29歳・當間ローズ、自腹でフラワーロスの有効活用を続ける理由「違いは個性」
ブラジル生まれ、静岡・湖西市育ちの歌手・當間ローズが7日、フラワーロス(廃棄対象の花)を持ち、浜松市内の3校を訪れた。社会貢献活動の一環で、商品にならなかった花と生徒たちが抱える悩みを「個性」と表現。それを生かすマインドを持つように呼び掛けた。
バラとミモザを持ち、静岡・浜松市内の3校を訪問
ブラジル生まれ、静岡・湖西市育ちの歌手・當間ローズが今月7日、フラワーロス(廃棄対象の花)を持ち、浜松市内の3校を訪れた。社会貢献活動の一環で、商品にならなかった花と生徒たちが抱える悩みを「個性」と表現。それを生かすマインドを持つように呼び掛けた。
29歳の當間は、バラとミモザの花を手に生徒たちの前に姿を見せた。訪れたのは雄踏中、南米系外国人学校のムンド・デ・アレグリア、浜松湖南高の3校。それぞれで約1時間滞在し、フラワーロスの説明と講演をした。
「これまでは地元の湖西市内の学校を訪問していましたが、隣接する浜松市内の3校からも機会をいただきました。皆さん、熱心に話を聞いてくれ、フラワーロスにも関心を示して『応援したい活動』と言ってくれました」
當間とフラワーロスの出会いは、2020年のコロナ禍前だった。FM豊橋の番組企画で、愛知・豊橋市内の農家を訪れたことがきっかけだった。
「バケツの中にたくさんのバラが入っていたことが気になり、聞いてみると『商品にならないので廃棄します』とのことでした。僕は『こんなにきれいなのに何で捨てられるんだ』と思い、『引き取ります』と返しました」
フラワーロスとは、農家から出荷される際に品質、サイズなどが規格外だったほか、品番(種類)の数が少ないことで廃棄の対象になった花のこと。フードロスと同様の社会課題だが、當間は定期的に農家から廃棄対象の花を引き取り、自腹で有効活用を続けている。
「まずはトゲ抜きをして、すぐに枯れないように長持ちをする薬品に茎をつけ、1本1本をラッピングしていきます。ほんの少し曲がっている花もあったりもしますが、それらを出会う方々にプレゼントすると、『きれい』と喜んでくださいます」
2020年配信のAmazon Prime Video婚活サバイバル番組『バチェロレッテ・ジャパン』に出演して以来、當間は地上波テレビ出演の機会を増やしてきた。見た目とのギャップを感じさせる程の“真面目な苦労人”。4歳で両親と来日時は日本語が話せず、孤立した日々も経験した。学生時代はタレント養成学校、大学の学費を自分で稼ぎ、デビュー後は実家へ仕送りをした上に弟、妹の入学金も支払った。講演ではそんな歩みも語り、ムンド・デ・アレグリアでは、同じ境遇にある生徒たちの悩みも聞いた。
日本語が話せない外国人学校の生徒に「過去の僕を…」
「僕の話を聞いてくれたのは、高3にあたる年齢の生徒たちでしたが、大半が日本語を話せず、まるで過去の僕を見ているようでした。不安が大きいし。肩身の狭い状況で、自信をなくしている。気持ちはよく分かりますが、僕は『日本で文化に触れることはチャンスであり、人生のプラス。周りとの違いはフラワーロスと同じで“個性”であり、大人になって役立っていく。新しい文化に溶け込んでほしい』と伝えました」
また、同校では予期せぬ再会劇もあった。當間が来日して程なく、ポルトガル語の読み書きを教えてくれた恩師マルシアさんが同校で勤務していたのだ。
「驚きました。ここに勤務されているとは知らなかったので。先生は僕の姿を見て、泣いていました。先生の前で講演できたことをうれしく思います」
當間の活動は、歌手、モデル、バラエティー番組、インターネットテレビの情報番組出演など多岐にわたるが、社会貢献活動への意欲はより高くなっている。4月29、30日に浜松市の雄踏グラウンドで開催される音楽イベント『ウナフェス』では、フラワーロスを販売し、売上金の一部を国際交流団体に寄付する意向。講演については、「静岡県外の学校にも、フラワーロスとともに足を運べたらと思います」と話している。