2500台施工で盗難被害ゼロの実績 車両防犯のプロ、譲れない一線「中途半端なシステムは売れない」

「これまで16年間で施工させていただいた2500台以上のお車は盗難被害0を継続しております」――。車両盗難が社会問題化している中で、注目を集めるカーセキュリティー専門店がある。レクサスシリーズ、ランドクルーザー、日産スカイラインGT-R…。言わば“狙われやすい”人気車種もがっちりと防御。そんな驚きの被害ゼロを続ける「A2M」の撹上(かくあげ)智久代表に、創設秘話や防犯の秘訣(ひけつ)を聞いた。

車両盗難被害ゼロを続けているカーセキュリティー専門店「A2M」の秘密を探った【写真:A2M提供】
車両盗難被害ゼロを続けているカーセキュリティー専門店「A2M」の秘密を探った【写真:A2M提供】

ディーラー営業マンから独立してもうすぐ17年 「日本一分かりやすい説明」を掲げるカーセキュリティー専門店「A2M」代表に聞いた

「これまで16年間で施工させていただいた2500台以上のお車は盗難被害0を継続しております」――。車両盗難が社会問題化している中で、注目を集めるカーセキュリティー専門店がある。レクサスシリーズ、ランドクルーザー、日産スカイラインGT-R…。言わば“狙われやすい”人気車種もがっちりと防御。そんな驚きの被害ゼロを続ける「A2M」の撹上(かくあげ)智久代表に、創設秘話や防犯の秘訣(ひけつ)を聞いた。(取材・文=吉原知也)

「ウチは『日本一分かりやすい説明』をテーマに、しっかりとお伝えして、お客様に納得していただいたうえで、カーセキュリティーを施工させていただいております」

 撹上代表は丁寧な口調で、同店の基本線についてこう話す。2006年4月に群馬県太田市に本店をオープンしたのを皮切りに、22年3月に三重県四日市市に支店を出し、さらに今春4月には愛知県津島市に新店舗を構える。従業員は12人。口コミでも評判を呼び、着実に規模拡大を続けてきた。

 日々のニュースやSNSを見ていると、盗難被害は後を絶たない。「ここ10年、盗難の件数自体は減っていると思います。ただ、狙われる車種はある程度決まっているような印象を受けています」と撹上代表。こうした中で、自慢の「盗まれないシステム」を高い技術力で施工してきた。

 撹上代表は「社外(自動車メーカー以外の会社が作った部品)のカーセキュリティーは、同一の取り付け方になるセキュリティーリスクを避けるためなのか、取り付け説明書がありません。警報サイレンをどこに隠すか、どの線でつなぐのか決まりがないため、同じ機械を選んでも施工店のレベルや取り付ける技術者の腕前によってセキュリティーの性能に差が出てしまうんです。詳しくはご来店、もしくはオンラインでご説明しておりますので、ぜひお聞きいただきたいと思います」と説明する。

 独自の取り組みとしてアフターケアを重視。「施工から1か月後、半年後、1年後のタイミングでお店からお客様にご連絡をし、ご来店いただいております。カーセキュリティーが取り付け時と同じように100%動作しているか、ドアを開けたり、ジャッキアップをしたり入念な点検を行っています。さらに、知識ゼロのお客様にもしっかりと理解していただけるように、原則1時間から1時間30分ほどの時間をかけて、大切なお車を守るために何が大切なのか、ご納得いただけるよう丁寧に説明を行っています」と話す。これは開業以来のサービスだという。

 そもそも撹上代表がカーセキュリティー業界に身を置くようになった理由とは。実は、国産車メーカーのディーラー営業マンからの転身だった。

 もともと国産スポーツカーが大好き。愛好家としても車の知識は豊富で、「30年前は、現在のようなボタン1つで鍵の開け閉めができるシステムなんてありませんでした。鍵穴に鍵を入れて回してドアを開ける時代でした。それがリモコン操作で便利になって。そんなことを自分で調べているうちに、セキュリティーの技術や部品について興味を持ち始め、『セキュリティーでやってみよう』と思ったんです」。

 いざ独立を決意して、セキュリティー分野の店を立ち上げることを話すと、ディーラーの仲間たちは皆、あっけにとられた様子。「結局、中古車を売るんでしょう?」。こんな言葉が返ってきたという。

 それに、17年前の当時、国内ではカーセキュリティー専門店は数少なかった。「カスタム&セキュリティー、オーディオ&セキュリティーといった具合で、今でも専門でやっている店はそこまで多くないです。私も車が好きで関東のいろいろなカーセキュリティーショップを回っていました。店の皆さんは職人でいらして技術はあるのですが、客としてセキュリティーの説明を受けても、『なるほど』と理解して納得できたことは1度もなかったです。だからこそ、自分がやるならば『日本一分かりやすい』を目指そうと考え、プレゼン力、トーク力を磨きました」と撹上代表。

 それでも、独立開業して半年たっても、昔の仲間から「まだやってるの?」といぶかしがられた。それが今や、古巣のディーラーから、セキュリティーの導入を希望する顧客を紹介してもらえるように。まさに信頼と実績のなせるわざだ。

「どこまで安くしよう、予算を抑えるためにここを外そうということはしません」

 そして、防犯のプロとしてここまでくることができた理由と自己分析について聞くと、意外な答えが。

「自分の気が小さかった。そこだと思うんです。もし、施工した車が盗まれてしまい、ネットに書かれたらお客様は来なくなる。それが怖かった。だから、中途半端なシステムは売れない。例えば、警報サイレンについて、窃盗犯は音が鳴らなくするようバッテリーを切断します。それを防ぐために電池を搭載したバックアップサイレンというものがあります。セキュリティーショップによっては『そこまでしなくても』とお客様に勧めないケースがありますが、ウチは最初からオプションで付けていました。実際にこれまで、盗難はゼロですが、施工したお車の中の10台が手を出され、そのうち3台が、バッテリーを切られました。しかし、このシステムによって警報が鳴って未遂に終わりました」と明かす。

 防犯システムの導入には、30~50万円といったそれなりの金額がかかる。顧客にそこの妥協は求めない。「お客様それぞれの予算は考慮しますが、どこまで安くしよう、予算を抑えるためにここを外そうということはしません。安くするためにセキュリティーレベルを下げてリスクを高めては本末転倒です。もしこの点をご理解いただけない場合は、お断りをさせていただくこともあります」。譲れない一線がある。

 愛知の新店舗オープンを前に、人材確保のリクルート活動にもはげんでおり、趣味のドライブも楽しんでいる。1993年式インテグラ、95年式シビックのほかにも、「CR-Xのサイバーとバラード、4ランナー、レクサスGXを持っています」というから驚きだ。そこにも仕事人気質を貫いており、新作のセキュリティーシステムは自ら試して装着して乗っている。「もし、乗り心地がよくなってもセキュリティーレベルが低くなるようではいけません。ダメならばお客様にはお勧めしていません」と力強い。

 旧車ブームが到来する中で、国産スポーツカーの盗難は、頭の痛い問題だ。愛車を守るアドバイスについて、撹上代表は「ウチにもスカイライン、スープラ、RX-7の入庫が多いです。ただ、20~30年前の車なので、どうしても防犯対策が備わっていません。相手はプロの窃盗団です。タイヤロックとハンドルロックを付けても盗まれてしまった人は多く聞きます。もうこの年式のこの車種は、買い直すことができません。お金はかかりますが、しっかり対策をするしかないです」と話している。

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