芸能プロ84社からオファーされた23歳グラドル・西本ヒカル 熊本飛び出し5年、新天地で人生懸けた挑戦
芸能界は日々、新たな才能を探している。スカウト、オーディション、紹介。事務所と契約しても、売れっ子になれるのはわずかだが、輝き始めた原石はいる。今年1月、所属事務所を移籍したグラドルの西本ヒカル(23)もその1人だ。熊本県大津町で生まれ育ち、両親の反対を押し切って上京。TBS系連続ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』で、広瀬すずが演じるヒロインのように東京の喧騒に戸惑いつつ、芸能スクール卒業時には84社からの獲得オファーを受けた。当面、活動の軸はグラビアになるが、目標の「国際的な俳優」になるべく、オーディションを受け続ける。
1月にアーティストハウスピラミッドへ移籍
芸能界は日々、新たな才能を探している。スカウト、オーディション、紹介。事務所と契約しても、売れっ子になれるのはわずかだが、輝き始めた原石はいる。今年1月、所属事務所を移籍したグラドルの西本ヒカル(23)もその1人だ。熊本県大津町で生まれ育ち、両親の反対を押し切って上京。TBS系連続ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』で、広瀬すずが演じるヒロインのように東京の喧騒に戸惑いつつ、芸能スクール卒業時には84社からの獲得オファーを受けた。当面、活動の軸はグラビアになるが、目標の「国際的な俳優」になるべく、オーディションを受け続ける。(取材・文=ENCOUNT編集部ディレクター 柳田通斉)
広瀬すず演じる連続ドラマの主人公「空豆」に共感
西本は1月、所属事務所を移籍した。契約したのは、アーティストハウスピラミッド。鈴木紗理奈、熊田曜子、岡田紗佳、ラブリ、熊切あさ美、塩地美澄ら多くの人気女性タレントが名を連ねる事務所だ。
「このたび、ご縁をいただきました。私が小学生の頃から見てきた先輩も所属され、『まさか、自分がここに』という思いです。精鋭だけを集めて、ちゃんと売り出しているという印象ですし、とても光栄に思っています」
熊本から上京したのは約5年前。ワタナベエンターテインメントカレッジに入校するためだった。
「小学生で映画『ハリーポッター』を見た頃から、ずっとエンタメの世界に憧れてきました。ただ、実家は阿蘇山に程近くて周りにはトウモロコシ畑が広がっています。芸能界を身近には感じられない環境で、進路指導の先生に相談したところ、ワタナベエンターテインメントカレッジの存在を教えてくださいました。その後、福岡でカレッジのオーディションがあることを知り、誰にも言わずに受験しました」
高3の夏。初めてのオーディションで、西本は特技を問われ、その場で思いついたものまねをしたという。
「突然、自分の中でスイッチが入り、広瀬すずさんが声優を務められた『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』のものまねをしていました(笑)」
その度胸と出来も踏まえて高評価。西本は審査員賞を受賞し、合格となった。だが、両親は大反対。娘が地元の大学を出て、公務員になると思い込んでいたからだった。
自己資金で上京し、「なまり」で「レッスンにならない」
「私も勉強は頑張って、評定4.5以上の成績がありました。推薦で大学合格も狙えましたが、カレッジに合格したことで芸能界入りするための上京を決意しました。ただ、親の協力は得られないので、コツコツとイタリア料理店でアルバイトして貯めたお金で東京の立川に家を借りました。旅立つ日は、両親に見送られることもなく家を出ました」
上京すると、人の多さに圧倒された。地元では、1本電車を逃すと1時間待ちになることもあったが、山手線は5分と待たずに来る。駅構内を動くのもひと苦労だった。
「すぐに駅の階段で転倒してしまいました。東京でもイタリア料理店でアルバイトを始めたのですが、足の骨にヒビが入り、2か月も休むことになって貯金が底をつきました」
カレッジには通ってレッスンを受け続けるも、「なまり」がなおらなかった。まさに、広瀬が『夕暮れに、手をつなぐ』で演じるヒロインの空豆と似た状況だった。
「私もイントネーションがひどくて、先生から『レッスンにならない』と言われていました。『~たい』『~ばい』『よかったい』という方言も出ていました」
ただ、引き戻すことはできず、ガムシャラになるしかなかった。そして、カレッジ卒業時の最終オーディションでは、計84社の芸能事務所に獲得オファーを受けるに至った。
「驚きました。1年前はこんなことになるとは思わなかったからです。とても有名な事務所からもお話をしていただきましたが、その時は設立されたばかりの事務所に魅力を感じ、契約しました」
2019年から芸能活動が始まると、程なく映画『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』(園子温監督)のオーディションに合格し、出演を果たした。撮影は京都で行われたが、21年公開の同作は、ニコラス・ケイジ主演のハリウッド作品だった。
「『えっ、もう夢がなかったの?』という思いでした。現場には、ニコラスさんをはじめ、すごい方々ばかりで……」
いきなりハリウッド映画出演も、グラビアでリスタート
だが、その後はオーディションに落ちる日々が続いた。
「10回受けて、1回受かるかどうかという感じになりました。受かる時は、互いに求めるものが同じで『食らいつく』という感じになりますが、なかなかうまくはいきません」
当時の事務所と話し合い、活路をグラビアに見いだした。水着で雑誌の表紙を飾り、20年からDVDを4作リリース。新事務所でもグラビアから始めることが決まっており、既に多くのオファーがあるという。
「グラビアはみっちりやってきましたが、まだ恥ずかしさはあります。根性を磨くために始めたのに、『初々しいね』とも言われます。でも、それは私の特徴なのかなと思いますし、私にしかないものを披露していきたいです」
ただ、不安もあった。事務所の先輩である熊田、熊切、塩地は、体を絞ったスリム体形。巨大ファッションショーのランウェーを水着姿で歩く姿も話題になったからだ。
「それは社長にも『私はそういう体形ですし』と相談しました。でも、分かってくださっていて、『絞らなくても、大丈夫。ただ、太らないようにしながら、お尻(のボリュームは)落とさないように』と言ってくださいました」
確かに大きめのヒップは魅力で、事務所もそこをアピール戦略は立てるだろう。ただ、西本は演技レッスンを受け続ける意向で、チャンス再来に備えている。
「グラビアをやらせていただき、バラエティー番組でも使っていただけるトーク力を磨きたいです。そして、俳優のオーディションも受けていきます」
今や名俳優の小池栄子、MEGUMIはグラビア出身。西本と同じ熊本県出身の倉科カナも、デビュー当時はグラビアが活動の中心だった。
「熊本には2年に1度帰っていますが、友達にも『芸能をやる』とは言わずに出てきたので、誰にも連絡できずにいます。でも、いつかは家族にも、熊本の方々にも誇っていただけるようになりたいです」
間もなく23歳の春。西本の人生を懸けた挑戦は、ここからが勝負になる。
□西本ヒカル 1999年12月31日、熊本・大津町生まれ。高3の夏にワタナベエンターテインメントカレッジのオーディション審査員賞を受賞し、高校卒業後に上京して同カレッジに入校。1年後、芸能プロダクションを集めた卒業時のオーディションでは、84社からオファーを受けた。19年から活動を開始し、アイドルグループ活動も経験。俳優としては、20年2月のTBS系ドラマ 『死にたい夜に限って』、22年1月のフジテレビ系『ミステリと言う勿れ』に出演。映画では21年10月公開の『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』(園子温監督)に出演している。特技は、剣道(初段)、バレーボール(競技歴10年)、Y字バランスなど。家族は両親、姉、兄、妹。160センチ、B85-W62-H82センチ。