兄とのお笑いコンビでブレークの前田旺志郎、今春慶大を卒業へ 月9出演俳優が実現した「夢」

俳優の前田旺志郎が『わたしの幸せな結婚』(3月17日公開、塚原あゆ子監督)で、特殊能力である“異能”を操る陸軍部隊の一員を演じている。3歳で子役デビューした前田は、2007年に兄と結成したお笑いコンビ・まえだまえだでブレーク。近年はNHK連続テレビ小説『おちょやん』やフジテレビ系連続ドラマ『女神の教室~リーガル青春白書~』(月曜9時)に出演するなど、注目の若手俳優のひとりだ。現在、22歳。今春卒業する慶応大では、コンプレックスを打ち明けたことで、夢を実現できたと感謝する。

インタビューに応じた前田旺志郎【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた前田旺志郎【写真:ENCOUNT編集部】

映画のイベントで目黒蓮に対抗、秘策をばらされ赤面も

俳優の前田旺志郎が『わたしの幸せな結婚』(3月17日公開、塚原あゆ子監督)で、特殊能力である“異能”を操る陸軍部隊の一員を演じている。3歳で子役デビューした前田は、2007年に兄と結成したお笑いコンビ・まえだまえだでブレーク。近年はNHK連続テレビ小説『おちょやん』やフジテレビ系連続ドラマ『女神の教室~リーガル青春白書~』(月曜9時)に出演するなど、注目の若手俳優のひとりだ。現在、22歳。今春卒業する慶応大では、コンプレックスを打ち明けたことで、夢を実現できたと感謝する。(取材・文=西村綾乃)

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映画は顎木(あぎとぎ)あくみの同名小説が原作。大正ロマンを思わせる架空の時代を舞台に、冷酷無慈悲の名家の当主・久堂清霞(目黒蓮/Snow Man)と、名家に生まれながらも、家族から虐げられてきたヒロイン・斎森美世(今田美桜)が心を通わせていく姿を描いたもの。前田は陸軍部隊を率いる久堂の右腕として五道佳斗にふんしている。

「近寄りがたい空気をまとっている久堂を、唯一突っ込んだりできるのが、五道。僕は、みんなが苦手だなと思う先生とも、仲良くできていた方なので、コミュニケーション能力が高いところが似ていると感じました。五道は明るいだけでなく仕事ができるキャラクターなので、そこのギャップの見せ方は苦労しました」

目黒とは今回が初共演。久堂と同じように、物静かな目黒のたたずまいを見たときは、「コミュニケーションが取りづらそうだなと感じた」と振り返る。

「でもその感じが本当の目黒くんなのか、演じている清霞なのか判断できなかったので、目黒くんのことを知ろうと、とにかく話しかけました。最初はなかなか会話が弾まなかったけれど、何度も話しているうちに、お互いが演じている役に対してはもちろん、芝居に対してすごく情熱を持っていることが分かって、そこから映画の話を中心にいろいろな話をするようになりました。集中しているときは、僕の話しかける声も聞こえなくなるほどストイックだけど、かわいいところもあるんです。いじったり、いじられたりしていました」

上司と部下としてはもちろん、芝居への熱い思いが2人をつないだ。2月に行われた同映画のイベントでは、目黒らとの身長差を気にした前田が厚底の靴を履き舞台に立ったことについて目黒が「ちょっと言いたいことがある」といじる一幕もあり、仲の良さがうかがえた。

本作で前田は、陸軍部隊として殺陣に初挑戦した。共演した西垣匠や、松島庄汰らと東京都内で練習を重ね、本番に臨んだと力を込める。

「刀を持って戦うことは初めての経験でした。刀をどのように持つのかなど細かくご指導をいただきました。五道は何でもできる男なので、刀さばきでもそれを感じさせなくてはいけない。理想と板についていない現実との間に、悩みました」

映画の主題歌『タペストリー』は、目黒が所属するSnow Manの新曲だ。歌われている歌詞のように、大切な人のため「全てを投げだしても良い」と思えた瞬間が前田にはあっただろうか。

「友だちが困っているときですね。過去に現場が一緒だった子が、撮影中におじいさまが亡くなってしまって。ものすごく落ち込んでいたので、『飯に行こう』と誘ってカラオケに行きました。カラオケでは中島みゆきさんの『ファイト!』を歌って、『頑張ろう!!』って。人のために何かをしたとき、僕自身の疲れも吹っ飛ぶなって。笑顔になってくれたのを見たとき、僕自身も心から笑うことができました」

私生活では高校進学を機に上京。猛勉強の末、2019年に慶大総合政策学部に入学し、今春卒業を迎える。

「大学では演劇教育をテーマに学びました。舞台や映画の現場では、同じ業界の人としか出会うことができませんが、大学では別々の夢を持っている同世代と知り合うことができました。やりたいことのために努力できる人の姿は『負けられへん!』という気持ちにさせてくれましたし、やりたいことを『好きだ』と素直に言える姿に嫉妬もしました。僕が大切にしている『俳優業』について、リスペクトしてもらえたことは、僕のままでいて良いんだなと、自信になりました」

コロナ禍でオンライン授業が導入されるなど、特殊な環境で学んだ時期もあったが、3年生のときに、ゼミの仲間と協力して演劇のワークショップを主催。温めていた夢をかなえることができた。

「ゼミにいろんなプロジェクトをゴリゴリ回している女の子がいて、その子に『ワークショップをやりたいと思っているんだ』って相談をしたんです。僕はやりたいことがあっても、回し方が分からなかった。彼女は彼女で別々にあるものをつなげる力はあるけれど、つなぐものを考えるアイデアを持っていないことを悩んでいて。お互いが足りないと感じていたことを告白できたことで、形にすることができました。『教科書に出てくる勉強は社会に出たら忘れちゃうかもしれないけれど、友だちとの時間はいつまでも残って行くぞ』って、ゼミの先生に言われたことを実感できた瞬間でした」

「まだまだ勉強したいことがあった」と語った前田に、「もう1年やる?」と聞くと、学業と仕事を両立させる大変さを思い出したのか、「いやいや卒業させてください」と顔をくしゃくしゃにして、机に崩れ込んでいた。

□前田旺志郎(まえだ・おうしろう)2000年12月7日、大阪府生まれ。3歳のときに子役としてデビュー。兄の航基と07年にお笑いコンビ「まえだまえだ」を結成し活動。11年には映画『奇跡』(是枝裕和監督)で主演を務めた。映画『キネマの神様』(山田洋次監督)のほか、現在、フジテレビ系連続ドラマ『女神の教室~リーガル青春白書~』に出演中。

○ヘアメイク:佐藤健行(HAPP’S.)
○スタイリスト:九(Yolken)

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