俳優・細田善彦が大林宣彦監督から学んだのは「生きるとは何か」 巨匠が映画を通して教えたもの

細田善彦は大林宣彦監督の遺作「海辺の映画館-キネマの玉手箱」の撮影を振り返った【写真:山口比佐夫】
細田善彦は大林宣彦監督の遺作「海辺の映画館-キネマの玉手箱」の撮影を振り返った【写真:山口比佐夫】

「監督の勢いが止まらないから朝まで撮影したこともありました」

――大林監督は撮影現場ではどんな様子でしたか?

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「『花筐/HANAGATAMI』の時は車椅子に乗っていたこともあったと聞きましたが、今回はそんなことはなかったです。もちろん、我々サイドが勝手にいろいろ心配をしていましたが、監督は撮影現場に入ると、誰よりも元気になり、監督の勢いが止まらないから朝まで撮影したこともありました。撮影の休みの日に病院に行かれていたようですが、監督が現場で指揮をとらなかった日はなかったです」

――昨年は「ピア~まちをつなぐもの~」、「武蔵-むさし-」で単独主演をしました。本作は主役級ではあるけれども、その中の一人です。ポジションの違いは?

「関係ないですね。とにかく3人(細田、細山田、厚木)がみんな仲良くやろう的な雰囲気はありましたし、合宿みたいな感じでした。(昨年の)東京国際映画祭では、大林監督が『現場は映画の学校だ』とおっしゃっていましたけど、確かに学校みたいな感じではありましたね。部活みたいでした。『明日は、先生から何を言われるんだろう』みたいな」

――細田さんは俳優として15年以上のキャリアをお持ちですが、そんな中で大林監督作品はどうでしたか?

「映画の中で生き方を教えていただいた気がしています。芝居とか演技とかじゃなくて、生きるとは何かみたいなことを。そこを一番学びました。
 監督は常にお客さんを楽しませるための方法を考えていらっしゃる方でした。監督って、本当にずっとしゃべっているんですよ(笑)。『昔はもっとすごかった』って、みなさんはおっしゃるんですけど、ずっと周りの方を楽しませようと、ギャグを言ったり、映画の知識を教えてくださったり。僕がメインの俳優、団茂役だったからではなくて、撮影に参加してくださった尾道の方、みなさんにもずっと語りかけているんです。人を楽しませることが大好きな方なんだと思います。『海辺の映画館』は、お客さんを楽しませるために、どうすべきかを考えに考え抜かれた3時間なんじゃないかなと思いますね」

「海辺の映画館-キネマの玉手箱」は当初、4月10日に公開を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で公開が延期された。新たな公開日は、現在は調整中。

□細田善彦(ほそだ・よしひこ)1988年3月4日生まれ、東京都出身。NHK「きみの知らないところで世界は動く」(05)で主演に抜擢。TBS「逃げるは恥だか役に立つ」(16)、NHK大河ドラマ「真田丸」(16)、CX「民衆の敵~世の中、おかしくないですか?」(17)、 NTV「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(19)など数多くのドラマに出演。 映画では「終の信託」(12)、「羊の木」(18)などに出演。19年には「ピア~まちをつなぐもの~」「武蔵-むさし-」に主演した。

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