60万円で購入したヨタハチを10年かけて執念のフルレストア 惚れこむ2つの理由とは

鮮やかな赤の車体が美しい1966年式トヨタスポーツ800は、ボロボロの状態から、10年もの歳月を経てよみがえった1台だ。59歳のオーナー宮田恵明さんに、愛車の魅力と再生までの物語を聞いた。

鮮やかな赤の車体が美しい66年式トヨタスポーツ800【写真:ENCOUNT編集部】
鮮やかな赤の車体が美しい66年式トヨタスポーツ800【写真:ENCOUNT編集部】

ベース車両から内装も含め、10年もの月日をかけ自らの手でフルレストア

 鮮やかな赤の車体が美しい1966年式トヨタスポーツ800は、ボロボロの状態から、10年もの歳月を経てよみがえった1台だ。59歳のオーナー宮田恵明さんに、愛車の魅力と再生までの物語を聞いた。

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「子どもの頃から機械いじりが好きで、小学生のときにはモンキーバイクのエンジンを分解したりしてました。古いデザインの車が好きで、18歳で最初に買ったのが69年式のフェアレディ2000。知り合いがフェアレディの改造車に乗っていて、それがもともとの形だと思って買ったので、『あれ? フェンダーついてねえじゃん』とか思ってたのと違ったというのは覚えてますね」

 自慢の66年式トヨタスポーツ800は、12年前に60万円ほどで購入。ベースとなった車体から内装も含め、10年もの月日をかけてすべて自らの手でフルレストアしたという。

「いつかは欲しいと思っていた車。生産台数が3113台で、現存台数が1000台くらい。そのうち実動台数が3分の1か、半分あるかどうかでしょうか。なかなか手に入らない車なので、知り合いからベースが入ったという話を聞いて、車体を見る前に購入したんです。届いたらエンジンから何からボロボロで、直すのに10年かかりました。シートのレザーも家庭用ミシンで縫ったんですよ」

 ほれ込む理由は、驚異の軽さと、それが生み出す軽快な走りにあるという。

「魅力はやっぱり愛嬌(あいきょう)のあるこの形と、飛行機屋の設計をもとにした580キロという軽量な車重ですかね。今の軽自動車でもだいたい800~900キロ。極力鉄板は使わず、ルーフ、ボンネット、トランク、バンパー、シートフレームなど、アルミで作れるところはすべてアルミでできています。軽いぶん運転してても軽快で、45馬力しかないのに力強く、燃費もよくてカタログ値でリッター30キロ、実燃費でも20キロ以上はゆうに走ります。50年以上前の車ですが、今のハイブリッドの原点になるような車なんですよ」

 都合10年もかかったというレストア趣味。達成には家族の理解も大きかった。長年連れ添った妻とは高校時代からのつきあいになるという。

「高校の友達が、デートに行くのに免許がないから運転してくれって、運転手役を頼まれたんです。そのときに、相手の子が連れてきた友達が家内でした。結局その2人は別れちゃって、僕らの結婚式のときにはお互い別のパートナーを連れて来てくれましたよ(笑)。ようやくレストアが終わったので、これからはこの車で家内との思い出を作っていきたいですね」

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