堀ちえみが振り返る大出世作『スチュワーデス物語』 今の韓流ドラマとの共通点とは

昨年デビュー40周年を迎えた歌手で女優の堀ちえみが、『堀ちえみ 40周年アニバーサリー CD/DVD-BOX』を発売し、東京と大阪でデビュー40周年記念ライブを開催するにあたりインタビューに応じた。堀と言えば大出世作となった大映テレビ・TBSドラマ『スチュワーデス物語』(1983年10月~84年3月)がつとに有名だ。夢をあきらめない主人公の奮闘、起伏の激しい展開、大げさなせりふ、嫉妬深い復讐劇は当時、世間に衝撃を与えた。初主演作となったこの名作ドラマについて堀は「韓流ドラマに影響を与えた」と証言する。

韓流ドラマについて語った堀ちえみ【写真:荒川祐史】
韓流ドラマについて語った堀ちえみ【写真:荒川祐史】

酷似ポイントは「突然倒れて記憶がない」「目が覚めたら解決していた」

 昨年デビュー40周年を迎えた歌手で女優の堀ちえみが、『堀ちえみ 40周年アニバーサリー CD/DVD-BOX』を発売し、東京と大阪でデビュー40周年記念ライブを開催するにあたりインタビューに応じた。堀と言えば大出世作となった大映テレビ・TBS系連続ドラマ『スチュワーデス物語』(1983年10月~84年3月)がつとに有名だ。夢をあきらめない主人公の奮闘、起伏の激しい展開、大げさなせりふ、嫉妬深い復讐劇は当時、世間に衝撃を与えた。初主演作となったこの名作ドラマについて堀は「韓流ドラマに影響を与えた」と証言する。(取材・文=鄭孝俊)

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――『スチュワーデス物語』をリアルタイムで見ていた中高年世代にとっては忘れられない作品です。

「最初に脚本を読んだ時にはとくに驚く内容ではなかったです。しかし、現場で撮影が始まったら監督さんがどんどんヒートアップして、一生懸命やらないと終わらない。監督は『せりふはお腹に力入れて出さないといけない。そうしないと言葉が上っ面だけになってしまう』『甲高い声でしゃべっても重みが出ない。人の心に刺さる言葉っていうのはうんと低音を響かせて瞳に力を入れて相手の目を見て言わないとダメだ』『言霊という言葉がある。ぺらぺらしゃべっても伝わらない』などと何度も言われました。『なるほど』とはっとしましたね。あの時は大変だなと思いましたけど、大人になってからやっぱり監督がおっしゃっていたことを思い返すと、すごくいい経験だったと思います」

――主人公の「松本千秋」は“ドジでのろまな亀”と形容されました。個人的に好きなキャラクターでしたか。

「好きなキャラクターというより、やらないと撮影が終わらないので(笑)。言われる通りにやったらそれが私の歌の表現にも影響を与えました。『スチュワーデス物語』の前と後で歌い方がまったく変わりましたね。言葉に説得力が出たってレコーディングのディレクターさんからも言われました。表現力と説得力、音域もどちらかと言えば高い方だったのが低いキーが伸びた。ドラマ出演の経験が私の歌に良い効果を与えたのだと思います。『スチュワーデス物語』に主演したことで北海道から沖縄まで全国の皆さんに掘ちえみを認知していただけた。おかげで全国ライブツアーも大成功を収めました。本当にラッキーだったなと思っています。最近でも飛行機に乗るたびにCAさんの姿を見ると、『今、“松本千秋”は何をしているのかな』と想像します(笑)」

――ご家族も『スチュワーデス物語』をご覧になりましたか。

「娘が小学生のときDVD化された『スチュワーデス物語』を内緒で見ていて泣いているんですね。聞くと『千秋がいじめられているのがかわいそう』と。試練を乗り越えて最後は夢をつかんだのでそこは共感してくれました。『スチュワーデス物語』や『赤いシリーズ』など当時の大映テレビのドラマを見返してみると、いま世界的に大人気の韓流ドラマに似ているところがあると思います」

――韓流ドラマは良く見ますか。

「見ますよ。『梨泰院クラス』や『愛の不時着』のほかに、『サイコだけど大丈夫』あたりも見ました。『春のワルツ』(06年。『秋の童話』『冬のソナタ』『夏の香り』に続くユン・ソクホ監督の四季シリーズ最終作)が日本に入って来た時、テレビ番組のインタビュー取材を受けて『スチュワーデス物語』と比べての印象を聞かれました。『梨泰院クラス』は各キャラクターの濃さやフレームの中にいっぱい人が入り込んでいる。似たようなシーンは80年代大映テレビのドラマにたくさん登場しています。前を向いている登場人物の肩をつかんでこちらに向かせたり、叱られて泣きながらにらんで言い返したり。『一生懸命頑張ります!』と決意を新たにしたり、それでいて1つの話を延ばして、延ばしてじれったくしたりする。出生の秘密とかも共通しています。『スチュワーデス物語』でも人が突然倒れて記憶がない、さらには目が覚めたらいろんなことが解決していた、とか。そういう部分がとても似ているな、と思います。『スチュワーデス物語』に出演していた17歳の少女が来月、56歳になり韓流ドラマにハマっています(笑)。当時が本当に懐かしいですね」

□堀ちえみ (ほり・ちえみ) 1967年2月15日、大阪府堺市出身。81年に開催された『第6回ホリプロタレントスカウトキャラバン』に優勝して芸能界入りし、82年3月『潮風の少女』でデビュー。83年に出演したTBS系連続ドラマ『スチュワーデス物語』が日本中で大ヒットし、アイドルとして歌やドラマで活躍。17年にデビュー35周年を迎え東京・品川ステラボールで35周年アニバーサリーライブを開催した。19年2月に口腔がん、4月に食道がんの手術を受けリハビリを続けていた。20年に芸能活動を再開。現在、7児の母となり舌がん手術の影響は残るものの、テレビ出演の他、教育や食育にまつわるトークショー、音楽活動と幅広く活動中。血液型B。趣味・特技は子育て、料理、読書、旅行。

次のページへ (2/2) 【写真】堀ちえみ、シングル作品ジャケット集 15枚目『Wa・ショイ!/風のサザン・カリフォルニア』~21枚目『愛を今信じていたい』
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