津波の際に小学生が高齢者を誘導…ネット炎上の避難訓練、防災課に意図を聞いた

東日本大震災から12年を機に各地で防災への取り組みが話題となるなか、高知・黒潮町で行われている子どもによる高齢者の避難誘導の訓練に、ネット上で「子どもが巻き添えをくう」「二次被害を生むのでは」と批判の声が殺到。炎上状態となっている。黒潮町本庁に取り組みの意図を聞いた。

南海トラフの最大津波高推計は「34.4m」【画像:津波防災に関する黒潮町のホームページより】
南海トラフの最大津波高推計は「34.4m」【画像:津波防災に関する黒潮町のホームページより】

「子どもが巻き添えをくう」「二次被害を生むのでは」と批判の声が殺到

 東日本大震災から12年を機に各地で防災への取り組みが話題となるなか、高知・黒潮町で行われている子どもによる高齢者の避難誘導の訓練に、ネット上で「子どもが巻き添えをくう」「二次被害を生むのでは」と批判の声が殺到。炎上状態となっている。黒潮町本庁に取り組みの意図を聞いた。

 問題の取り組みは、今月10日に公開されたNHK松山放送局の記事「わたしたちが主役! 地域防災を支える高知の子どもたち」の中で触れられている。「避難をためらう高齢者の意識を変える」という見出しの中で、津波避難について「もう死ぬしかない」「あきらめちょる」などと避難をためらう高齢者に対し、地域の小学生が「近くに俺らがおるけん、地震がきたら来ちゃるけん」と励ます様子が紹介されている。

 この記事の内容に、ネット上では「自分の生命を最優先する津波避難の場面で、避難を躊躇(ためら)う高齢者を、なんで子供が誘導しに行く必要があるのか」「こんなん児童虐待」と批判が殺到。その後、NHKでは「※公開当初の記事で避難訓練の趣旨が不明確だったため、3月12日に加筆・修正しました」として、当該箇所の小学生のコメントが削除されるなど大幅な修正が加えられている。

 また、2020年11月の高知新聞社の記事でも「津波避難、高齢者らをタワーへ運べ! 黒潮町児童が担架で訓練」との見出しで、非常用担架に大人を乗せ、津波避難タワーを上る児童の写真が紹介されている。

 黒潮町本庁情報防災課の担当者は、子どもによる高齢者の避難誘導の訓練について「一人暮らしの高齢者が多く、避難訓練に参加したがらない状況があった。町では児童への防災教育プログラム学習を進めており、子どもたちから一緒に参加しませんかと呼びかけ、高齢者に前向きに訓練に参加してもらうことが目的。避難の最中に一緒になったら助け合うこともあると思いますが、あくまで自分の命を守ることが最優先。実際に地震があったときに子どもたちがおばあちゃんのところに行くわけではありません」と話している。

次のページへ (2/2) 【写真】高知県黒潮町の津波避難タワーや避難訓練の様子
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