尾上松也、3年ぶり浅草公会堂で新春浅草歌舞伎「非常にうれしい。大きな目標だった」

歌舞伎俳優の尾上松也、坂東巳之助、中村新悟らが、11月29日に都内で行われた「新春浅草歌舞伎」(2023年1月2日~24日)の制作発表会見に出席した。「新春浅草歌舞伎」は、歌舞伎界の次代を担う若手花形俳優が顔をそろえる公演。松也らの他、中村歌昇、中村種之助、中村隼人、中村橋之助、中村莟玉(かんぎょく)が出演する。

座長を務める尾上松也(中央)【写真:ENCOUNT編集部】
座長を務める尾上松也(中央)【写真:ENCOUNT編集部】

松也「『このまま無くなっちゃうんじゃないか』という不安も頭をよぎりました」

 歌舞伎俳優の尾上松也、坂東巳之助、中村新悟らが、11月29日に都内で行われた「新春浅草歌舞伎」(2023年1月2日~24日)の制作発表会見に出席した。「新春浅草歌舞伎」は、歌舞伎界の次代を担う若手花形俳優が顔をそろえる公演。松也らの他、中村歌昇、中村種之助、中村隼人、中村橋之助、中村莟玉(かんぎょく)が出演する。

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 江戸時代の浅草では、現在の浅草公会堂がある場所からほど近い猿若町に「江戸三座」が開場。明治から昭和にかけて浅草のショービジネスの中心地としてにぎわっていた。1980年のお正月に浅草公会堂で「初春花形歌舞伎」として歌舞伎興行が復活。2003年には「新春浅草歌舞伎」と名称を変え、“若手歌舞伎俳優の登竜門”として続いてきた。浅草のお正月の風物詩として、40年以上の歴史を誇る。これまで市川猿之助(当時は亀治郎)や中村勘九郎(当時は勘太郎)、中村七之助、片岡愛之助らが出演していたが、15年に松也が座長となり代替わりした。

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、20年の公演を最後に浅草公会堂での開催は見送られ、その間は歌舞伎座で上演された。23年1月に3年ぶりの浅草公会堂での開催となる。昼の部と夜の部に分け、「双蝶々曲輪日記 引窓(ふたつちょうちょうくるわにっき ひきまど)」「男女道成寺(めおとどうじょうし)」「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)」「連獅子」が上演される。

 3年ぶりの浅草公会堂に松也は、「皆さんに再び報告ができることを非常にうれしく思っています」と喜んだ。「3年前に浅草での公演を見送ることになったときは非情にショックでした。当時は、今後どうなるのか全く見通しの立たない状況でしたから。もしかしたら、『このまま無くなっちゃうんじゃないか』という不安も頭をよぎりました」と当時の心境を語った。

 また、「僕が頭になって浅草を任せてもらえるようになって、最初にみんなで話し合ったのは、『僕らに(浅草を)つないでいただいた先輩方のためにも、僕らの代で浅草歌舞伎が無くなってしまうことがないように、後輩たちにバトンを渡せるようにやっていこう』ということ」と明かし、続けていくことが「大きな目標だった」という。

 20年、21年のコロナ禍は、浅草公会堂ではなく歌舞伎座の序幕で上演された。松也は、「浅草でできなくても形にできないかということで、歌舞伎座の序幕で、外題(げだい/芝居の題名)に『浅草』という文字を必ず入れて行いました。『我々は浅草で1月にやるんだ』という思いをつないできたつもり」と語った。「ようやく浅草でできるのは非常にうれしいですし、できなかった2年間というのも、歌舞伎座で自分たちの『浅草』という冠を背負ってできたということは大きな経験にもなりました」と振り返った。

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