「人形・ぬいぐるみ等おことわり」神社が強烈文言で訴えるワケ 位牌や餅の持ち込みも…古札納めの実情

「『人形やぬいぐるみ』はいらなくなったら、潔く横浜市のゴミに出してください」――。神社に置かれたとある看板がツイッターで話題になっている。この看板があるのは御霊神社(横浜市泉区)。宮司の小澤恵一さんがこの看板を設置した意図と古札納めの現状を語った。

神社の看板に書かれた内容が話題に【写真:ENCOUNT編集部】
神社の看板に書かれた内容が話題に【写真:ENCOUNT編集部】

宮司の痛烈メッセージが反響 20年前に看板設置で持ち込みは減り、今年はまだ1個も来ていない

「『人形やぬいぐるみ』はいらなくなったら、潔く横浜市のゴミに出してください」――。神社に置かれたとある看板がツイッターで話題になっている。この看板があるのは御霊神社(横浜市泉区)。宮司の小澤恵一さんがこの看板を設置した意図と古札納めの現状を語った。

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 思わず二度見してしまう文章だ。看板が立てられたのはおよそ20年ほど前だという。書いたのは1代前の宮司である宮本忠直さん。昨年3月末に亡くなった先代が書いた注意書きは、一見すると、「神社なのになぜ?」と思わず疑念を抱いてしまう。しかし、看板では、お札やお守り、正月の飾り物などを納める場所だと説明したうえで、あくまで個人所有で愛玩していた「人形やぬいぐるみ」について持ち込みを控えるよう求めている。看板の効果はてきめんで、掲示を始めてから徐々に人形・ぬいぐるみの持ち込みは減り、昨年は1、2個、今年はまだ1個も来ていないとのことだ。

「かわいがるのはもちろんのことですが、あくまで人形やぬいぐるみなどは信仰の対象ではない。ご自身で家庭ごみとして処分してほしいです」と小澤さんは語る。看板の文言は「ここに置いていくとバチが当たります」「毒だんご」といったパンチのある言葉が目を引くが、「先代は特徴的な、インパクトのある言葉を使うことが多かった。今は特にそういうことが必要だと思います」としみじみと話した。

 御霊神社では、毎年1月に地元の方の協力を得て、「だんご焼き」と呼ばれる行事を行っている。お守りなどを「お焚き上げ」した後、その余熱を使い、1年間の健康を願ってだんごを焼いて食べる。一方で、人形やぬいぐるみを燃やした際に発生する有害物質などがだんごについてしまう可能性があり、持ち込み禁止を訴える理由の1つだという。小澤さんは「煙の中にいろいろなものが入っていると(衛生上)よくないです」と指摘した。

 古くなったお札やだるまなどの縁起物などを処分する「お焚き上げ」には別の課題もある。境内の一角に置かれたテント「古札納め所」には新年の門出を祝うために、各家庭や職場などで使用されたしめ縄や松が高々と積みあがっていた。小澤さんは「松飾りの松は燃えない。今では量が減ったが腐らないし処理が大変」と苦笑いを見せた。最も大変なのは破魔矢についた鈴や正月飾りについているプラスチック製のもの。一つひとつ手作業で外してから「お焚き上げ」にまわしているという。「本当はすべて外して納めてほしいが、高齢の方も多く、そこまで言うのは無理がある」とのことだ。

 中には「古札納め所」であるにもかかわらず、市販されている鏡餅のプラスチックの容器などを置いていく人も。中に餅が入ったままのものもあったという。さらに「今年に入ってからは位牌が2つ置いてありました」と語るから驚きだ。7日の土曜日には地域の人を含めて12人で、3時間かけて整理を行ったという。これらはもちろん燃やすわけにはいかないため、それぞれ地域の捨て方に沿って処分したという。

 新たに注意書きを作成するなど対策を行っているが、「字が書いてあるものは基本的に読んでもらえない。イラストの看板も含め、これから考えていかなくてはいけない」と現状を嘆いた。新年を迎え、多くの人が初詣を行った中、古札の納め方も考えたいところだ。

次のページへ (2/3) 【写真】山のようになった「古札納め所」の様子
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