になっている。そんな中、対応が素晴らしいと称賛を浴びている百貨店がある。大阪・梅田の阪急百貨店だ。必要に応じて健常者に協力・理解を求める丁寧なアナウンスを行っており、「あれは他で見たことなかったのですごいと思った」と驚きの声も。阪急うめだ本店に優先エレベーターを巡る方針について聞いた。

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 優先エレベーターのあり方が問われる中、2月下旬、阪急うめだ本店の対応を称える投稿がSNSで話題になった。同店のエレベーターホールには誘導員がおり、優先エレベーターにベビーカーの親子連れが乗れないでいると、「優先の方来ましたので他の方降りてください!」と健常者にはっきりと降車を求めるという内容だった。

 投稿は拡散し、過去に同様の体験をしたユーザーからは共感の声が相次いだ。「あれ超助かるよね~!!」「そのエレベーターには何度も助けてもらいました」「阪急だとスムーズに乗れるのがありがたい」「この店員さん最高ですよね!」「梅田阪急のエレベーターはエレガにズバッと言われる。そして何度となくベビーカーで乗せてもらってる」。特にテキパキとした誘導員の仕事ぶりは好評で、欠かせない存在になっていることを印象づけた。

 担当者は、投稿について「投稿内にある『はい! 優先の方来ましたので他の方降りてください!』のような表現は多少誇張がありますが、お声がけをしているのは事実です」とのこと。言葉遣いはやや異なるものの、係員が積極的に誘導を行っている。「混雑時には健常者やお連れの方にご遠慮いただく、あるいは途中階でお降りいただく旨のご協力願いの声掛けを実施しています」と、優先対象者が待たずに乗れるように、最善を尽くしているという。

 デパート側のルールとはいえ、簡単ではない仕事だ。すべての客の理解を得ることは容易ではない。よく「優先エレベーターに乗っているのは元気そうな大人ばかり」という声もあるが、健常者かそうでないかの判断はつきにくいこともある。元気そうに見えても妊娠初期だったり、内臓機能障がいを抱えている人もいる。声がけの方法も含めて、臨機応変な誘導が求められる。

 以前はすべての優先対象者がエレベーターに乗っているわけではなかったという。

 阪急うめだ本店は2012年の建て替えオープン以降、コロナ禍前には年間4500万人、正月の初売りは1日25万人の利用客が訪れていた関西屈指の人気店だ。「しかしながら店舗縦移動に伴う手段がエスカレーター、エレベーターのみで、売場には階段がなく、特に土日祝日はエレベーターが大変混み合っていました。当時はベビーカーのエスカレーター利用も一部見受けられました」。混雑の影響で、優先対象者らの安全な動線を十分に確保しているとは言いがたい状況だった。

 だが、意識を変えざるを得ない出来事があった。「2017年に四国で発生した車いすのエスカレーター事故を受け、当社も安心安全の徹底を図り、車いす、ベビーカーのエスカレーター利用を全面禁止にいたしました」。当時、高松市内でエスカレーターに乗っていた車いす利用者が転落。後方にいた女性が巻き添えになって死亡する事故が起きた。

 エスカレーターの利用を禁止すれば、車いすやベビーカー利用者はエレベーターを使わなければならず、さらに混み合うことが予想された。そこで、阪急うめだ本店は対策を講じた。優先エレベーターの扉や床面に視覚的な理解を深めてもらうための大型ピクトサインを表示。誘導やアナウンスを徹底し、スムーズな移行を心がけた。

他のデパートにも同様の対応を望む声 「百貨店全部そうなってほしい」

 阪急うめだ本店では、あらかじめ混雑が予想されるエレベーターホールと優先エレベーター内にそれぞれ誘導員と乗務員を配置。優先エレベーターの乗務員は階停止ごとに待機客がいれば対象者優先の声がけをしている。さらに、土日祝日は阪神側の1台を終日専用運転にしている。「JR側と比べ阪神側は4台しかエレベーターがなく、土日祝日は大変混み合い、対象者が中層階で全く乗れないというお声をたくさんいただいたからです」。現状で満足せず、改善を繰り返しており、「優先エレベーター対象者が安心安全に利用いただけるよう現在に至っています」と、力を込める。

 ネット上には、「都会を自認する街の百貨店全部そうなってほしいですね。せめて土日祝日だけでも」「いつもプロの技に感動しっぱなしです。他のところも捌けるシステムがあればいいのに…!」と、他のデパートにも同様の対応を望む声がある。

 SNS上での反応について、担当者は「エレベーターのご利用についてはまだまだお客様にはご不便ご迷惑をおかけしているのが現状です。またスタッフのお声掛けについても状況により心苦しく、申し訳なくも思い、楽しいひと時を台無しにしてしまうことも多々あることから、お褒めのお言葉は非常にありがたくスタッフの励みにともなります」と冷静に受け止めた。

 その上で、「優先エレベーターご利用時のマナー、モラルの周知は取り組みを根気よく継続し、一人でも多くご理解ご協力をいただき、お互い気持ちよくお買い物をしていただけるよう努めてまいりたいと思います」と話している。

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