子役出身の芸歴14年、習い事からお仕事に変わった瞬間とは? 映画「ちひろ」で女子高生役

有村架純主演のNetflix映画「ちひろさん」(今泉力哉監督)が2月23日(木・祝)、配信&劇場公開される。自身が風俗嬢だったことを憚らない弁当屋で働くちひろさんと周囲の交友を描く同作で、ちひろと友達になる女子高生オカジを演じたのは、豊嶋花(15)だ。

子役時代について語った豊嶋花【写真:山口比佐夫】
子役時代について語った豊嶋花【写真:山口比佐夫】

Netflix映画「ちひろさん」で女子高生オカジを演じる

 有村架純主演のNetflix映画「ちひろさん」(今泉力哉監督)が2月23日(木・祝)、配信&劇場公開される。自身が風俗嬢だったことを憚らない弁当屋で働くちひろさんと周囲の交友を描く同作で、ちひろと友達になる女子高生オカジを演じたのは、豊嶋花(15)だ。(取材・文=平辻哲也)

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 豊嶋は1歳の時から子役として活躍し、5歳の時には「第2の芦田愛菜」と言われた。これまでNHK連続テレビ小説、大河ドラマにも出演。「あまちゃん」ではヒロインの母、天野春子(小泉今日子、10代は有村架純)、「ごちそうさん」ではヒロイン・め以子(杏)の幼少期を演じてきた15歳にして芸歴14年のキャリアの持ち主だ。

本作では、飾らない、ちひろさんの魅力にひかれて、不思議な交友を続ける女子高生オカジこと瀬尾久仁子を演じた。オカジは体裁ばかりをつくろう両親を持ち、閉塞感を持っているが、ちひろさんやシングルマザー、ヒトミ(佐久間由衣)の小3の一人息子マコト(嶋田鉄太)との交流を通じて、自身の殻を破っていく……。

「オカジは、ちひろさんに出会って、どんどん前向きになっていく。いい意味で影響を受けやすい人。私も、影響を受けたいことは聞き入れて、受けたくないことは、シャットダウンする派。そこはすごく似ています」。

 有村とは本格的な共演は初めてだが、続くNHK大河ドラマ「どうする家康」でも再会を果たしたばかり。

「初対面の時はあまりお話できなかったので、ミステリアスな方だなと思ったんです。でも撮影が始まってからは有村さんの方から話しかけてくださって、優しいんですよ。寒い日には『本当に寒くない?大丈夫?』と気にかけてくださり、大事なシーンの時はあえて距離を置いて役作りに配慮してくださる。ひとつひとつの気遣いがありがたかったです。大河でお会いした時も『こんなにすぐに一緒にできるなんて、うれしいよ』と言っていただき、すごくうれしかったです」

 本作の撮影は昨年3月。初めて一人で連泊した静岡での撮影は貴重な経験になった。自身も子役出身だが、マコト役の嶋田鉄太(9)との絡みはアドリブが多かった。

「不思議な気持ちになりますね。鉄太君は結構、暴れん坊だったので、私もこんな迷惑をかけていた時期があったのかな? とか思ったりして、しみじみとしてしまいました」と笑い。

 子役は母親が「思い出作りに」と1歳から始めた。最初は習い事の感覚で、「いつでもやめていいよ」と言われてきたが、楽しかったのだという。転機になったのは、黒柳徹子の幼少期を演じたテレビ朝日系「トットちゃん」(17)。

「これは、直感で絶対に私が演じたいと思ったんです。自分で考え、練っていって、オーディションに挑みました。自分の番になったら、監督が姿勢を直して見てくださったのを覚えています。自分でやったことが人の心を動かしたんだと思ったら、急に自信が出てきて、この感覚をもっと味わいたいと思ったんです」。

 目標とする女優にはフジテレビ系「大豆田とわ子と三人の元夫」(21)で共演した松たか子、そして、大ベテランの大竹しのぶを挙げる。

「松たか子さんは本当に素敵な方で、すごいオーラがありますが、演技を始めたら、とわ子でしかないんです。風吹ジュンさん演じるマーさんのうちでお話を聞くシーンがあったんですけども、表情一つ変えず、涙がボロボロ出て、すごいと思って、本当にびっくりしたんですよ。私の演技を評価してくださった方もいたんですけど、演技じゃなくて、本当にびっくりしちゃったんです。本物の女優さんを見たと思いました」。

 高校1年になったが、年齢を重なるにつれ、役を演じる怖さを感じている。NHK大河「どうする家康」の撮影は既に終えているが、「ここ最近で一番緊張しましたね。大河ドラマに出させていただくのは初めてじゃないんですけど、以前は何がすごいかも分かっていなかったんです。香盤表(スケジュール表)を見て、名前の並びが『うわー』って。本当に失敗しちゃいけないと思いますし、頑張らなきゃいけないと改めて強く思いましたね」。

 現在、高校1年生。得意科目は英語。今後も、学業と両立させながら、女優業に邁進していく。等身大の人物を演じるのが好評だが、「もう50回ぐらい言っているんですけど、サイコパスの役や変な役をやってみたいんです。もちろん、王道ヒロインもやってみたい。この人はこういう役もできるんだと思ってもらいたいんです」。Netflixは世界配信。いつか海外作品に出演する日も来るだろう。

□豊嶋花(とよしま・はな)2007年3月27日、東京都出身。数々のドラマや映画に出演。ドラマ「トットちゃん!」(17/EX)で黒柳徹子の幼少期を演じ話題を呼ぶ。主な出演作として、映画「恋妻家宮本」(17)、「めんたいぴりり」(19)、「生理ちゃん」(19)、「名も無き世界のエンドロール」(21)、ドラマ「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」(14/CX)、「キッドナップ・ツアー」(16/NHK)、「やすらぎの刻~道」(19/EX)、「青のSP-学校内警察・嶋田隆平-」(21/CX)、「大豆田とわ子と三人の元夫」(21/CX)などがある。昨年は、フジテレビ「第34回フジテレビヤングシナリオ大賞 瑠璃も玻璃も照らせば光る」ではドラマ初主演を務めた。趣味はUVレジンのアクセサリー作り。

映画『ちひろさん』
2月23日(木・祝)Netflix世界配信&全国劇場にて公開

監督:今泉力哉
出演:有村架純、豊嶋花、リリー・フランキー 風吹ジュン 他
配給:アスミック・エース
(C)2023 Asmik Ace, Inc. c安田弘之(秋田書店)2014

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