ボロボロのスカイライン、中古は破格値→300万円かけ自力レストア 驚異のビフォーアフター
1971年式の日産スカイライン2000GT(GC10型)。オーナーの志村武士さんは、ボロボロの状態で入手後、3年をかけてエンジンからすべて自身の手でフルレストアした。愛車へのすさまじい情熱はどこから来るのだろうか。
眠っていたお宝マシン 「たまたま車屋にシートをかけて寝ていたんですよ」
1971年式の日産スカイライン2000GT(GC10型)。オーナーの志村武士さんは、ボロボロの状態で入手後、3年をかけてエンジンからすべて自身の手でフルレストアした。愛車へのすさまじい情熱はどこから来るのだろうか。
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志村さんが愛車を手にしたのは13~14年前だった。
「たまたま知り合いの車屋の庭にね、シートをかけて寝ていたんですよね」
若いときからスカイラインが好きで、“ケンメリ”に乗っていた時期もある。「ハコスカは自分で買って乗ったことがなかったので仕上げてみようという気持ちでした」と、憧れの車を迎え入れることを決意した。
価格は、驚くことに「40万円」と破格。エンジンは不動だった。
志村さんは仕事の合間を縫って、ボロボロの車を再生すべく向き合った。
「3年かけて自分で全部バラバラにして、腐りを直して、エンジンを直して、すべてやり直しました」
もともとバイクが趣味で二輪のレストアの経験はあった。しかし、車のレストアは初めてだった。整備士の資格は持っていない。「どのくらいできるか?」と好奇心のおもむくままに、一つ一つ作業を進めたが、予想以上に難航した。長年放置されたボディーは腐り、底には穴が開いていた。「板金に1年かかりましたよ」。修復に使う鉄板は鋼材店で、その他の部品は純正に近いものをレストア店で調達。やり方を試行錯誤しながら、切断、溶接、加工……すべて手作業で行った。
最難関はエンジン…果てしない作業 「毎日4時間ぐらい、頑張ったよね」
もっとも大変なのはエンジンだった。自宅の駐車場でクレーンに吊るし、一つ一つ分解。黒ずんだ無数の部品を取り出し、洗浄した。平日は仕事から帰宅後に作業したほか、週末の空き時間に集中して取りかかった。「毎日4時間ぐらいやったり、頑張ったよね」と、自分を褒めるほど没頭した。レストアだけで費用は300万円かかった。
車を復元する中で、バイクのレストアとの違いも浮き彫りに。「バイクを仕上げているときは目に見えて進行していくこともある。車は本当に進まないね」。いくら手間をかけたか分からない。膨大な時間をつぎ込んだ。それでも、部品を組み立てながら、再び車に生命の火がともっていくことを実感できた。自分で仕上げた分、愛着もひとしおだ。
ハコスカのGT-Rではない。「でも、一般道では見なくなりましたね」という貴重な愛車だ。
「今の車と違って独特のスタイルをしている。今の車はどれを見ても同じ格好に見えちゃう。個性がありますよね。もともとスカイラインは好きだから、魅力はいっぱいあります。今にないスタイルをしているから」
足車はオートマ車に乗っており、乗り心地は「今の車に比べたら全然よくない」と苦笑いする。「快適さはないけど、自分で乗っているっていう感じがしますよね」と、何よりドライバーとの一体感を満たしてくれる。
L20エンジンは快音を響かせる。「六気筒が好きなんですよ。L20はL20なりに乾いた音がして、そこはいいですよね」。実は志村さん、元日産関連会社の社員だった。これほどまでにスカイラインへの思い入れが強いのも、うなずける。「(他のメーカーより)日産の歴史のほうが好きなんですよ。勤めていたので」。2023年は“ニッサン”の年。52年前の愛車も輝きを放っている。