外出自粛のストレスでいつの間にかアルコールやゲーム依存に!? 専門家が語る対処法

新型コロナウイルス感染症拡大対策として外出自粛が全国的に広がっているが、それに伴い人々のストレスや不安が大きくなっている。日本アルコール・アディクション医学会では、アルコールに依存したり、ゲームにハマってやめられなくなったりする“アディクション”が拡大・悪化するとの懸念を表明している。アルコールやゲームへの依存は自分でも気が付かないうちに陥るもの。では、陥らないためにはどうすればよいのか。日本行動療法学会(現・日本認知・行動療法学会)元理事長で福島学院大学教授の杉山雅彦博士(67)に聞いた。

 新型コロナウイルス感染症拡大対策として外出自粛が全国的に広がっているが、それに伴い人々のストレスや不安が大きくなっている。日本アルコール・アディクション医学会では、アルコールに依存したり、ゲームにハマってやめられなくなったりする“アディクション”が拡大・悪化するとの懸念を表明している。アルコールやゲームへの依存は自分でも気が付かないうちに陥るもの。では、陥らないためにはどうすればよいのか。日本行動療法学会(現・日本認知・行動療法学会)元理事長で福島学院大学教授の杉山雅彦博士(67)に聞いた。

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依存症は他人事ではない(写真はイメージ)【写真:AC】
依存症は他人事ではない(写真はイメージ)【写真:AC】

要注意! コロナ前より酒量が増えていないか?

 認知行動療法とは認知――ものの受け取り方や考え方のバランスをとることで、不安やストレスに対処しようとする心理療法のひとつです。うつ病や不安症、アルコールや薬物などの依存症の改善に用いられています。新型コロナウイルス感染症拡大で外出自粛を続けていると、うつ病の発症・悪化も懸念されますが、家で1人で宅飲みしたり、“リモート飲み(オンライン飲み会)”を楽しむうちにアルコール依存症になったり、学校に行けず友達にも先生にも会えない子供たちがゲームに依存するようになったりする確率が高まると予想されます。

 依存症というのは、知らず知らずのうちにハマっていて、いつの間にかそれなしではいられない、離れられなくなっているものです。本人は依存症になっていることに気づいていないことも少なくありません。あまり楽しくないのにやめられないと感じたときなどは注意をする必要があります。今、コロナの前より酒量が増えたり、飲む時間が長くなったり、ゲームをする時間が長くなっている人は注意していただきたい。「私にはそんなこと関係ない」と思わないことが大切です。コロナに感染しないように外出を控えた結果、アルコール依存症やゲーム依存症になった、では元も子もありませんから。

情報の洪水に翻弄されず冷静に現実を見つめ直してみる

 依存は、それを必ずしも好きでやっているというわけではありません。不安やストレスが強すぎて、そこから目を背け、逃げているという状態が裏側にあったりします。だから、その不安やストレスを、考え方(あるいは注意の向け方)を少し変えることよってやわらげてやれば、アルコールやゲームに逃げなくてすみます。たとえば、今、多くの人が漠然とした不安やイライラを抱えていると思いますが、では、今のような状態がこの先5年続くと思うか、3年続くと思うか、と冷静に考えてみてください。永遠には続きませんよね。必ず終わりはくるのです。

 米ハーバード大学の研究者が科学雑誌「サイエンス」で「2022年まで続く可能性がある」と指摘していると報じられました。2022年といえば2年後ですが、その報道を目にして絶望的な気持ちになった人もいるかもしれません。でも、この結論の前提には「現在の医療の力では」という言葉がついています。実際には、治療薬の開発などが世界中で急ピッチで進められ、日本でも早ければこの4月にも血漿療法の試験的投与が始まると報じられています。そう考えると、今のような状態はそう長くは続かないと気づくでしょう。そうした“現実”に気付く(つまり“今”に注意を向ける)と、不安やストレスが少しやわらぎます。

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