ミュージカル『SPY×FAMILY』注目度ナンバー1のアーニャがかわいすぎる! 原作そっくりのクオリティー【ゲネプロレポ】

東京・帝国劇場で2023年3月公演・ミュージカル「SPY×FAMILY」(23年3月8日~29日)が開幕した。

クールで知的な凄腕スパイ〈黄昏〉役の鈴木拡樹(右)とアーニャ役の増田梨沙【製作:東宝、写真:(C)遠藤達哉/集英社】
クールで知的な凄腕スパイ〈黄昏〉役の鈴木拡樹(右)とアーニャ役の増田梨沙【製作:東宝、写真:(C)遠藤達哉/集英社】

ユーリやヘンダーソン、シルヴィアの完成度にも注目

 東京・帝国劇場で2023年3月公演・ミュージカル「SPY×FAMILY」(23年3月8日~29日)が開幕した。

ドラマ、アニメ、アイドル、K-POP、スポーツ…大人気番組が目白押しのお得キャンペーンを実施中(Leminoサイトへ)

 遠藤達哉氏原作の大人気スパイアクション&ホームコメディ「SPY×FAMILY」を舞台化。初日の8日には本番直前に会見が行われ、凄腕スパイの〈黄昏(たそがれ)〉/ロイド・フォージャー役の森崎ウィン、鈴木拡樹、殺し屋の女・〈いばら姫〉/ヨル・フォージャー役の唯月ふうか、佐々木美玲(日向坂46)、原作でも大人気の超能力少女・アーニャ役の池村碧彩、井澤美遥、福地美晴、増田梨沙らが出席した。会見は子役たち4人が「うぃ!」とアーニャらしい一面を見せ、和やかな空気に包まれた。

 会見前には鈴木と唯月と増田バージョンのゲネプロも行われ、最終調整が行われた。今回はゲネプロの様子をお届けする。(取材・構成=コティマム)

(※以下、内容に関する記載があります)

 シリーズ累計発行部数2900万部を突破した大人気コミックが原作の本公演。すでに10巻まで発売されているため、内容がどのようにまとめられているのか気になるところ。約3時間の上演で、〈黄昏〉とアーニャ、ヨルとの出会いからアーニャのイーデン校受験合格までがまとめられている。その中で、本来はアーニャ入学後のエピソードとなる部分もうまく融合されており、主要キャラクターの登場を楽しむことができる。

 アニメ版では、『007』などのスパイ作品を彷彿(ほうふつ)とさせるBGMが取り入れられているが、ミュージカルでもスパイ調のオリジナルメロディがふんだんに使用されている。オープニングから軽快でリズミカルなビッグバンドJazz風の楽曲に合わせ、キャストとアンサンブルが大迫力のハーモニーとキレのあるダンスで魅せる。原作でもおなじみの、「“影なき英雄”よ。君たち諜報員(エージェント)の活躍が日の目を見ることはない。勲章もなく新聞の片隅に載ることもない。だがそれでも、その骸の上に人々の“日常”が成り立っていることを忘れるな」という言葉が楽曲内に取り入れられている。オーケストラピットの生演奏を聞くことができるのも、ミュージカルの醍醐味だろう。

 舞台セットもテンポよく回転し、敵との戦闘シーンや美術品を盗み出す場面などは臨場感満載。また、スパイ特有の暗号(話している言葉と実際のメッセージが違う)なども、字幕パネルを効果的に使用して再現されていた。

 この日のゲネで〈黄昏〉/ロイドを演じたのは、2.5次元ミュージカルで数々の主演・座長経験のある鈴木。金髪に灰緑色のスーツ姿のたたずまい、そして静かで落ち着いた口調は、イケメンでスマートな〈黄昏〉そのものだ。ヨル役の唯月も、天然でほんわかした普段の“ヨルさん”と、戦闘モード全開の殺し屋・〈いばら姫〉との落差を演じ分けている。ミュージカル主演経験が豊富なだけあって、歌唱シーンでは美しいのびやかな高音が響いた。

 そして注目度ナンバー1といっても過言ではないのが、アーニャ。12月に行われた製作発表会見では、脚本・作詞・演出を手がける舞台演出家のG2氏がアーニャ役について、「すっごいかわいいので、ぜひ期待してほしい」と語っていた。言葉そのままに、4人全員元気いっぱいのアーニャそっくりでかわいらしい。

 ゲネでは4人のうち増田梨沙が登場。のほほんとしたアーニャ特有の話し方や甘え方、「ワクワク!」とテンションの上がる姿、ショックを受けてテンパる様子など、クルクルと変わる表情がとても愛らしい。「アーニャ、ぴーなつがすき」「ちち、ものすごいうそつき」「あ~、アーニャ、ははいなくてさみしぃ~、ははのそんざいこいし~」といったアーニャ節も、オリジナルのメロディとともに歌で表現されている。速いテンポに合わせて力いっぱい踊るダンス姿は堂々とした風格だ。

 また、ヨルを溺愛する弟ユーリ・ブライアを演じたのは滝澤翼。滝澤は12月の製作発表会見でユーリの大ファンを公言しており、身長(179センチ)も家族構成も年齢(20歳)もユーリと同じであると熱弁していた。さらに「この作品を良くするためなら何だってする!『何だって』だ!」と、ユーリ節で決意表明しており、その並々ならぬユーリ愛が演技にも表れていた。エリート秘密警察として冷酷な顔を持ちながらも、姉の前ではデレデレになり、ロイドに嫉妬心を燃やす。感情のふり幅が激しい役どころだが、ユーリと一体化していた。

 さらに、名門イーデン校の教諭ヘンリー・ヘンダーソン(鈴木壮麻)と、黄昏の上官で「鋼鉄の淑女(フルメタル・レディ)」の異名を持つシルヴィア・シャーウッド(朝夏まなと)も、まるで原作からそのまま出て来たような完成度の高さ。「エレガント!」が口癖のヘンリー演じる鈴木からは優雅な“エレガンス”が漂い、劇団四季出身の歌声からも気品を感じる。また一分の隙もないシルヴィアを演じる朝夏は、宝塚歌劇団元トップスターの本領を発揮。歌声・ダンスともに圧巻で、キレのある動きが際立っていた。

 ミュージカルファンも原作ファンもともに楽しめる帝国劇場ミュージカル「SPY×FAMILY」。4月には兵庫・兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール、5月には福岡・博多座でも上演される。

次のページへ (2/2) 【写真】場面アザーカット
1 2
あなたの“気になる”を教えてください