230冊もの日記からひも解く“人間カメジロー”TBS佐古忠彦監督インタビュー

230冊にも及ぶ日記に向き合った佐古監督
230冊にも及ぶ日記に向き合った佐古監督

次女の千尋さんからは「私よりも、父の字が分かる」と言われました

――今回、改めてカメジローさんの230冊にも及ぶ日記に向き合ったそうですが、映画で観ると、かなりのクセ字ですね。

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「千尋さんには『私よりも、父の字が分かる』と言われました(笑)。230冊を読むのには大分時間かかりましたが、その筆圧には気持ちが見えてきましたし、その時代の温度みたいなものがあるような気がしました。時間としては正確にはわからないですけど、月5、6日ずつくらい読む時間に当てて、同時並行でインタビューを撮り始めて、という感じでした」

――具体的にはどんな言葉に魅了されましたか。

「たくさんあります。例えば、土地闘争での言葉で、『土地は、子や孫に譲らなきゃいけないもの。その土地を占領者に取られて、奴隷になるのか、そうじゃなくてちゃんと残していく道を選ぼう』といったもの。『米軍が差し出したものにハイハイすると、犬になる。人間は4本足でない、2本足で歩くんだ』という言葉も。あの『立て!』と言っている感じの言葉の強さは、日記やさまざまな人の証言でも出てきます。最後に入れたのは、獄中日記での言葉です。『突然、暗がりに放り込まれると何事も見えなくなる。しばらくじっと腰を据えておれば、やがて心眼は開かれ、突破口が見つけることができる』――。これは後世へのメッセージに思えました。そうやって常に先を見て考え、どう行動するかを判断しながら行動してきた人なんだろうなっていうのが如実に表れています」

「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」(C)TBSテレビ
「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」(C)TBSテレビ

――音楽は坂本龍一さん。「NEWS23」の音楽を担当されたのが縁で、前作に引き続き、素敵な曲を提供してくれました。

「本当に素敵な曲で涙が出そうでした。カメジローの闘い、その先にあるもの、希望も少し見え、いろんなものがこうストンと落ちてくるような曲を書いてくださり、本当にありがたかったです。途中には1作目の曲の旋律が少し奏でられています。本当に感動的な曲でした」

――今後はどんなテーマを考えていますか。

「自分の中にある原点はずっと置きながら、またもの作りをしたいなと思います。沖縄に関するお話はたくさんあるので、少しずつ出来たらいいと思います」

□佐古忠彦(さこ・ただひこ)1964年8月8日、神奈川県生まれ。55歳。1988年東京放送(TBS)へ入社し、1996年~2006年、「筑紫哲也 NEWS23」でキャスターを務める。政治部(2006年~2010年)、「Nスタ」(2014年~2017年)、「報道LIVE あさチャン!サタデー」「Nスタニューズアイ」を経て、2013年から「報道の魂(現・JNNドキュメンタリー・ザ・フォーカス)」のプロデューサーを務める。近年の作品には「戦後70年 千の証言スペシャル 戦場写真が語る沖縄戦・隠された真実」(2015年)、報道の魂SP「米軍が最も恐れた男?あなたはカメジローを知っていますか」(2016年)などがある。

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