“2時間ドラマの女王”片平なぎさが明かす『赤い霊柩車』秘話 春彦さんと結婚させる案も

1990年代から数多くのドラマに出演し、“2時間ドラマの女王”との異名を取る女優の片平なぎさ(63)。人気シリーズ『赤い霊柩車』は39作目にして最終章を迎えたが、同作や2時間ドラマの魅力を語った。

『赤い霊柩車』秘話を明かした片平なぎさ【写真:ENCOUNT編集部】
『赤い霊柩車』秘話を明かした片平なぎさ【写真:ENCOUNT編集部】

片平なぎさが思う2時間ドラマの魅力とは「途中から見ても内容がわかる」

 1990年代から数多くのドラマに出演し、“2時間ドラマの女王”との異名を取る女優の片平なぎさ(63)。人気シリーズ『赤い霊柩車』は39作目にして最終章を迎えたが、同作や2時間ドラマの魅力を語った。(取材・文=平辻哲也)

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『赤い霊柩車』は人気作家・山村美紗さんの『葬儀屋社長 石原明子』シリーズを原作にする人気シリーズ。1992年に『金曜ドラマシアター』で第1作が放送され、『金曜エンタテイメント』(2~20)、『金曜プレステージ』(21~33)、『赤と黒のゲキジョー』(34)、『金曜プレミアム』(35~37)と放送枠を変えながらも、平成の始まりから令和にかけて愛され続けてきた。

『放送開始30周年記念 山村美紗サスペンス39 赤い霊柩車 FINAL~弔の京人形~』(17日、午後8時)はファンに惜しまれながらも、31年の歴史に幕を閉じた。『赤い霊柩車』を始めとする2時間ドラマの魅力とはズバリ何か。

「2時間で、はっきり答えが出ることは一つ大きいかな。連ドラは『来週はどうなるのかな』という楽しみがありますが、2時間で完結するのは気楽に楽しめるものでもあるんじゃないかなと思うんですよね。途中から見ても、だいたい内容がわかるじゃないですか。見ている人たちには優しい。『赤い霊柩車』に関して言えば、このおなじみの冒頭、師匠(大村崑)ともみちゃん(山村紅葉)の夫婦漫才、最後は必ず春彦さん(神田正輝)とのラブラブのデートで終わる。そんな安心感があるんでしょうね」

 定番の展開にこそ良さがあったが、一時はマンネリを危惧したこともあったのだという。

「山村美紗先生が(96年9月に)亡くなって、ずいぶんたって、原作をやりつくしてしまって、新たにオリジナルで物語を作るしかないとなった時に、明子と春彦を結婚させて、夫婦で事件を解決したらどうだろうか、という話が出たこともありました。でも、原作のある作品なので、設定は変えたくないという思いがあったんですね」と明かす。

 片平にとって、レギュラー出演者とともにシリーズを完走できたことは喜びだったという。石原葬儀社の専務、秋山隆男役の大村崑(91)、事務員の内田良恵役の山村紅葉(62)はどんな存在か。

「師匠(大村)は、レギュラー陣の中で、1番元気で一番歳を取らなかった人。いつでも同じ調子で、あんなパワフルな方に出会ったことがない。お話が大好きで、撮影中はずっとお話されているのに、ほとんどワンシーンワンカットの撮影でも、NGを出さないんですよ。すごいです。流れるようなセリフをいとも簡単にやってのける。師匠は自分のところしか台本を読まない。一視聴者として事件解決を放送で見ることが楽しみなんだとか。いろんなところで講演活動もなさっていて、霊柩車に関しての質問もたくさん受けるそうです。『片平さんはどんな人ですか』という質問には、『本当にきれいな人』『セリフをちゃんと覚えてくる人なんだ』と褒めてくださっているそうで、本当にありがたいです」と感謝する。

 山村紅葉とはプライベートでも食事に出かける仲。

「話題はもっぱらダイエット、アンチエイジング。情報交換をしています。とにかく努力家で、いつも黙々と1人で自主トレをしているんですよ。『赤い霊柩車』の第1作を見直したんですけど、もみちゃんはおとなしい京女の事務員さんを演じていましたが、今ではすっかりコメディエンヌ。それには師匠のお導きがあって、『笑わせなあかん』みたいな感じで、今のもみちゃんが確立したんです」

石原明子は片平にとっての理想の女性像「そうありたいと思っていました」

 このレギュラー陣との出会いには感謝しかないという。

「自分がデビューしてから今年で48年。そのうち『赤い霊柩車』は31年だから、キャリアの大半を占めていますよね。今、自分がこうしていられるのも『赤い霊柩車』の力は大きかった。いただいたお手紙には『赤い霊柩車』のことが必ず書いてありました。新幹線に乗っていると、年配の女性が読んでいる本が『赤い霊柩車』ということもありました。終わってしまってから言うのもなんですけど、もっともっと大事にすればよかった。当たり前のように毎年やってきましたが、人生や世の中に当たり前ってないんだなとつくづく感じさせられます」と振り返る。

 周辺で起こる殺人事件に首を突っ込む石原葬儀社の社長、明子だが、演じる上で心がけていたことは何か。

「私が気をつけていたのは、刑事っぽくならないこと。犯人を追い詰めるのではなく、感情から出る言葉で、接して諭す。春彦さんとのやりとりもそうですけれども、可愛げのある女性でいたいと思っていました」

 石原明子は、片平の理想の女性像でもあるのだろう。

「そうありたいと思っていました。私自身、年をとっても、かわいいおばさん、おばあちゃんになりたいですね。可愛げというのは、男でも女でも大事なことだと思うんです。(狩矢警部役の)若林豪さんがそうなんです。こんなこと言ったら失礼なんですけれども、狩矢警部としてはダンディな二枚目。でも、ご本人はすごいお茶目で、かわいらしい。あんな風に年をとっていきたいって思います」と、少女のような笑みを浮かべた。

■片平なぎさ(かたひら・なぎさ)1959年7月12日生まれ。東京都出身。1975年にデビュー。フジテレビの『赤い霊柩車シリーズ』やテレビ朝日の土曜ワイド劇場『ショカツの女シリーズ』など多くの2時間ドラマに出演。映画では『嫌われ松子の一生』、『インシテミル 7日間のデスゲーム』など。カンテレ・フジテレビ系『罠の戦争』に出演中。O型。趣味・特技:あてのない旅。

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