中国系通販サイトで権利侵害された作品が販売 作家泣き寝入り、文化庁も「特定難しい」
中国系のオンラインファストファッションサイト「SHEIN(シーイン)」で、イラストを無断使用された商品が販売されているという作家の投稿が、ネット上で話題を呼んでいる。いったい何があったのか。SHEIN PR事務局と被害を受けたイラストレーターに話を聞いた。
作家が手掛けたキャラクターイラストのステッカーとうり二つな商品を販売
中国系のオンラインファストファッションサイト「SHEIN(シーイン)」で、イラストを無断使用された商品が販売されているという作家の投稿が、ネット上で話題を呼んでいる。いったい何があったのか。SHEIN PR事務局と被害を受けたイラストレーターに話を聞いた。
「やられました…SHEIN…イラスト全て無断使用です。恐らく他の作家さんも同様です。絶対に買わないでください…!」
SNS上で被害を訴えたのは、ファッション系のイラストをメインに広告、ミュージックビデオ、キャラクターデザイン、衣装デザインなどを手がけるイラストレーターのKONNOITA(@muneganai29)さん。投稿には、KONNOITAさんが手掛けたキャラクターイラストのステッカーとうり二つな商品が掲載されたサイトページが収められている。被害発覚後から問い合わせを行い、現在は販売を取り下げてもらっているが、海外の販売サイトということもあり対応は困難を極めたという。
「SHEINだけでなく楽天、Amazon、その他複数の海外通販サイトにも同様の商品が出回っている事が分かったので、時間を見つけて1箇所ずつ著作権侵害の申告をするようにしています。しかし申告の手続きが複雑なサイトも多く、何度も申請を却下されてしまったり、海外サイトの中には他国からだと申告自体がほぼ不可能な所もあるようで、正直心が折れかけています……」
今回は投稿が話題となり各通販サイトに多くの通報が寄せられたことで、SHEINと楽天は早々に商品を削除。一方で、各サイトから商品が削除されたとしても、違法商品を作って各通販サイトに卸している製造元が取り締まりを受けない限り、今後も延々と同じ被害が繰り返されることになる。
製造元に製造をやめさせることはできないのか。KONNOITAさんが文化庁の「海賊版相談窓口」に問い合わせを行うと、弁護士を通じ「権利侵害をしていることは明らかなので、製造元に対して製造の中止を要求する権利はもちろんある。ただし製造元を特定するのが難しいかもしれない」という内容の回答があったという。
製造元を調べる方法としては、実際に商品を買って確かめる、商品を販売していた通販サイトに問い合わせるなどの手段が考えれるが、今回のような文具では、商品に製造元が記載してある可能性は低く、通販サイト側も基本的には教えてくれない可能性が高いとのこと。仮に製造元を特定できた場合、警告書を送ることはできるものの、個人では警告を無視される可能性も高く、弁護士を雇うと高額な費用が発生する。他に考えられる対応としては、販売サイトに著作権侵害の申告をするか、SNSでの注意喚起などに留まるという。
ENCOUNTが今回の件について国内のSHEIN PR事務局に問い合わせたところ、SHEIN JAPANの公式見解として以下のような回答があった。
「SHEINは、デザイナーやアーティストなど他者の知的財産権を尊重しており、侵害に関する申し立てに対して真剣に取り組んでいます。IP権利保有者から正当な苦情があった場合、SHEINは迅速に対処し、商品をサイトから削除します。SHEINではSHEINオリジナル商品と第三者のサプライヤーから調達した商品の双方を販売しています。今回の商品は第三者のサプライヤーから調達したものであることが確認され、関連する商品およびサプライヤーに対して即座に措置を取り、商品を撤去しました。私たちは引き続き違反の検出および予防のためにプロセスの改善に投資しています」
被害に遭ったKONNOITAさんは、文化庁からの回答を受け「私自身は製造元への追及まではしないことに決めました。お金も時間ももったいないので……」と話している。被害者が泣き寝入りせざるを得ないのが現状のようだ。