人気RPG「グラブル」を格ゲーに“モデルチェンジ” 家庭用ゲームに大胆参入したCygamesの舞台ウラ

スマートフォン向けのRPGゲーム「グランブルーファンタジー」(グラブル)に、対戦格闘ゲームのスピンオフ作品が誕生した。しかも、ハードが異なる家庭用ゲーム機向けとして発売され、ヒットを飛ばしている。RPGの世界観を生かしつつ、王道の格ゲーに生まれ変わった「グランブルーファンタジーヴァーサス」(GBVS)だ。業界地図を塗り替えようとするような、大胆な“新規参入”。どんな戦略・展望があるのか。発売元であるCygamesの仕掛け人に迫った。

「グランブルーファンタジーヴァーサス」1対1の対戦「VSモード」
「グランブルーファンタジーヴァーサス」1対1の対戦「VSモード」

「グランブルーファンタジーヴァーサス」(GBVS)がヒット、市場膨らむeスポーツ展開も

 スマートフォン向けのRPGゲーム「グランブルーファンタジー」(グラブル)に、対戦格闘ゲームのスピンオフ作品が誕生した。しかも、ハードが異なる家庭用ゲーム機向けとして発売され、ヒットを飛ばしている。RPGの世界観を生かしつつ、王道の格ゲーに生まれ変わった「グランブルーファンタジーヴァーサス」(GBVS)だ。業界地図を塗り替えようとするような、大胆な“新規参入”。どんな戦略・展望があるのか。発売元であるCygamesの仕掛け人に迫った。

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 ENCOUNT編集部は今回、グラブルなどのプロデューサーを務める同社専務取締役の木村唯人氏にメールインタビューを実施。木村氏は「日本のゲーム業界から世界に向けて良質なコンテンツを多く発信していければと思っています」と意気込みを示す。

 今回の「GBVS」は今年2月に、プレイステーション4(PS4)向けのソフトとして発売開始。2019年4月1日~2020年3月19日の間で、PS4のパッケージ販売本数ランキングで、12位となる11万1094本をマーク。さらに、20年3月19日時点で、国内PS4タイトルにおける「対戦格闘ジャンル」の販売数でみると、2位に入り込んだ(いずれも、f-ism調べ)。格ゲー分野で、定番の「鉄拳」や「ストリートファイター」に引けを取らないインパクトを放った。

「グランブルーファンタジーヴァーサス」はキャラ育成「RPGモード」も楽しめる
「グランブルーファンタジーヴァーサス」はキャラ育成「RPGモード」も楽しめる

 歴史が長く確立された格ゲー業界のデビューで、いきなり売れた理由。同社の「グラブルと格ゲーの相性の良さ」に着目した戦略が奏功した。国内累計登録者は2500万人を突破し、個性豊かなキャラクターが登場するグラブルの長所を最大限に生かす――。格ゲーは特定のキャラを使って長時間操作してプレイするため、グラブルのキャラの魅力を押し出せると判断したという。さらに、対戦格闘ゲーム制作を得意とする「アークシステムワークス」を開発に迎え、タッグを組んだ。こうして、王道の格闘ゲームとして1対1の対戦が楽しめる「VSモード」と、本家グラブルらしいストーリーやキャラ育成も楽しめる「RPGモード」の2つのモードを備えたソフトが完成した。

 グラブル既存ファンで格ゲーになじみのない人、逆に格ゲーは好きだがグラブルになじみのない新規ファンに訴求。木村氏は「遊んでいただいた方にシンプルに面白いと思っていただけたことが大きいと考えています」とコメントした。

 これまで主にスマホ向けゲームを展開してきた同社にとって、家庭用ゲーム部門への参入には、先を見据えた戦略がある。

 ビジネス面では、ソフト販売は一度の買い切りとなるが、ダウンロード配信での追加販売でマネタイズを担保。木村氏は長期的な視野に立ち、「パッケージ単体や追加コンテンツでのマネタイズ以上に、これまで弊社コンテンツに触れていなかった多くの方に、弊社のIP(知的財産) を知っていただき、長い時間をかけてたくさんの方と関わりを持っていくことが重要だと考えています」。グラブルは海外では正式サービスが展開していなかったが、「GBVS」は海外展開の一歩になるといい、「多くの方と関わりを持つことが最終的にさまざまな形でビジネスにもつながってくる」と強調する。

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