レミオロメン名曲『3月9日』誕生秘話 発売から19年、藤巻亮太の思い「まさに奇跡の曲」

この時季になると耳にする“卒業ソング”。レミオロメンの『3月9日』(2004年3月9日リリース)も、世代を超えて愛される数々の名曲の1つだ。20年前、彼らの友人の結婚を祝うために作った楽曲だったが、2005年のフジテレビ系連続ドラマ『1リットルの涙』の挿入歌として使用され、人々の心を揺さぶった。作詞、作曲を手掛けたのは藤巻亮太。バンドの休止後、ソロアーティストとして10周年を迎え、今も大切に『3月9日』を歌い続けている。その思いを聞いた。

ソロ活動10周年の藤巻亮太【写真:冨田味我】
ソロ活動10周年の藤巻亮太【写真:冨田味我】

卒業ソングとして作り手の想像を超える物語が始まった

 この時季になると耳にする“卒業ソング”。レミオロメンの『3月9日』(2004年3月9日リリース)も、世代を超えて愛される数々の名曲の1つだ。20年前、彼らの友人の結婚を祝うために作った楽曲だったが、2005年のフジテレビ系連続ドラマ『1リットルの涙』の挿入歌として使用され、人々の心を揺さぶった。作詞、作曲を手掛けたのは藤巻亮太。バンドの休止後、ソロアーティストとして10周年を迎え、今も大切に『3月9日』を歌い続けている。その思いを聞いた。(取材・文=福嶋剛)

誰もがアッと驚く夢のタッグ…キャプテン翼とアノ人気ゲームのコラボが実現

――卒業シーズンになると必ず『3月9日』の話題がメディアで取り上げられます。率直にどんなお気持ちですか?

「素直にうれしいです。18年以上も前の曲なのに今も卒業式で歌ってくださる方がいて、この曲を聴きたいと思ってくださる方がいるということが、どれほどありがたいことか」

――もともと、友人の結婚を祝うために作った曲だと聞きしました。

「バンドメンバー全員の友人と奥さんの2人の門出を祝うためだけに作った曲でした。結婚式が3月9日だったから、『サンキューの日だね!』って話をしながら仮タイトルを『3月9日』とつけて2人にプレゼントした曲なんです」

――その曲が、いつの間にか一人歩きをして大ヒットしました。

「作り手としては、『奇跡』以外に思い浮かぶ言葉がありません。いつの間にか誰かの耳に止まり、新しい生命を吹き込んでいただいたおかげで、僕たちの想像を超える物語が始まり、知らない世界に連れて行ってもらえたんですから」

――ソロになった今でも音楽番組やライブで歌い続けています。

「作ったときとは違う形で成長し続ける曲ですから。僕自身もいつまでも新鮮な気持ちで歌えるようにこれからも成長していきたいですし、『3月9日』を聴いてくださった人が、『また聴きたい』と思っていただけるように歌い継いでいきたい。そんな思いがあります」

――過去の歌にしばられる訳ではなく、過去の歌が今の藤巻さんを成長させてくれた、と?

「いくつになっても今の価値観や今の感性を信じて、そのときにしかできない音楽を作るというスタンスはデビューからずっと変わりません。『3月9日』や『粉雪』は20代の頃の感性なので今とは比較できませんが、あの頃の情熱は忘れちゃいけないなって思っているんです。そして、そこに甘んずることなく、今の曲を作っていきたい。そんなモチベーションを上げてくれる曲たちなのかもしれません」

――『3月9日』をセルフカバーした音源は、1月にリリースした4枚目のオリジナルアルバム『Sunshine』の初回盤(付属のベスト盤)にも収録されています。そのニューアルバムですが、まさにタイトルが示す通り、太陽の光をたっぷり浴びた生命力を感じさせる12曲が収められています。

「レミオロメンからソロになって10年がすぎましたが、40代に入ってすごく素直に自分と向き合うことができているんです。目の前が曇って見えてしまうことがあったのは誰かのせいでも、何かのせいでもなく、自分次第だったと分かってから新しい価値観が生まれました。そんな前向きな今の気持ちをそのまま丸ごと曲にできたアルバムなので、『Sunshine』というタイトルになりました」

――最後に『3月9日』に思い出を刻んでくれた人たちにメッセージをお願いします。

「小学校だと6年間、中学、高校だと3年間、そして大学は4年間とか。応援してもらった仲間や家族、一生懸命頑張ってきた勉強やクラブ活動、そんな時間を振り返りながら、さまざまな思い出を胸に刻んで不安と希望を抱えながら一歩前に進んでいく。このとても大切なタイミングで『3月9日』に思い出を刻んでくださったみなさんには感謝しかありませんし、音楽をやっている人間としては、これ以上うれしいことはないです。まさに奇跡の曲です」

□藤巻亮太(ふじまきりょうた)1980年、山梨・笛吹市出身。2003年、レミオロメンの一員としてメジャーデビューし、『3月9日』、『粉雪』など数々のヒット曲を世に送り出す。12年、ソロ活動を開始。1stアルバム『オオカミ青年』を発表以降も2ndアルバム『日日是好日』、3rdアルバム『北極星』、レミオロメン時代の曲をセルフカバーしたアルバム『RYOTA FUJIMAKI Acoustic Recordings 2000-2010』をリリース。18年からは自身が主催する野外音楽フェス「Mt.FUJIMAKI」を地元・山梨で開催するなど精力的に活動を続けている。23年1月、ソロ活動10周年を彩る4thアルバム『Sunshine』をリリース。2月26日、ソロ活動10周年のアニバーサリーを締めくくる新曲『朝焼けの向こう』を配信。

次のページへ (2/2) 【動画】藤巻亮太が歌う『3月9日』
1 2
あなたの“気になる”を教えてください