映画『エゴイスト』の公開記念舞台あいさつが11日、都内映画館で行われ、主演の鈴木亮平、共演の宮沢氷魚らが登壇した。鈴木は「この映画には答えがないと思う。見ていただいた方がこれを愛と思うか、エゴと思うかは人それぞれだと思います」と話し、「いろんな色が見えてくる映画はそうそうない。この作品に携われたことを誇りに思います」とあいさつした。

　さまざまなテーマを、愛と毒のある切り口で数々のコラムを世に送り出してきた高山真氏の自伝的小説『エゴイスト』を映画化。鈴木は主人公の浩輔を、宮沢はその恋人・龍太を演じている。この日は鈴木、宮沢、阿川佐和子、ドリアン・ロロブリジーダ、松永大司監督が登壇した。

　鈴木は公開日を迎えた10日に、実際に劇場に足を運んで作品を鑑賞。「2個くらい隣にいた人が、何度か携帯のバイブ音がすごくて……」と苦言を呈しながらも、「いつもなら『オイ』と思うけど、今回に限っては『大変な用事が起こっているけど、それでも来てくださってありがとうございます』って」と心中で感謝したと話した。

　以前の舞台あいさつで出演作の感想をSNSでエゴサーチすることを明かしていた鈴木。「前回の完成披露（あいさつ）から、1ツイートも逃さずに読ませていただいていると思います」と胸を張り、「批判も賞賛も含めて、すごくうれしい。ありがたいことに、ほとんどが褒めてくださる内容ですし、そうではない内容もなるほどと思うことがあった」と笑顔を見せた。

　締めのあいさつでマイクを持った鈴木は「この映画は作られないんじゃないかと思う瞬間があった」と吐露。原作を読んで感銘を受け、出演に前向きだったものの、台本を見て翻意したこともあったという。「監督に『これじゃ、やれない』と電話をしたこともありました。監督は『僕を信じてくれ』とおっしゃって、一生懸命説得してくださって。今、こうして映画を見た後の皆さんの表情を見ていると、あのとき監督を信じてよかったと思います。こんな作品が出来上がるとは思いませんでした」とかみしめた。

　原作者の高山氏は20年10月に死去しているが、鈴木は「1人の人間が残したものが、いかにいろんな人たちに影響を与えるのかって……」と切り出し、言葉を詰まらせた。「人生って突然終えることもあるけど、本当にすばらしいなと。1人の人間が世の中に与えられる影響ってすごいんだと改めて思っています」としぼり出していた。