劇的V字回復に成功…サンシャイン水族館の快進撃が止まらない理由を館長に直撃
ホスピタリティでも日本一の水族館を目指す
――リニューアルで展示以外に取り組んだ改革は。
「これも自分たちはそれでよいと思っていた部分ですけれど、私の所属するサンシャインエンタプライズは、親会社であるサンシャインシティからサンシャイン水族館の運営を委託される形で、事業戦略や収支の計画・管理は親会社がしてくれていました。自分たちは水族館を運営していく、回していく。新しい企画などは親会社が考えたものを、こちらはいかに実現していくかの段階から入っていく状況でした。『またこんな依頼が来たからちょっと忙しいけど頑張ろうね』みたいな受身な自分たちだったので、それではだめだと組織そのものが改革されたのだと思います。それまで親会社のやっていた事業戦略や企画を考える、進める業務も含めて委託されるようになりました。自分たちで考える組織に途中からなっていったことがとても大きかったと感じます。」
――スタッフ教育も見直したと聞きます。
「どこの水族館・動物園もお客様が自主的に水槽の解説を見ながら館内を回っていただくというものであり、飼育に携わる自分たち目線ではそれで良かったのですが、直接関わってない方の目線から『ホスピタリティが全然ない』と指摘され、そういうところ足りないなっていうところに気づかされました。だから、そこの教育にも着手しました。当館はアルバイトとは呼ばないで『スマイルキャスト』と呼んでいます。キャストたちのホスピタリティ力を上げていくため、迷った時にどうすればいいのか分かる『ホスピタリティノート』というものも作って、それをみんな携帯しています。自分たちが常に持っている小さなバイブルのようなものです。また、自分たちの成果というのはお客様が喜んでくださることが一番良いのですが、それとは別に『ありがとう大賞』という賞を作って、キャストがお互いに評価し合っています。『この人のこんな対応が素晴らしかったです』とか、いろんなありがとうをそれぞれ投票するものとなっています。その集計結果をもとに大賞が毎月選ばれます。評価されることでその人のモチベーションが上がりますし、他人から認められることが必要と考えています」
――ライバルとして意識している施設は?
「直接的には都市型の近隣の他の水族館を一番意識しています。すみだ水族館さん、マクセル アクアパーク品川さん、横浜・八景島シーパラダイスさんや、葛西臨海水族園さんなどとなります。お客様が関心を持って集まる施設という意味では、動物や魚がいるわけでない普通のアミューズメント施設、大きなところでいくと、東京ディズニーリゾートなど、そういったところも競合だと思っています。人が自分の時間を使ってどこへ行くかという中で、選ばれるかどうかというところでいけば、競合は多いと感じています」