「どうする家康」は“近未来大河” 演出統括が明かす裏側「今までにない手法をやらなくては」

2023年1月8日にスタートするNHK大河ドラマ「どうする家康」の第1回「桶狭間でどうする」(初回15分拡大版)の初回試写会が行われた。試写会後の出演者会見には主人公の徳川家康役の松本潤、瀬名役の有村架純、今川義元役の野村萬斎が出席した取材会の後、制作統括の磯智明氏と演出統括の加藤拓氏が登壇。報道陣からの質問に対応した。

NHK大河ドラマ「どうする家康」に出演する、有村架純、松本潤、野村萬斎(左から)【写真:ENCOUNT編集部】
NHK大河ドラマ「どうする家康」に出演する、有村架純、松本潤、野村萬斎(左から)【写真:ENCOUNT編集部】

演出統括「今回も技術的なイノベーションを多く取り入れている」

 2023年1月8日にスタートするNHK大河ドラマ「どうする家康」の第1回「桶狭間でどうする」(初回15分拡大版)の初回試写会が行われた。試写会後には主人公の徳川家康役の松本潤、瀬名役の有村架純、今川義元役の野村萬斎が出席した取材会が行われた。その後、制作統括の磯智明氏と演出統括の加藤拓氏が登壇。報道陣からの質問に対応した。

「どうする家康」はNHK大河ドラマの第62作。「コンフィデンスマンJP」などで知られる脚本家・古沢良太が、新たな視点で誰もが知る歴史上の有名人・徳川家康の生涯を描く。徳川家康が主人公の大河ドラマは3作目。

 これまでも様々な最新技術がふんだんに盛り込まれてきた大河ドラマ。加藤氏は「今回も技術的なイノベーションを多く取り入れている」と話す。今回ではLEDパネルなどで作られた仮想空間の背景と実際の人物を同時に撮影することでより精巧な映像表現を実現する最新技術・バーチャルプロダクションを導入。「インカメラVFXと、従来のVFXも多用しつつ、全部をミックスして戦国を表現しようとトライしています」と意気込む加藤氏だが、「なかなか四苦八苦している」と苦労も明かした。

 舞台となる戦国時代には、家康・信長らをはじめ個性豊かな武将が登場する。そして、その武将たちはベースとなる国土を持ち、そこにはその地ならではの文化や風土が根付いている。多くの要素を描き切る必要があり、そのためにはこの最新技術が欠かせないという。加藤氏は「家康の一生は全ての戦国を総ざらいしていくストーリー。いろんな世界観、いろんなものと出会わないといけない。ちゃんとした世界観をビジュアルで表現していくには今までにない手法をやらなくてはいけない」と必要性を力説した。

 磯氏からは、制作上の都合でどうしてもバーチャルプロダクションなどの最新技術を導入せざるを得ない理由も明かされた。磯氏は「昨今の気象状況で、うまくロケが立ちいかない事情がある」と説明。酷暑での合戦シーンの撮影には限界があり、台風でオープンセットが使えなくなってしまうこともあったという。

「こういう状況の中で『戦国大河ってどうやって作れるんだろうか』と加藤さんに持ちかけたら、『こういう技術を取り入れなければ戦国のような歴史観のあるドラマは表現できないんじゃないか』と言われて。今、世界の主流になりつつあるバーチャルプロダクションを日本の大河ドラマで導入できるのかというところを、この2年間くらいやっていたような気がします」と話した磯氏。

 家康が出会う、確固たる個性を持った戦国武将たちとその国の人々をリアルに描き出すこと。そして、撮影を進行していく上での“ロケ問題”もあいまって導入されることになったバーチャルプロダクション。最新技術を用いることで、よりハイクオリティーな映像体験を楽しめそうだ。

 NHK大河ドラマ「どうする家康」の第1回「桶狭間でどうする」(初回15分拡大版)は、23年1月8日に総合テレビでは午後8時から、BSプレミアム・BS4Kでは午後6時から放送される。

トップページに戻る

あなたの“気になる”を教えてください