【週末は女子プロレス♯91】“格闘JKファイター”羽南、高校卒業でプロレス専念 看護学校と迷いも「今しかできない」
そんな羽南にとって大きな転機となったのが、悲願のフューチャー・オブ・スターダム王座奪取だった。フューチャー王座はキャリア3年未満、または20歳以下の選手が対象のタイトルで、18年3月の初代王者決定トーナメントから関わりのある羽南は21年12・29両国国技館で同期の琉悪夏を破り、ついにこのベルトにたどり着いた。以来、10度の防衛を果たし、最多防衛の新記録を樹立した。しかも、特筆すべきはその内容である。両国でベルトを奪うと、3月の両国2連戦でも防衛。妹2人の挑戦を退け、他団体相手からも守り抜いた。あらゆる方向から王者の座を守ったのだから、回数以上に価値ある記録と言っていいだろう。
「一番の目標だったので取ったときはメチャメチャうれしかったです。担任の先生はそれまでは『頑張ってね』程度だったんですけど、年明けに学校に行ったら『(チャンピオンなって)すごいじゃん!』みたいに言ってくれて。先生との距離が急に近くなりました(笑)」
昨年10・9新宿で壮麗亜美に敗れベルトを落としたものの、20歳まで挑戦する権利がある。18歳の羽南に奪回の意志はあるのだろうか?
「いや、いまは次に行きたいなと思っていますね。フューチャーは卒業かなと思います」
フューチャー王者時代、一度だけほかのベルトに挑戦した。昨年9・11横浜武道館、自分から名乗りを挙げ、葉月&コグマとのトリオでアーティスト・オブ・スターダム王座に挑んだのだ。今後はその時に果たせなかったユニット、チームとしてのベルトを狙いにいきたいという。
「いままではシングルプレーヤーみたいな感じだったんですけど、プロレスに専念できるこれからは、(所属ユニットの)STARSをもっと知りたいし、STARSで実績を残したい気持ちが大きくなってます」
羽南が話したように、これからはプロレスに専念できる環境が待っている。レスラーには理想だが、実際には進路で悩むこともあったようだ。
「正直、看護学校に行こうとも思いました。でも、自分が一番やりたいことは何かなって考えたときに、やっぱりプロレスだなって。プロレスっていましかできないと思うんですよ。看護師は頑張ればプロレスを引退してからでもなれるかもしれないけど、身体を使うプロレスっていまだと思うんですよね。なので、プロレスを続けることにしました。プロレスラーの試合を見てると応援したくなるし、勇気をもらえるんです。プロレスラーの闘ってる姿を見てると自分も頑張ろうって思えるんですよね。私の尊敬するレスラーが(岩谷)麻優さんと花月(引退)さんで、そう思わせていただきました。私もそんなレスラーになりたいなって。プロレスって、私も頑張ろうと思わせてくれるスポーツなんです」
プロレスへの集中を決意した羽南。高校の卒業式を終え、いまはどんな気持ちなのだろうか。
「この6年間、振り返ってみると一瞬だったなって。いままではプロレスのない学生生活って考えられなかったので、それがないこれからがまったく想像できないです。でも、今後については楽しみでしかないですね。これからいろんな冒険するんだろうなって。興味あること全部に挑戦していって、いろいろ吸収したいなって思います」
通常では経験できない中高一貫のレスラー生活を完走した羽南。恩師からの「オレが自慢できるくらいのプロレスラーになりなさい」との言葉を胸に、おとなのレスラーへと飛躍する。