【猪木祭り】安田忠夫、“破壊王”の息子・橋本大地参戦を提案「小川が推薦して入れてやれ」

YouTubeチャンネル「アントニオ猪木『最後の闘魂』」に“平成の借金王”安田忠夫が登場する動画の後編が、4日に公開された。内容は「INOKI BOM-BA-YE×巌流島 in 両国(猪木祭り)」(12月28日、両国国技館)に関するもの。

21年前の大みそか、大方の予想をくつがえして、“番長”バンナから金星を上げた安田に、師匠・A猪木さんも喜びを隠せなかった
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安田忠夫が谷川貞治プロデューサーを相手に逆提案

 YouTubeチャンネル「アントニオ猪木『最後の闘魂』」に“平成の借金王”安田忠夫が登場する動画の後編が、4日に公開された。内容は「INOKI BOM-BA-YE×巌流島 in 両国(猪木祭り)」(12月28日、両国国技館)に関するもの。

 小川直也が令和猪木軍の総監督に就任したことを聞きつけた安田が、警備員の仕事を終えた直後、着替えもせずにそのまま取材を受けつつ、「猪木祭り」の谷川貞治プロデューサーを相手に逆提案を試みる。

「(小川は)監督ですか。だったら俺からの推薦枠を。あのー、小川が入れないって言ったら、小川を襲ってもいいわけですか?」

 そこで「誰を?」を聞き返すと、安田は「やっぱり僕はお相撲さんですから、お相撲さんで失敗したやつ」と答える。

 ならばと「鈴川真一と貴賢神っているんですよ」と話すと、「それと俺の完全な後輩で、あいつはやらないの? 海鵬」と3人の大相撲出身者の名前が挙がった。ちなみに谷川プロデューサーいわく、海鵬は今、日大目黒高校の相撲部監督になっているという。

「この3人入れてよって。3人がダメなら、1人に絞れとか言うなら1人に絞るしさ」と答えた安田は、さらに「あとおもしろいのは、橋本(真也)さんの息子とかダメなの? その辺は小川が推薦して入れてやれよ。俺は大地のケツまで持ちたくないからさ。お相撲さんのカツは持つけど。でもクスリとかバクチ、いいんじゃない? ガハハハハ」と笑い飛ばした。

 確かに小川直也にとっては宿命のライバルとも言えた、“破壊王”橋本真也の息子・大地へのチャンスを小川が与えるとなれば、1つの物語がつながっていくのかもしれない。

 しかも安田は、2001年の「猪木祭り」(2001年大みそか、さいたまスーパーアリーナ)で一躍“時の人”に成り上がるきっかけとなった、“K-1の番長”ジェロム・レ・バンナ戦を振り返り、「俺は必死でやったよ、バンナ戦の前までは」と語ると、当時、“路上の王”と呼ばれたマルコ・ファスの道場(米国)でもまれた苦い経験を吐露する。

 安田は「まだカラダも動きましたからね。あの頃は38歳くらい」と振り返りながら、「最初でアメリカに行った時は、道場のしょっぱいヤツにチェリーボーイっていわれて、結構、2週間ぐらいもてあそばれてましたから。3週間後からそばに寄ってこないですよ、(安田に)やられちゃうから」と3週間で立場が逆転したことを明かした。

現在の安田。バンナ戦から21年、今や4人の孫を持つおじいちゃんになった
現在の安田。バンナ戦から21年、今や4人の孫を持つおじいちゃんになった

「あの時のバンナは弱かった」

 思わず「努力してるじゃないですか」と驚く谷川Pに対し、「してますよ!」と返すものの、だったら「ギャンブルはなんとかならないんですか?」と突っ込まれると、「無理でしょう。それだけは無理。そのおかげで家庭も無くし、子どもも無くし、そして今じゃあ警備員。歯までないよ」と前歯のなくなった顔を笑わせながら、自虐ネタでその場を和ませ、「そういう人たちがいるから楽しいのよ」とつぶやいた。

 それにしても、安田がバンナに勝った直後のA猪木さんは本当にうれしそうだった。その旨を安田に伝えると、安田は「だって勝つと思ってないもん」とひと言。

 たしかに当時は、最強のバンナに、借金王のろくでなし安田が挑むような雰囲気だったが、谷川プロデューサーは、「僕は安田さんが勝つと思っていましたよ」と話した。理由は、バンナが3週間前にKOされたばかりで、練習ができていなかったことにくわえ、初めてのMMAルール戦だったことを挙げる。

 これを受けて安田は、「今だから言いますけど、あの時のバンナは弱かった。ここ(ハート)が弱い」と指摘した。

 それでも、バンナの懐に入っていくには度胸がいる。たとえ「捕まえれば俺の勝ちじゃん」と安田が思ったとしても、実際にそれができた安田は、それがまぐれだったとしても、大したものだった。

 同じように、当時の安田を見習えば、人生は変わるかもしれない。

 そんな言葉を投げかけると、安田は「俺は変わったんです。きれいに変わったんです。ところが、素行が悪いので、元に戻っただけです。こんな……だから頑張れば……」と安田と同じく、相撲界を離れた力士(鈴川、貴賢神、海鵬)にエールを送る。

 とくにこの日本という国の場合、1度失敗すると、なにかしらのレッテルを貼られてしまい、再び這い上がってくることは難しい風潮が存在するのは事実だろう。

 それは、かつて日本で行われていた腹切りに通ずると分析する識者もいたが、2012年に安倍晋三元総理が2度目の政権運営を任されたことで、多少はその流れが変わりつつあると実感していた矢先、今年はその安倍元総理が、あってはならない銃弾に倒れたことで、再びそうした流れに歯止めがかかってしまうとしたら、それはやはり寂しい話でしかない。

 直近では、キックボクサーのぱんちゃん璃奈が詐欺容疑で逮捕されたが、程度の違いこそあれ、人間ならば間違いはある。

「大相撲薬物依存症軍団、応援しましょう!」

 動画ではそう言いながら高笑いを浮かべていた安田だが、一見しただけでは物騒ともいえるこの物言いを含め、細かなことを気にしない安田の生き方が見え隠れしている。その姿は、全肯定こそできにくいものの、全否定してしまうのもまた危ういと思わざるをえない気がしてきた。

 ともあれ、相撲軍団を結成すると宣言した安田がどこまで本気なのか。それがイマイチつかめないが、額に汗して警備員の仕事を終えた直後にそのまま取材に答える姿には、まさに日本の縮図を見た思いがした。

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