1点物のウルトラソフビが盗難被害 6体と台本で1000万円分か 「返却して」と館長が呼びかけ

ウルトラマンの貴重なソフトビニール人形(ソフビ人形)を集めたウルトラソフビ博物館(千葉県鋸南町)に何者かが侵入。1体150万円ほどの貴重な人形を含む計6体の怪獣と、1960年代のテレビ番組の台本約10冊が盗まれ、愛好家の間で衝撃が広がっている。27日、ENCOUNTの取材に応じた笠原聡館長は、「人のものを盗むのは絶対ダメですよって言いたい」と犯人に早期返却を求めている。

盗まれたソフトビニール人形5体が含まれた写真。最も高価なゴモラは下段中央【写真:ウルトラソフビ博物館提供】
盗まれたソフトビニール人形5体が含まれた写真。最も高価なゴモラは下段中央【写真:ウルトラソフビ博物館提供】

母屋から侵入し、ガラス破る 推定被害1000万円か

 ウルトラマンの貴重なソフトビニール人形(ソフビ人形)を集めたウルトラソフビ博物館(千葉県鋸南町)に何者かが侵入。1体150万円ほどの貴重な人形を含む計6体の怪獣と、1960年代のテレビ番組の台本約10冊が盗まれ、愛好家の間で衝撃が広がっている。27日、ENCOUNTの取材に応じた笠原聡館長は、「人のものを盗むのは絶対ダメですよって言いたい」と犯人に早期返却を求めている。(取材・文=水沼一夫)

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 同博物館は2021年6月にオープン。笠原さんが子どもの頃から集めたソフビ人形600~800体など、ファン垂ぜんのお宝が展示されている。

 盗難されたのは今月21日の夜中で、「私はいなかったんですけど、博物館に付随している母屋の玄関をピッキングして開けて博物館のエリアに入っていって、たぶんどこに何があるか分かっている方だと思うのですが、ピンポイントで貴重なものを持っていきました。あまり数は持っていっていないんですよ。衣装棚の大きなガラスがバリッと割られていまして、あとは飾り棚の中から本当に貴重なものばかり持っていかれちゃった感じですね」。博物館のドアは施錠されたままだった。

 博物館には防犯カメラが5か所に設置。犯人の姿は「防犯カメラに映っているという報告を受けました」。すでに警察による捜査が始まっている。

 盗まれたのはウルトラマンではなかったが、どれも貴重なものばかり。「ソフトビニールの怪獣が6点。昔の円谷系の台本が10冊ぐらいです」。怪獣はいずれもブルマァク社製で、当時の社長から寄贈されたソフビ人形のサンプルだった。

「ソフトビニールの怪獣は1983年からメインはバンダイさんなんですけど、その前の昭和の最後ころはポピーという会社だったんですよ。その前がブルマァク。持っていかれたのはそのときの試作品で、全部1点ものです」

 中には博物館の中でも一番のお宝も含まれていた。

「一番のお宝だと思っていたのが1個持っていかれました。ソフトビニールのウルトラマンのゴモラという怪獣。それの初期のころのサンプルなんですよ。1960年代ごろのものなんですけれども、それが一番高いかと思います」

 価格については、「売りに出したことがないので、どのくらいの価値というのがはっきり分かりませんけれども、高額で譲ってほしいというお話は何回かいただいています」と前置きしつつ、「だいたい150万くらいで売ってほしいと言われたことは2回くらいあります」と明かした。いずれも推定ながら、ソフビ6体で300万、台本10冊で700万、合わせて1000万ほどの被害と見積もった。

未塗装のガラモン。これも盗まれた【写真:ウルトラソフビ博物館提供】
未塗装のガラモン。これも盗まれた【写真:ウルトラソフビ博物館提供】

転売阻止へ仲間に呼びかけ「持ち込めば分かる」

 イベントなどで盗難されたことはこれまでもあったという。

「道の駅にイベントでブースを出したときに持っていかれたことはありますね。ただ、金額的には2~3万の話です。それは何回か経験しています」

 しかし、博物館では初めての被害だった。笠原さんは戸惑いを隠さない。28日に還暦を迎え、ファン歴は50年を超える愛好家。子どものころは親から贈られ、社会人になってからは自らソフビ人形を買って収集してきた。

 犯人に対し、「みなさんそうだと思うんですが、苦労されて働いてなんとかそういう自分の趣味のものを手に入れる。『それなりに苦労して自分の力で手に入れましょうよ。人のものを盗むのは絶対ダメですよ』って言いたいですね」と、盗難品の返却と自首を促した。

 警察の捜査と並行し、自身もSNSを使って情報の拡散を呼びかけている。違法な転売ルートを止めようと必死だ。

「昔撮っていた写真がありますので、それを差し上げて、みなさんに情報を発信してもらっています。転売ヤーであれば、例えば中野のショップとか有名なお店に持ち込むと思う。まずはそこを押さえられたらいいと思ってやっています。全部1点ものなので、持ち込めば分かります」

 笠原さんにとって、ウルトラマンはいつまでもヒーローのまま。「とにかく悪いことをしないで正義の味方というのが一番です。ブレることなく、正しいことをやる。いい歳こいているけど、今でも憧れます」。この言葉を犯人はどう聞くのだろうか。

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