「神秘的で素敵」 驚異のガラス工芸 イタリアで魅了された職人が1cmの空間に込めた“匠の技”
「古代の宝石みたい!」「きれいでずっと見ていたい」。SNSで26.7万回ものいいねを集めているのは、ガラスに魅了されたアーティストのナカダマサヒデさん(@masahidenakada)が作成したペンダントヘッドなどの作品だ。「現実と仮想の間をイメージしている」というに芸術的な作品についてナカダさんに聞いた。
お守りのように大切にしている人も
「古代の宝石みたい!」「きれいでずっと見ていたい」。SNSで26.7万回ものいいねを集めているのは、ガラスに魅了されたアーティストのナカダマサヒデさん(@masahidenakada)が作成したペンダントヘッドなどの作品だ。「現実と仮想の間をイメージしている」というに芸術的な作品についてナカダさんに聞いた。
「誰も作ってないものを作っていきたい。全てガラスです」というメッセージと共に投稿されたのはライオンの親子やオオカミ、ドラゴンをモチーフにした3枚の写真。ガラスアーティストのナカダマサヒデさんが手がけたペンダントヘッドなどにもなる作品は、投稿された直後から「神秘的で素敵」「琥珀みたいで綺麗」「夢がある」と注目され、多くのいいねを集めた。
ライオンをモチーフにした作品は、「親子の絆、受け継がれていく命をイメージ」して制作。勇ましいドラゴンは「琥珀の中に潜んでいる様子」を立体化した。粉のガラスからていねいに作り上げていく造形物は、見る方向によって色が変化する繊細さを持つ。
「ガラス工芸には、いろんな方法がありますが、私の場合は型に入れるわけではなく、ガラス板を重ねて溶かしていきます。ガラスを繊細に彫刻したり、削ったり、溶かたり。研磨をしたり。既存の技法を組み合わせたオリジナルです」と説明。繊細な表現には「レジンならまだ分かる…。ガラスでこんなことできるのか…」と感激の声も寄せられた。
25年ほど前に、大学の卒業旅行で出向いたイタリアのベネチアでガラス作品を目にした瞬間、その美しさに魅了されたというナカダさん。大学卒業後は、ファッションメーカーに勤務し、趣味でシルバー細工をしていたが、材料を調達に行った店でベネチアンガラスの材料を目にしたことが転機になった。
「思わず買って帰ったことがガラス・アーティストのスタートでした。青いガラスの材料を手にしたとき、中にイルカや、クジラが入っている、小さなペンダントがイメージできました。作ってる方がいたら教室に行こうと思ったのですが、どこを探しても自分がイメージしたものを作ってる人がいなかった。長い歴史があるガラス工芸。たくさんのガラス作家がいる中で、ないということは難しいんだろうなと思ったのですが、納得いくところまでやってみようと、実験のようなことを始めました」
ナカダさんが生み出した“1cmの宇宙”の中には、ライオンなど実在する動物から、ドラゴンのような伝説の生き物。スズランなどの植物やオーロラなどさまざまなものがギュッと濃縮されている。
「題材にしているものは、幼い頃から好きだったもの。それぞれの姿を形にするだけではなく、ガラスの中で生きているかのように、ストーリーが広がるようなものづくりを大切にしています」
作品には人生を共にしていきたいと思うような“祈り”が込められており、お守りのように大切にしている人も多い。
「アクセサリーの大事な役割の一つに“お守り”があると思っています。身につけていると安心できるとか、勇気が持てるとか、ささいなことでもいいので、持つ人の役に立つことができる作品になればいいなぁと考えています」
3月22~27日には、アートギャラリー北野(京都市中京区)で個展を開催。入場は無料で、嵯峨天皇が好んだ古代菊の嵯峨菊や、ハスの花をモチーフにした作品200点が並ぶ。入場は無料。6月13~18日には、東京・港区のナインギャラリーで個展を開く。
ナカダさんはSNSでの反響について、「私の作品は万人に受けるものではないと自覚しておりますが、本当に多くの方が目に留めて下さり、癒しになったなどの感想をいただきました。どこかの誰かの役に立てて、作品もよろこんでいると思います」と話している。